幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第八十三話『留学当日・予想外は付き物』

「リオンも残念だよな。せっかく、女子からも誘いが増えたのに」

 

「まさか男子の方が誘われる側になるとは思わなかったよね。リオンは残っていれば、きっと大人気だったよ」

 

 留学当日。

 港にはダニエルやレイモンドと言ったリオンの友人や俺達のクラスメイト達、それにリビア、アンジェ、クラリス、ヘルトルーデやヘルトラウダが見送りに来ていた。

『正式に留学に参加する面子』はリオン、俺、マリー、マリーの護衛として残りの親衛隊の八人だ。シーシェックとマルケス専属メイドのステファニー辺りは使用人待遇。……何故かカーラも使用人待遇で着いてくるがあの子は何をしてんの?

 そう、何やかんやマルケスやセミエン、ステファニーとかも留学に同行する事になったのだ。

 まあ親衛隊は同行しないと何の為の親衛隊結成なんだって話だが。

 んでステファニーに関しては置いてくとマルケスの後ろ盾が無くなるから危ないって事とメイド連れてくのは普通だよねって事で連れてく事に。

 シーシェックはあっちでも情報を集めてもらうために連れていく。

 

「……誘われたとしても俺にはもう幸せ過ぎるくらいに出来た嫁さんが三人もいるからな。それよりも一年も離れるのがちょっと寂しいくらいだ」

 

「うわぁ惚気てるよ」

 

「でも幸せそうならまあ良いか……」

 

「絶対手紙送りますからね」

 

「時間が出来たらネズミでの通信も、な」

 

「出来ればアタシの卒業式には帰ってきてほしいかなー、なんて」

 

 

「お兄様と離れるのは寂しいですが、ラウダは強く生きていきますね」

 

「……いや俺よりマルの方には挨拶しなくて良いのか?」

 

「うっ……その……」

 

 各々挨拶を交わす中、俺の方に来たラウダに問い掛ける。

 俺の見立てが間違いじゃないなら既にラウダはマルに恋心を抱いている、だったら俺より優先して話し掛けに行くべきだろうと促してみたが……これはあれだな、あまりにも寂しくて行けないってやつか。

 

 全く、可愛い妹分だ。

 

「挨拶しておかないと後悔するぞ」

 

「ねえ、まだ飛行船の収容人数的には余裕あるわよね?」

 

「ルーデか、まああるっちゃあるが……」

 

 ひょっこり現れるルーデに一抹の嫌な予感が過ぎる。

 この予感は昨日騙された事に気付いた瞬間に酷似した感覚である、冷や汗が流れる。

 

 ……まさか、無いよな?

 

「じゃ、ラウダの事頼んで良いかしら」

 

「お姉様!?」

 

「やっぱりそうなるんかい!?」

 

 やはり当たってしまった。

 この飛び入り感はモブせか感満載だが胃痛がしてくる、ああ久し振りに胃薬を飲みたくなってきた……

 

「なに? ダメなの?」

 

「ダメも何も……あまりにも急過ぎるだろ。準備とか……」

 

「出来てるわよ」

 

「ちょ、おまっ……事前に作戦立ててたな!?」

 

「あら、ラウダは無関係よ。アタシと王妃様とで作戦を立てたの。姉が妹の恋路を応援したいって気持ちに嘘偽りも無いわ」

 

 この王女殿下、用意周到過ぎないか。

 流石原作では最後まで王国に抗ってただけあるわ。

 

「傍若無人な……」

 

「うっ、あ、その……お兄様は迷惑ですよね……」

 

「ま、待て待て俺はちょっと急過ぎたから色々ツッコミを入れただけだ別に嫌という訳では……」

 

 しかしラウダのしょんぼりとした顔を見るとどうにも甘くなるなあ俺も……

 仕方ない、予定には無かったが連れてくか。

 

「ほ、本当ですかお兄様!?」

 

「一応マルに聞いてからな。おーいマルー?」

 

「ん? どうしたの?」

 

「いやな、ラウダがどうしても留学に着いていきたいって言ってるんだが大丈夫そうか? ……なんか王妃様の許可も既にあるみたいだが」

 

「え!? 良いの!? 大歓迎だよ! ね、ステファニーさ……ステフも良いよね?」

 

「ま、良いんじゃないの? マルが喜んでるなら」

 

 マルとついでにステファニーの許可もすんなり取れた。

 まあ予想通りだが……そう言えばこの春休み中にステファニーから『愛称で呼べ』と言われてマルは慣れないながらもそう呼んでるらしい。

 あ、ステファニーも満更でも無さそうにドヤ顔してら。

 

 しかし割と大所帯での留学になるなこれは。

『アイツら』も着いてくるだろうし。

 

「てな訳で許可も取れたしOKって事で」

 

「ありがとうございますお兄様! マルさん!」

 

 というかマルもマルで将来の嫁が二人か……いやまだ恋人にすらなってないけど、この二人となると是が非でも諦める気は無いだろうからな。

 お陰で変な下級貴族は寄って来なくなったみたいだから良いが。

 

 

「ミスタリオン、外国へ見聞を広めに行くのもまた学びです。しっかりと学んできてくださいね」

 

「勿論です。……俺の立場じゃまだまだ婚約者のアイツらには、釣り合わないですから。少しでも成長してきたいです」

 

「宜しい。頑張ってくるのですよ」

 

 

 リオンはリオンで覚悟を決めまくっていた。

 原作のイヤイヤリオンはどこ行ったんですかね……

 

「……」

 

「てか、ルーデは良いのかよ、来なくて」

 

「わ、私?」

 

「そうだよ。リオンに気持ち伝えられてないんだろ?」

 

「う……そ、そうよ、悪い? あの三人見てるとアピールもしにくくて……」

 

 それはそれとして、原作同様色んな意味で不憫な立場引かされてるのはヘルトルーデか。

 あっちと比べりゃ天地の差でリオンと接近したがそれでもそれ以上に仲良くなった三人の壁が高過ぎる。

 

 はぁ……仕方ない、帰ってきたら王妃様にこってり絞られるの覚悟でもう一仕事やりますかね。

 

「……何ならルーデも来るか?」

 

「え……い、いやでも私は許可を取れて……」

 

「ラウダを連れてくんだからまあ似たようなもんだろ。一応元王女殿下とはいえ今は公爵家のお嬢様に過ぎないんだし帰ってきたらみっちり怒られるくらいで済むって。……ここだけの話、あの殿下達五人衆もこっそり乗ってくるしな。さっき見たし」

 

「ええ……何やってんのよあの人達……」

 

「てな訳で次いでに乗り込んだとしても似たようなもんよ」

 

 そう、さっき『正式に留学に参加する面子』とわざわざ強調したのはあの殿下達馬鹿レンジャーが秘密裏に乗り込んでいたのを目撃したからだ。

 本来は王妃様に放り出される様にして乗り込んでくるのだが、今回は『俺達ももっと勉強しないと王国を支える貴族として自立出来ない』という尤もらしい理由だった、盗聴して聴いた。

 その首謀者というのがクリスだったので尚更止めにくかったのも原因だが、それも含めてもうどうせ見逃した事も怒られるならルーデが入っても問題無いだろという話である。

 

 単純に折角公国の辛い事情を飲み込んでリオンの味方をしてくれたルーデへのご褒美としてなにかしたかったというのもあるが。

 

「り、リオンへの説得とかは……」

 

「ラウダが乗ってくるんだからどうにでも誤魔化せるさ」

 

「じゃああの三人へは……」

 

「それこそ察するでしょ、リオン以外には筒抜けなんだから」

 

「……それほんとなの?」

 

「ああ、当の本人だけ気付いてなくてマリーが頭を抱えてたぞ」

 

「……そ、そう」

 

 しかしルーデ、あんなに分かりやすい態度でバレないは流石に無理があると思うんだ。

 寧ろなんでリオンは気付かないんだってみんな思ってるくらいなんだからな。

 

「そ。つー訳でほれ、乗った乗った!」

 

 さてさてここまでかなりのイレギュラーが発生したが、これで後は俺とマリーの実家に挨拶するくらいで終わりだろう。

 当のマリーは既にケンプさんと話している。

 大方この留学中のリックの治療だろうが……ま、そこは俺が根回ししといたから大丈夫だろう。

 

「あ、アル! 宮廷の治療魔術師に話付けてくれてたのって……」

 

「ああ、まあな。一応こんなでも次期伯爵だしマリーも聖女だからな。ちょっと国王サマと話して交渉したら了承してくれたよ」

 

「ありがとうアルフォンソ君、それにマリーも……」

 

「いえ、俺にやれる事と言えばこの身に余るくらいの権力を使って身内を守っていくくらいなものですから」

 

「アタシからも……ありがとうアル。それにお父さん……アタシはまだまだリックの事治せてないのに……」

 

「いいや。マリエが来てくれてから家は明るくなったし、リックも少しずつ元気になっていった。それは紛れも無く君のお陰だ、だからありがとうと言わせてほしい」

 

「そ、そっか……アタシちゃんと役に立ててたんだ……」

 

 随分と家族らしくなったとマリーとケンプさんを見てしみじみ感じる。

 今世ではマリーはまともな家族に巡り会えなかったから、こうして見ていると感慨深いものを覚えてしまう。

 

「一応契約内容ですが、一番腕の良い宮廷治癒魔術師に、マリーより多い頻度の一週間に一度のペースでノース家の問診に行ってもらう契約を取り付けたので回復速度は遅くなると思いますがそれでも悪化なんて事にはならないはずです」

 

「おお、そうか……そんな高頻度で……本当に有り難い」

 

 ちなみに契約を結んだのは何の因果かあのハゲメガネだった。

 アイツああ見えて一番腕が良かったらしい。

 

「あまりお会い出来ていない上にここから一年も会えなくなる分、少しでも手厚くしておきたかったんですよ。本当はもう少し話していたくもありますが、そろそろ船の出航もありますので……リックには宜しくお伝えください。マリーは何があっても守り抜くので、と」

 

「ああ、伝えよう。宜しく頼むよ」

 

「……ほんと、キザなんだから。行ってきます」

 

「行ってらっしゃい」

 

 照れるマリーを横目に、ケンプさんにお辞儀をし今度はウチの実家の連中……と言っても出向いて来れたのはアリシアとヴェンだけだが、この二人にも暫く会えなくなるからちゃんと挨拶をしておかないといけない。

 

「よ、二人とも見送りに来てくれたんだな」

 

「ああ、兄貴や姉様と一年会えなくなるからな」

 

「お父様やお母様の分まで私達がお見送りします! アル兄様! お姉様!」

 

「ありがとう、二人共。アタシ頑張ってくる」

 

「アリシア、ヴェン、親父と母さんの事頼むぜ」

 

「お任せください!」

 

「おう、任せとけって!」

 

 全く、頼りになる家族を持ったもんだ。

 これなら安心出来そうだ。

 

「そんじゃ行ってくるわ」

 

「行ってきます」

 

 二人に見送られ今度こそ搭乗する。

 乗った後も大きく手を振ってくれている辺り本当に良い弟と妹を持ったと実感してしまう。

 

 ……あの二人やみんなと笑顔で再会する為にも。

 エリカと対峙した時一点の曇りも無い様にする為にも。

 もうこの世界に無用な血を流す事が無くなる様にする為にも。

 

 この共和国への留学、何が何でも聖樹を暴走させてはならない……

 

 そう、改めて誓うのだった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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