幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第九十話『作戦会議と逆襲の準備』

「……よう」

 

「変な事しないでよ?一応アンタが姉貴の友人で食料運んできてくれてるって言うから許してるだけなんだから」

 

「分かってる分かってる、こちらとしてはそちらから害を与えてこないなら何もしない」

 

 ノエルは一晩病室で過ごすらしい、と連絡を貰ったのが少し前。

 今はノエルの家に食料を運ぶ……というのはかなり建前上でまあ、レリアがどういう反応を示すかの確認の為に接触していた。

 

「大体なんで姉貴が一晩あっちにいるのよ……ほんとこれだから嫌なのよね、突発的に行動されるのは」

 

 今コイツが何をしているかと言うと、ノエルの着替えを適当に詰め込んでいた。シャワールームは病院にもあるからと一晩過ごすのをゴリ押したのはまあ確かにちょっと強引だったとは思う。

 一応女性が夜道を出歩くのも、男の俺が着替えを届けるのもどうかと思うので病院の人に取りに来てもらう事にはなっているがレリアは相当不満らしい。

 

 それもそうか、ただでさえハンパな知識でゲームしてたのに怒涛の知らない連中……主に俺絡みと、本来来るはずの無いキャラや生存さえしてないようなキャラまで来てたらストレスはとんでもないものだろう。今までこっちにアクションを起こしてこなかったのが不思議なくらいだ。

「それじゃあ、確かに置いたぞ」

 

「感謝するわ、食料を運んできてくれたことだけは」

 

「そうか。まあキミも気をつけておけよ、フェーヴェル家の悪辣さは良く知ってるんだろ?」

 

「言われなくても知ってるわよ、アンタよりもずっとね」

 

「……余計な世話だったみたいだな」

 

 個人的な好き嫌い100%で動くのであればもうレリアに転生者なのを明かして行動を潰しておきたいが、ノエルはコイツの事結構大切に思ってそうだし下手に動けないのが現状。

 最重要項目であるイデアル関連で出し抜けば一旦良しとしてここは退散するとしよう。

 

 それにウチの担任はクレマン先生だ、彼の正体を知ってる以上おいそれと実害が出る前に何か行動に移すのは悪手だからな。

 そこも含めて堅実に動く、代わりに暗に警告した通りレリア側が害を与えてきたら躊躇はしない。

 

 ……頼むから余計な事はするなよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、会議を始める」

 

 俺は帰宅するなり全員を食堂に集める。例外はいない、親衛隊騎士達は勿論マリー、ラウダ、使用人組も1人残さず集める。

 本来夕食には少し早い時間ではあるが、緊急事態であるのは通達済みだからすんなりと集合してくれた。

 ネズミの中継を使ってリオン達の屋敷とも繋がっている。そちらでもリオン、ルーデ、五人衆に老犬と共に避難してきたジャンと勢揃いだ。

 

「夕食の前に悪いな、聞いての通りだが俺らの方の世話役、ピエールが襲撃にあって入院を余儀なくされた。襲撃者はフェーヴェル家長兄の息が掛かった学院生達だ。隠蔽もせずに触れ回ってたのをシーシェックが目撃、ネズミに録画したから直ぐに確定した」

 

 全員話に聞いていたとはいえ、実際に遭遇した俺ら3人とシーシェック以外には動揺が走る。ネズミは更にユーグに付けていたのを緊急で変更して、ノエルの家に向かう途中で連絡を入れたシーシェックの元に向かわせたやつだ。

 

「ごめんアル、僕がもっと沢山ネズミを作れていれば……」

 

「マルの責任じゃない、強いて言うならばこうした事を想定出来なかった俺の判断が甘かったんだ。強いて言うならば、だが。本題に戻ると、連中は『留学生に躾も出来ない六大貴族子息の落ちこぼれ』として暴力をピエールに振るった事が確認されている。これによって次の標的は俺達ホルファート組及びその世話役であるノエル、ジャンの可能性が高い。その為にまずジャンとその家族である犬のノエルにはリオンの方の屋敷に避難してもらってる」

 

『ありがとう、アルフォンソ君、リオン君』

 

『良いって事よ。今は何よりも安全が保証出来る場所にいてもらいたいからな』

 

 実際これは俺の認識の甘さが生んだミスだ、春休みの内に大量に発注しておけばピエールまで手が回ったはず……しかし現実はこれだ、今すぐ挽回しないとならない。

 

「取り敢えず今回の事を受けて、マリーとラウダ、ルーデにはピエールの件が終わるまでは学院を休んでもらう。あまりにも危険過ぎるからな」

 

「まあ、仕方ないわよね」

 

「学院、とても楽しかったですから少し寂しいですが……お兄様が危険と判断したのであるならそれが最善だと思います」

 

『ノコノコと餌になるのは気に食わないし構わないわ』

 

「よし、それに際して親衛隊の方も俺とリオン以外はマリーとラウダ、ルーデの護衛に専念してもらいたいと思っている。つまりは学院を休んでもらう事になる。ただ、その内の誰か1人2人は今後俺とリオンのダンジョンアタックに着いてきてもらう可能性もあるが」

 

「元々は無かった4年目だ、少し休むくらいどうという事は無いよ」

 

 まずは最低限の囮を残した安全確保だ、親衛隊のみんなも何だかんだ留学を楽しんでいたからちょっと心苦しいが……特にルクル先輩、彼は既に王国では卒業生扱いで本来は結婚相手もいるって事で実家に戻るだけだったが王国、実家、結婚相手とその実家とルクル先輩当人がノリノリでグルになって留年偽装してめちゃくちゃ留年を謳歌していたから本当に申し訳ないと思っている。

 

 ゴホン、俺とリオンに関してはみんなを食堂に集める前にマリーも交えて《レスピナスの洞窟》と《聖樹の苗木》については話してある。ダンジョンアタックでこれを入手すればジャリエールを誘き寄せるにはこれ以上無い囮になる。

 

「次に、ユリウス達」

 

『俺達か』

 

「ああ。ユリウス達は自己防衛以外で喧嘩を売ったり買ったりするのは絶対にしないでほしい。勿論ここにいる全員そうだが、特に先行しそうなのはお前らだからな」

 

『そりゃ良いが……やっぱ外交問題になるからか?』

 

 次の問題はユリウス達が襲われる展開だ。

 正直襲われるだけ襲われるのは別にいなせるレベルだから良いが、聖樹の誓いによる決闘で大怪我をされるのは友人だから嫌。

 外交問題もそうだが、あの誓いは死ぬほど厄介だからしっかりと釘を刺しておかないといけない。

 俺はグレッグの問いに対し返答する。

 

「勿論それもだが、アルゼルは聖樹の加護を持つ貴族達によって防衛戦無敗を誇る。聖樹の力を使った決闘では間違いなく俺達が不利になるから、下手をすれば命の危険も出てくると思う。だから、ただの喧嘩で自己防衛するなら良いが聖樹関連の言葉が出てきたら何がなんでも拒否してくれ。周りからの見られ方とか絶対気にするな、その分俺達が絶対どうにかするから」

 

『……アルフォンソの分析は冷静だな』

 

「お前らに怪我されるのは……王国の貴族としてあんま好ましくないからな」

 

『ふっ、そうという事にしておこう』

 

『……なるほど、そういう事ですか』

 

『ははーん?僕達に怪我してほしくないなら、素直に言えば良いのに』

 

「うっせーわ!」

 

 くっ、何故クリスにだけバレてるんだ。

 他の4人はクリスの言葉でようやく俺の真意が『友達を心配しているというのがメイン』という事を理解していただけに、なんだか恥ずかしくなってしまう。

 結構威厳ある感じで会議してたんだけどなあ!?

 

『……お前ら、やっぱ仲良いよな』

 

「リオンも乗ってこないで!?」

 

 確かにクリス達とは仲を0から構築して今度は気兼ねない友人になったとは思うが、それとこれとは話が違うって!

 このままだと俺はまた六馬鹿レンジャー呼ばわりされてしまう……いくら友人と言えどそれだけは勘弁!

 

「ゴホン、と、とにかくだ!お前らも気を付けろって事だ!あと親衛隊は4人ずつこの屋敷とリオンの屋敷に配置で護衛だ。マル、セミエン、スコット*1、フロイン*2はこの屋敷。ランス、ルクル先輩、ヒース*3、テリー*4はリオンの屋敷でルーデを中心に護衛を頼んだ」

 

 強引に軌道修正して話を戻す。

 原作とは違って要人が増えた代わりに護衛になる生徒も増えてるからな、こういう事が出来るのが親衛隊の強味だよな。

 貴族でさえなければ共和国の連中なんてスコットやフロインでも1人で数十人は軽く倒せるだろうから過剰戦力かもしれないが、万が一貴族連中が来た時少しでも粘ってもらう為にゴリゴリに固めた。

 

 本当ならこっちに全員固めてしまうのもアリだったが、それだと窮屈になっちゃうからな。

 ただでさえ学院を休んでもらうってのにそれ以上の窮屈を強いるのは俺としては好ましくないのでこうした形になった。

 

「特にマル」

 

「ぼ、僕?」

 

「そうだ。マルは一番頼りにしてるぞ……ラウダを頼んだからな」

 

「……うん、絶対守る」

 

「ありがとうございます、お兄様。よろしくお願いしますね、マルさん」

 

「ま、任せて!……って言えるくらい強いかは分からないけど、な、何とかするよ!」

 

「もうマルに足りないのは、そこで言い切れないとこだけなんだけどな。もーちょい自信持ってくれよ」

 

 マルには特に頼ってしまうかもしれないからな、ほんとちょっとくらい自信持ってほしいんだよなあ。

 将来的にラウダが嫁になるんだから、こうもう少しピシッとしてくれないもんだろうか。昔からの性格だから仕方ないっちゃ仕方ないんだが。

 

 周りからもやんややんやと弄られている。勿論だが頼りにされているという意味での弄りなので何もしない、が、こうしていると昔を思い出す。

 初めて会った時は友人の1人もいなくてオドオドしてて、自分の得意以外は点でダメだったマルがこうして頼られるまでになくているのを見ると感慨深さを覚える。

 

 俺がダンジョンに連れ回してたから入学する頃にはそこそこの下地は出来たんだよな、にしてもここまで才能があるとは思わなかったが。

 

「さ、何にせよこれからは俺達王国の威信を掛けた逆襲になると思ってもらって相違ない。何がなんでも、最終的に勝つのは俺達だ!」

 

 開戦の幕が上がる。

 戦争ではない、だがこの戦いは間違いなく六大貴族を敵に回す戦いとなる。

 

 王国の威信を懸けて、そして俺達のプライドに懸けて、友人ピエールとノエルの敵討ちの為に。

 

 火蓋が静かに静かに、切って落とされた。

*1
親衛隊トーナメントの時にアルに喧嘩を売って根性叩き直された1人

*2
同左

*3
修学旅行の時に共に船に乗ってて戦った1人

*4
同左

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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