幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第九十一話『逆襲への第一歩』

「昨日はありがと」

 

 翌日、少し疲れた様子のノエルに俺達は礼を言われていた。

 どうやら彼女は案の定というべきかあまりちゃんとは寝られていなかった、まあ友人が襲われて大怪我をしていたんだから当然と言えば当然だが。

 

「良いって事よ、それよりピエールは?」

 

「意識は戻ったわ。思ったより怪我は早く治りそうって医者も言っていたし安心出来た……けど、一気に疲れが来ちゃって」

 

「あんま無理するなよ」

 

「うん、ほんとありがとう」

 

 しかし俺としては……というか学院を休むことになったマリー含む俺ら3人としては引っかかってる事が恐らくまだ1つ残っていると思う。少なくとも俺には残っている。

 このアルゼル共和国は聖樹の加護の有無で貴族かどうかが決まり、六大貴族は加護の強さも段違いだ。……だとするならピエールはいくらフェーヴェル家の息の掛かった貴族子息連中と言えど無抵抗でやられるような強さはしてないはずだ。

 六大貴族とその子息であるなら例外なく相当な強さの加護を貰っている、あそこまでの怪我をせず切り抜けられたのではないか――何の意図があったにせよ時間のある時に見舞いに行くか。

 

「それとジャンの事もね」

 

「ま、俺らも心配だったしな」

 

「リオンとこに預けとけば家にいる時に襲われる事も無い」

 

「あはは、本当にありがとう、リオン君、アルフォンソ君」

 

「よっ、でも学院にいる時は俺かリオンか、どっちかからは離れるなよ?何を仕掛けてくるか分かったもんじゃない」

 

 ジャンに関してはさすがに学院を休ませる訳には行かず、放課後までは俺かリオン、放課後からはリオンから絶対離れないのを条件にしている。折角避難させたのに学院内で襲われた、なんてなったらそれこそシャレにならない。

 

「ちょっとノエル*1の様子、見に行っても良い?」

 

「ああ、まあ良いぞ」

 

「みんな静かに。色々聞いてると思うけど、ホームルームを始めるわよ」

 

 クレマン先生も来たことだし一旦解散、しかしあの人やっぱノエルの事気に掛けてくれてるよな。確かレスピナス家の元騎士だったんだっけか、そりゃ実はレスピナス家のお嬢だったノエル……やレリアの事は心配になるよなあ。

 

 うむ、ほんと心の優しい人だ。その、かなり個性的だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノエルさん、遅いね」

 

「ふむ、確かに」

 

『妹であるレリアに事情を話してくると言っていましたね』

 

「うわ、びっくりした。……でも何してるんだろ、こんなに遅くなるはず無いんだけどな」

 

 放課後、リオンはノエルが一旦ジャンが一緒に暮らしてる方のノエルの様子を見る為に一緒に帰ることになっていた。だからレリアに事情を話してくると言っていたが……まあ、これは流れを考えるにロイクに絡まれてるんだろうな。下手に予言して動くと俺がリオン以外からも怪しまれるから動けないが。

 

『マスター、少々まずいです』

 

「何があった?」

 

『ノエルにストーカーのロイクが近付いています。危険と判断します』

 

「……勘弁してくれよ」

 

「ノエルさんが……!?」

 

「薄々こうなるんじゃないかとは思ってたが、案の定かよ」

 

『案内します』

 

 ビンゴ、案の定だった。

 この頃のロイクは本当にただのストーカー野郎だからな、ノエルを手に入れる為なら加護を悪用するのにも躊躇が無いしまあタチが悪い。

 原作通りに助けられるなら問題無いだろうが一応俺もポケットの中に例のロストアイテム――エルフの里で手に入れた懐中時計を忍ばせてある。ちゃんと物理的な武器にされる事は了承済みなので問題は無い、それだけで壊れる程弱い存在では無いとか言ってたし。

 

「何を急いでいるの?」

 

 っと、そういやここでルイーゼと遭遇するんだった。

 俺は初対面だけどやっぱ美人だなあと感心してしまう、まあリオンの嫁に相応しい雰囲気ではあるよな。

 というか俺がいない間に『お姉ちゃん』のやり取りはしてるんだよな……確かに姉っぽい感じもある、リオンとの相性は結婚良さげか。

 

「あ〜すみません、急いでるんでこれで失礼します」

 

「ちょっと待ちなさいな、お姉ちゃんには何も話せないの?」

 

「うぐっ……いや、その……まあ、ノエルの事ですよ……」

 

「なんですって?」

 

 あれ?こんなやり取りあったっけ?まあ良いか、リオンとルイーゼが仲良くなるのだとしたらそれはそれで俺は良いし。

 

 しかし俺がロイクにストライク当てるならどこに当てようかな……アイツ割と良い奴だから金的はやめときたいし目潰しにしとくか。

 

 

「ぶげらっ!」

 

 結果として、俺が目潰しをする事はなかった。

 原作と同じ流れでリオンがルクシオンをロイクの顔面に飛ばしていたからだった、但し何かあればいつでも目潰しは出来るように構えてある。

 

「ストラーイク!なんちってな」

 

『……マスター、何か私に言う事があるんじゃないでしょうか』

 

「うん、投げやすかったぞ」

 

『――やっぱり私はマスターが嫌いです』

 

「そうかい、気が合うな殲滅野郎」

 

『訂正してください、私にはルクシオンという名前があるんです』

 

「立派な名前だな、名付け親の俺を敬って良いぞ」

 

「何やってんだコイツら……喧嘩してる場合じゃないっしょ」

 

「おーわりぃわりぃ。大丈夫だったか、ノエル」

 

「ノエルさん、怪我ない?」

 

「え、あ、うん……」

 

 俺としてはもっとリオンとルクシオンの小競り合いみたいな喧嘩は見ていたいんだがそれどころじゃないからな、許してくれ。

 ノエルは怪我無しか、間に合ったみたいで何より。

 

「き、貴様は留学生か」

 

「リオン、みんな逃げて!コイツは六大貴族の跡取りよ!」

 

「もう遅い!」

 

 実際のところ聖樹の加護を使われたら親衛隊どころか俺やリオンでもピエールに勝てるかはかなり厳しいものだからな、使われたら不利になるのは間違いない。

 ま、使われたら……だが。

 

「ロイク、私を怒らせるつもり?」

 

 ここでルイーゼが着いてきてくれたのが活きる。

 彼女は六大貴族で実力はロイクと拮抗している、更に言えば家の権力の強さで言えばラウルト家に軍配が上がる。

 

「ルイーゼ!なんでそんな奴の事を庇う!そいつは俺の女に手を出したクズだぞ!」

 

「そうなの?この女がアンタの恋人なんて初めて知ったわ。妄想と現実の区別くらい付けないとダメよ」

 

「クソが、俺と本気でやり合う気か?」

 

「あら、問題を大きくしたいのかしら?――不利になるのは貴方の方よ」

 

「……ちっ、面倒な事を」

 

 このロイクが後々味方になるんだから世の中分からないもんだ、まあ今はただのヤバい奴だが。

 しかしさすがルイーゼ、六大貴族が味方だと頼りになる。

 もしかしたらピエールも今後こうやってサポートしてくれるのかもしれないな。

 

「ノエル、忘れるなよ……お前は俺に頼らなければフェーヴェル家からは逃れられない。俺しか助けてやれる奴はいないんだ、覚えておけ」

 

 一方ロイクは捨てゼリフを吐いて去っていった。

 あー……これで共和国貴族の中じゃまだマシな方なんだよな?本当になんというかこれだから共和国の野蛮人は……なんて、他国の貴族っぽい事口にしたくなるわ。実際他国の貴族なんですけどね、俺。

 

「ルイーゼ――なんでアンタがあたしを助けたのよ」

 

「助ける?別にノエルを助ける為じゃないわ。これはリオンくんに頼まれたからやった事よ」

 

「いやあ、助けてって頼んだら助けてくれたんだよね。な、アル?」

 

「聖樹の加護は強力だからな、対抗するには同格の加護を持つ人じゃないと厳しいから頼んだんだ」

 

 別に助けてとは言っていないのである、何なら全て出まかせだ。

 

「まあ、助けてもらったのは事実だしお礼を言うわ。ありがとう、3人共」

 

「お礼なんていらないわ。それより少し付き合ってよ、リオンくん」

 

「は?あたしもリオンに用事があるんだけど?」

 

「はい?何この状況……ちょっと?ルクシオン?アル?何とかしてもらえないですか!?」

 

「モテモテだなあ」

 

「他人事みたいに見てるんじゃない!あとルクシオンお前は主人を見捨てる気か!?てか何呟きやがった!ええいもうそんなのどうでもいいから助けてくれー!」

 

『少しは反省してほしいですね。私を投げたことへの謝罪も求めます。でなければこの状況を御三方とヘルトルーデに伝えます』

 

「鬼か貴様!!」

 

 しかしこの男モテモテである、ホルファートに嫁が3人いて更にルーデとも良い雰囲気になってて更に共和国で2人作るとか原作超えだよ、アッパレアッパレ。

 まあ助けてはやらない、俺はしばらく帰らないとイチャイチャできないんだからちょっとくらい受け入れとけ。

 

「良いから少しだけ付き合って。会わせたい人がいるの」

 

「あ、会わせたい人?」

 

「――両親よ」

 

「ぶっ!?」

 

 うーん、しっちゃかめっちゃか。

 しかし2人揃って俺に興味無しなのは知ってたけどあまりに空気過ぎないか。

 

「……俺ら空気過ぎない?」

 

「まあ……うん」

 

 

「な、何を考えてるのよ!?アンタ、ラウルト家のお嬢様でしょ!?」

 

「ば、バカ!勘違いしてるんじゃないわよ!」

 

「これには理由が――」

 

 

『チュチュ!』

 

『マスター、アル様。ブラッドのネズミが来ました』

 

 まあだが、そんな空気は一瞬で無くなる。

 

 ――作戦が始まった、かなりハイリスクなものだが。

 

「行くぞリオン」

 

「ああ、ジャンも俺から離れるなよ。2人とも悪いけど緊急事態だからまた後でな!」

 

「え?」

 

「あ、ちょっとリオンくん!?」

 

 間に合ってくれよ、そう願って俺達は駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、ほんと……聖樹の加護ってのは厄介だね!」

 

「ちょこまかと鬱陶しいんだよねぇ、王国風情がァ!」

 

「悪いけどそう簡単に僕を倒せると思うなよ!」

 

 ……僕のネズミはもうそろそろディーンハイツとバルトファルトのところに着いただろうか。

 そう思考しながらジャリエール……フェーヴェル家嫡男から放たれる強力な攻撃や魔法を避けたりいなしたりしている。

 

 ディーンハイツからは自己防衛以外での戦闘は極力避けろと言われていたが、その他にも作戦を通達されていた。

 

 

『……正直この作戦を飲んでくれるとは思わなかった』

 

『僕だってアイツらには一泡吹かせたいと思っていたんだ、最終的にコテンパンにしてくれると言うなら乗ってあげても良い』

 

『任せとけ。それは絶対に約束する』

 

 

 ネズミをポケットに忍び込ませた状態でわざと1人で校舎裏周辺まで行き、ネズミを放ち茂みに隠す。次に誘き寄せ、絡まれたところを録画し証拠を作りそのままディーンハイツとバルトファルトまで急行させる。

 取り巻き相手にわざと時間を稼ぐように戦ったもののあまりにも弱過ぎてコイツと戦う羽目になったが、ディーンハイツは僕を信頼して託してくれたんだ。

 

「がっ……!」

 

「おやおや、さっきまでの威勢はどうしたのかなあ?……この僕様の前にひれ伏せよ、三流貴族の下民が」

 

「ま、だまだぁ……!」

 

「へぇ、まだ立ち上がるんだ」

 

 だから、立ち上がらないといけない。バルトファルトと……ディーンハイツならそうしたと思うから。仲間を信じて立ち上がったと。

 

「じゃあこれでおしまい――」

 

「ちょっと待てええええ!!!」

 

 ほらね、やっぱり来てくれた。

 口からこぼれる血を拭い、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「……遅いじゃないか、『アルフォンソ』」

 

「良い顔になったじゃん、ブラッド」

 

 さあ、後は頼んだぞ――僕の友、アルフォンソ。

*1
ややこしいかも知れないがワンコの方である。話しているのはヒロインの方のノエル

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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