幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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日間16位とかマジですか…個人的に通算三作目の日間入りでちょっとビビってますがこれからも何とか頑張って行きたい次第


第八話『賽は投げられた』

「じゃあこっちが勝ったら殿下とマリエは別れる。オマケに殿下以外もマリエと別れる。こっちが負けたらアンジェリカさんは殿下に二度と関わらない。それでいいかな?」

 

「もちろんだ」

 

 引き続き決闘準備の話し合い。

 リオンはこっちの意図を理解したのかしてないのかは定かではないが俺に悪印象を持ってはない様子で品定めを継続している。

 

「んで決闘方法はシンプルに闘技場で鎧での決闘、これで良いよな?」

 

「私たちに勝つつもりか? お前では勝負にならない」

 

「はぁ? なんで俺が負けるって決め付けてる訳?」

 

「お前さっき女子に声かけてあしらわれてたろ。目立ちたいだけなら引っ込んでろザコが」

 

 残念雑魚は君なんだよ脳筋クソ野郎くん。

 そもそも家の格や女子にモテるモテないで決闘の実力は決まらない事をご存知無いのだろうかコイツは。

 それこそ俺だって子爵子息だが射撃に秀でてるし、マルケスなんて一族揃ってメカオタクだからか、リオンレベルで殿下達一蹴出来るくらいには決闘……というより鎧を使った戦闘技術は高い。

 

 それが分からないのではまだまだ青二才と言える。

 

「えっなに? 鎧の戦闘じゃ自信がないんで口で言い負かしたいのかな? 決闘は口論がお好みですか? 困ったなぁ。そっちの方は苦手なんだよなぁ。でも俺と戦うのが嫌で口で勝負したいなら仕方ないなぁ。お互い頑張ろうね~」

 

「お前嘗めてると本気で……」

 

「お、落ち着いてください二人とも……れ、冷静に……」

 

「六番手は引っ込んでろや!」

 

「グレッグ、喧嘩はダメだよ?♡」

 

「……マリエが言うなら今は引き下がってやる」

 

 六番手と言えどこの場でも多少なりとも俺の性格とやらを刷り込ませておくのは大切なので敢えて出しゃばる。

 性格と言っても『表の』気弱で優しいアルフォンソくんの方だが、双方に今一度アピールしておけばギリギリまでネタばらししなくても何の疑いも無く俺を見てくれる……リオンに関しては知らんが。

 

「まぁまぁ。決闘方法はそちらの条件を飲みましょう。そちらも合わせて六人までの参加を認めます」

 

 あ、一応俺人数にちゃんと入れられてるのね。

 

「こっちは俺だけで十分。1対1を六回ってわけだ」

 

「本気ですか? 決闘は命を落とすこともあるのですよ?」

 

「知ってるよ。っていうかなんでそんな余裕なわけ? 自分たちだけ死なないって考えは甘すぎじゃない?」

 

 毎度毎度思うがリオンの言葉には頷かざるを得ない程の共感がある。

 コイツら……馬鹿五人衆はまずもってこの時点で考えが非常に甘過ぎる、自分達が最強、絶対勝てると思い込んでいる。

 だから馬鹿五人衆なんて俺に連呼されるんだよ。

 

「実績のある方だと聞いていましたが相手の実力も測れないとは」

 

 実力を測れてないのは実績の無いお前らな。

 何をどうしたら学園の中でもトップクラスのアンタらに対して自信満々に出てきた相手に一切の警戒もしないのか俺には全くもって理解が出来ない。

 

「そこまでにしておけジルク。リオンと言ったな。覚悟はできているんだろうな?」

 

「……アンジェリカさん、もう一方の手袋貸して貰えます?」

 

「……あ、ああ」

 

「ありがとうございますっと……ほらよ忘れ物、だっ」

 

 リオンはアンジェリカからもう片方の手袋を拝借するとポンコツ殿下に投げ付ける、これで賽は投げられた。

 

「決闘しようぜ王子様達……ククッ精々大事な恋人との別れを済ませておくんだな」

 

 他五人はさておき俺はお断りします……

 まあ負けなきゃ良いだけなんだが……アロガンツ相手に引き分けか……ウチの鎧も殿下相手くらいなら勝てるはずだがいくら何でも旧時代のガチオーパーツ相手に引き分けが絶対条件とか今から考えただけで変な汗が出そうになるが……

 

「うぅ……」

 

 大事な大事なマリーと幸せになる為だ。

 やる事はやった、ならば俺は立ち向かうだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何なのよあのモブ……もそうだけど殿下も殿下よ……アンジェリカさんとの時間を無くすのはダメって言ったじゃない……しかも決闘とか……あの六人が負けるわけないけど!」

 

 部屋の外から聞こえるマリーの独り言に俺は静かに合掌する。

 次の日の朝俺は流石に少し心配になりマリーの部屋まで来ていたが案の定の状態になっていた。

 そもそも原作と違って最大のストレスは殿下の阿呆行動っぽいが。

 

「あ、おはようございますディーンハイツ様」

 

「ようカイルおはよ。君の主人なら中でブツブツ言ってて気が立ってるっぽいからノックしてから入りなー」

 

「案の定ですか……ほんと手のかかるご主人様ですね……」

 

 朝食を持ってきて鉢合わせたカイルの言葉に頷く。

 アイツ良い女ではあるんだが如何せん口の悪さは天井知らずだからな……扱いに気を付けないとキレられるのがオチだ。

 

 コンコンとカイルがノックをする。

 

「ご主人様、朝食をお持ちしました。開けても良いですか?」

 

「……はぁ、良いわよ」

 

 だが逆に言えばちゃんと手順を踏めば理不尽に怒る事は無い。

 だから良い女って断言出来る訳だが。

 

「失礼します。今日の朝食は野菜が多めです」

 

「その野菜嫌いって言ったじゃない」

 

「好き嫌いせずこれくらい食べてくださいよ、それともディーンハイツ様にあーんでもしてもらいますか?」

 

 二人のやり取りをこっそり部屋の外で眺めていたが、不意にカイルの目線がこっちに向く……ははーん成程成程、マリーにあーんで食べさせてやれという事か……気が利くじゃねえかよ。

 

「え!? ちょ、なんでアルがいるのよ!」

 

「おはようマリー、今日も格別に可愛いな。お前が心配で来たんだよ」

 

「う……そ、そう……」

 

「昨日のは殿下の悪いとこ見て気が気じゃ無かったろ?」

 

「……あんなに酷いとは思わないじゃない」

 

「そうだな、辛かったよな……よしよし」

 

「うう……」

 

 チラリと横を見ると目配せをしたカイルは退室していった、しかも律儀に鍵まで閉めてって。

 あのマセガキ本当に気が利く奴だな。

 

 一方マリーだが、殿下の醜態……数名以外からはそうは思われていないが……を見て相当ショックだったのか涙目で俺に身体を預けてきている。

 マリーの座る横にそっと座り頭を撫でる。

 いつもコイツが落ち込んでる時、俺は隣に座って身体を寄せて、そして頭を撫でて落ち着かせていた、勿論前世からの話だ。

 やはり信じていた人間に裏切られるというのはどこの世界どのパターンでもキツいものがある。

 

 ……俺はマリーを泣かせた殿下に許せない程の怒りが沸くのと同時に、ここでマリーに決意をある程度話しておく必要があると感じた。

 そっと手を握る。

 

 マリーが俺を上目遣いで見上げるのと同時に、俺はその決意を口にする。

 

「今回の決闘、俺に出番があるかどうかは分からない。だが出番があるならその時は全力でお前を貰いに行く……だから少なくとも俺の事は信じてくれないか?」

 

「アル……アンタを信じなかった事なんて……無いでしょ……」

 

 マリーは少しだけ笑顔になって俺の手を握り返す。

 確かに俺には殿下達みたいな財力も顔も権力も無いが、マリーからの信頼はずば抜けて一番ある。

 それはずっと傍に居続けてずっと支え続けてきた俺の幼馴染としてその立場をフル活用した愛を与え貰い、絆を紡いできたからだろう。

 

「ありがとよ、マリー」

 

 そっと抱き締める。

 その空間を邪魔する存在など、今は何も無かった。

 

 

 

 

 

「……あれは特別なんだからね」

 

「分かってる分かってる」

 

 それから数分後、真っ赤になったマリーがジト目でこちらを見つめてくる構図がそこにはあった。

 俺は殿下達とは違って素や弱いところを見せられる特別な存在と言われれば気が良くなるのは当然だな。

 気分良く登校出来そうだ。

 

「あ、そうだ朝食……」

 

 ふとテーブルに乗せられたままの朝食が目に入る。

 俺はもう食べてきたから良いがマリーは食べないと流石にキツいか。

 

「……俺が食べさせてやろうか?」

 

「んなっ!? な、何を……」

 

「今は誰も見てないし、お前俺が食べさせると嫌いな物でも食べるじゃん」

 

「そ、それはそうだけど……この歳になってもするのは流石に恥ずかしいわよ……」

 

 俺は少し思案顔になった後、ニヤニヤしながら『あーん』を提案する。

 そもそもカイルが折角用意してくれたこの時間をこのまま過ごすのは少し勿体ないのもあった。

 

「どうせ誰もいねえし、周りから見たら恋人同士としか思われないんだから気にする事ねえって」

 

 因みに『あーん』は小さい頃良くし合いっこしており、そのお陰でマリーの嫌いな物は大分少なくなっていたりする。

 それでも小さい頃の話故に少し躊躇う部分もあるのかも知れない。

 

「……ほんっと。アンタじゃなきゃ恥ずかし過ぎて死んでたところなんだから……あーん」

 

「そりゃどうも。……あーん、と」

 

 しかし何だかんだ折れてくれた様子で。

 顔を赤くしながら、小さい口を開けそこに嫌いな野菜を投入。

 

「もきゅもきゅ……」

 

「美味いか?」

 

「……まじゅい」

 

「じゃあやめる?」

 

「……アルが食べさせてくれるなら完食出来る」

 

「やっぱ幼馴染パワーって最強だな、あーん」

 

「あーん……もきゅもきゅ……」

 

 気付けば甘々空間完成。

 サンキューカイル、今度なんか奢ってやろう。

 

 ……正直言って、実は俺の方も元気付けられたところはある。

 何せ相手が相手だからな、いくら戦前対談がパーフェクトでも、引き分け狙いだろうと大きな壁が存在すると分かって少しも気後れしない人間なんていない。

 

 でも俺は、この幸せを手放す訳にはいかない。

 

 絶対に。

 

(だからリオン……タケさん、貴方に負ける訳にはいかないんだよ……)

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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