幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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この作品、昔は五馬鹿の出番少なくなる予定だったんですよ
なんか全員に見せ場ありそうな感じになってて笑う


第九十二話『悪友トリオ?』

「――え?船を、アインホルンをわざと奪わせるのかい?」

 

「そうだ、アイツら共和国の連中それも俺らを見下してるヤツらは特に俺が物珍しい船を持っているのが気に入らないらしい。だからいの一番に狙われるのは俺のアインホルン、だが『アレ』はたかが共和国如きの支配は受けない。――わざと支配下に置かれたことにする、そしてそれを利用してやるのさ」

 

「敢えてこちらが死ぬほど不利な状況を作れば相手は油断する。しかも見下し癖のある共和国貴族様なら簡単に引っかかってくれるだろう。そこを叩く」

 

「うわぁ……バルトファルトもディーンハイツも本当にやる事が外道極まりないよね。味方で良かったと心の底から思うよ」

 

「外道は褒め言葉なんでね」

 

「この作戦を知ってるのはブラッド含めて俺ら3人だけだ。情報統制を行うからこの3人以外は味方にすら言うなよ、敵を騙すにはまず味方から……ってな」

 

「ああ。折角仲間にしてもらったんだ、徹底してやろうじゃないか」

 

 時系列はブラッドに作戦に乗るかの打診をした直後まで遡る、そこでは本来ユリウス達が被る被害が無くなる想定をした上での作戦を俺がそれとなくリオンに提示して肉付けしてもらったものをブラッドにだけ伝達していた。

 他の親衛隊、使用人、友人、マリーにすら秘密の徹底した情報統制を敷いた上での決行となるのは3人共、ブラッドも承知でこの作戦に乗ったのだ。

 

 リオンとの決闘じゃ考え無しな奴と思っていたがそこはやはり王国の格式高い上級貴族の跡取り、ちゃんと冷静に考えられるところはしっかりあるって訳だ。

 

 逆襲ってのは溜めて溜めて溜めて、ギリギリまで溜め込んでから放出した方が気持ちいい。だから今はまだ……耐える時間って事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いけどブラッドは俺の友人なんだ、手を出さないでもらって良いか?」

 

「なにィ?この僕様に楯突くって言うのか?」

 

「……そういう訳じゃない」

 

「へぇ……ほう、楯突く訳じゃないと。分かってるじゃないかァ、ちゃーんと僕様の強さを理解している奴は嫌いじゃないよォ。そーうだ、僕様にひれ伏すって言うならお前の船、僕様に寄越せよ。良いだろ?それで服従したって事にしてあげるよ」

 

 時間は戻って校舎裏。ジャリエールが引っかかったのを確認して内心3人共黒い笑みを浮かべるがグッと堪える……餌を前に舌なめずりは三流のする事だ、慎重に慎重に、一歩ずつ1つずつ追い詰めていくのが真の策略家。

 俺とリオンは前世でもそうやってあの子の障壁になる邪魔者を1つずつ消していったのだから……いや、もう前世の事は忘れるんだったな。とにかく2人共慣れてるから冷静に行けば問題無い。

 

「ど、どうするんだい2人共。僕1人が犠牲になる事でバルトファルトの船を守れるのであれば……」

 

「いや、それは出来ない相談だブラッド。物と人の、それも友人の命どちらが価値が高いかなんて明白だ。そうだろ、アル」

 

「そうだな。船1つでブラッドが守れるならそれに越した事は無い」

 

 客観的に見てとんでもない三文芝居を打ってるなあと思わず内心で苦笑してしまう、しかもあのブラッドとだ。

 ブラッドは五人組の中でも最もナルシストで俺やリオンとは反りが合わないと思っていたからな、それが3人でこんなバカをやるまでになるなんて……まあ、リオンに関しちゃまだ友人とは思ってないだろうけど、そこは些事ということで。

 

「それじゃあ、渡してくれるって事でイイんだよね?」

 

「ああ……その代わり」

 

「分かった分かった、もうお前らに手を出さない……そうだろ?」

 

「という事になる」

 

「アヒャヒャ!約束しようじゃないかァ、僕様はやさし〜人間だからなァ!おいお前ら、今すぐ車を準備しろ!三流国家の船とやらを拝みに行くぞ」

 

 よし、完全に掛かったな。後はルクシオンを一旦あっちの所有物という事にすれば完遂だ。

 

「あァ?なんだコイツは」

 

『お初にお目に掛かります。私はルクシオン――このアインホルンの管理をしている存在です。アインホルンの所有者が変更になるという事ですので、私もマスターを変更します。以後、よろしくお願い致します』

 

「へェ、コイツは面白い。そうかそうか、つまりコイツは使い魔の一種でアイツの持つ飛行船を管理している訳だ。アヒャヒャ、三流国家の船だと思っていたがこれはそこそこ期待出来そうだ!」

 

『はい、私がいればクルーなど不要です』

 

「素晴らしい!益々気に入ったよ!これならこの僕様が!フェーヴェル家が!六大貴族筆頭になる日も近い!」

 

「ジャリエール様!車の手配終わりました!」

 

「所詮お前らは落ちこぼれの三流国家のゴミ共だが、感謝してやるよォ……これだけはなァ!アッヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

 

 高笑いを浮かべて去っていくジャリエールが車に乗り込み、見えなくなったところでふぅ、と3人揃って息を吐き出す。

 作戦大成功だ、寸分の狂い無くアインホルンとルクシオン、そして船の中にあるアロガンツはあっちの手に渡ったのだ。無言でグータッチをしてそそくさと立ち去る。今後の話は――ヘルシャーク隊、つまり俺の所有する船の中でする為だ。

 

 気取られないように、敢えて帰り道は暗い表情を崩す事も無く、ね。

 

 

 

 

 

 

 

「まずは一旦お疲れさん」

 

「ブラッド、お前根性あるじゃないか。見直したぞ」

 

「そうかい?アルフォンソにそう言ってもらえるなら光栄な事だ」

 

 ヘルシャーク隊屋敷に鎮座する三番艦……バウアー隊の船の中でひっそりと今後の話をしている。

 バウアーと副官のギャレットには「誰もこの船に近付けさせないように、マリーであってもNGを厳命する。この3人の話は誰も聞いてはならない」と言ってある。味方であっても作戦を知る者の数は必要最低限でないとバレてしまう。

 ま、ヘルシャーク隊が俺を裏切る事は何があってもありえないと言い切れるくらい信頼してるから良いけど。

 

「つーかブラッド、俺の事名前で呼んでくれるのな」

 

「ジャリエールと戦ってる時、アルフォンソならどうするかというのが真っ先に浮かんできたんだ。キミなら――仲間を信じて何度だって立ち上がる、そうだろう?」

 

「まあ、な。照れくさい話だが信頼してるんでね」

 

「だから僕もキミを倣ってみたんだ。そしたら自然と名前を呼んでいた、それだけアルフォンソ、キミを信頼しているという事だ」

 

「そりゃどうも。作戦とはいえ死線を潜り抜けたんだ、俺達は戦友だ」

 

「ああ、そうだね」

 

 ところで俺とブラッドはすっかり仲良くなっていた。

 俺が到着した直後に聞いた『アルフォンソ』と俺を名前で呼ぶ声には思わず少し胸が熱くなった、五人衆とは色々あったとはいえ今じゃ仲良くなりたくない訳じゃないくらいには思ってたし。

 だからこそ、ブラッドから名前で呼ばれたのは感無量の思いがあった。

 

「お前ら2人で盛り上がってんのは良いが、作戦会議すんぞ」

 

「おっと済まないねバルトファルト」

 

「そうだったそうだった」

 

「……やっぱアル、お前含めて六人組で良いんじゃないか?」

 

「それだけは無いからな!?」

 

 ただ、だからと言って六人組扱いだけは許さない。

 俺はあの時成り行きと作戦でその地位にいただけなんだから、それだけは何があってもありえないのだ。何ならマリーを勝ち取ってる訳だし?だから俺が一抜けって事なんだよ、分かってるか?

 

 ……ゴホン、作戦会議に戻ろう。

 

「ゴホン、とりあえず今後だが俺のアインホルンとアロガンツは公国との戦争で一部故障して出力が落ちていることになっている。勿論ルクシオンとも打ち合わせ済みだ、アイツをハメるには持ってこいの状況は作ったってワケだ」

 

「だがどうするんだい?一度ポーズとはいえひれ伏したという事実は残っているんだ、ジャリエールが食いつくようなお宝でも無ければもう一度誘き寄せるのは厳しくないかい?」

 

「そこでこれまでルクシオンに動いてもらっていたのさ。――レスピナス領にあるダンジョンに《聖樹の苗木》を発見した」

 

「聖樹の苗木?……いや、まさか!?」

 

「そう、王国の上位貴族の出なら知ってる事かも知れないが、聖樹の苗木はこのアルゼル共和国からしたら喉から手が出るほど欲しい幻の逸品だ。それを餌に釣り上げてボコボコにする」

 

 ちなみにルクシオンはレリアの方に付けていたのでこれは若干の嘘だ、この情報は勿論であるがマリーと俺の前世の記憶から手に入れた情報だ。

 聖樹の苗木はそれがあるだけでとんでもない騒ぎになる、政争にすら繋がりかねないとんでもない代物……これがあればジャリエールは原作ピエールのように誘い込まれるのは自明の理。

 

「し、しかし聖樹の苗木は掘り返すとすぐ枯れてしまうのでは……」

 

「そこはほら、ルクシオン特性のトンデモ植木鉢があるから枯れる心配は無い。それにダンジョンの案内は学院の教師に頼むからそこも問題無し、事前準備は万端って訳だ」

 

「……心配した僕がバカだったよ。キミ達相手にそんな杞憂は要らないようだ」

 

「ただ、ダンジョンアタックの時はブラッド達何人かにも手伝ってもらうからな。この会議が終わったらマリーのとこで回復魔法をしっかり受けてくる事、良いな?」

 

「分かっているとも。この僕の顔が傷モノになったらマリエに会わせる顔が無い」

 

「だからマリーはやんねーからな。もう挙式も挙げたんだぞこちとら」

 

「はは、友人だからと言ってそこは妥協出来ないよ。本気で愛した女性なのだからね」

 

「んっとにお前はよぉ……」

 

 俺達は数日以内にダンジョンアタックを行いそこで聖樹の苗木を手に入れ、即座にジャリエールを誘き寄せる。

 ここまで徹底的に計算してやっとこさ復讐開始なのだから本来復讐というものは割に合わない、疲れるからやりたくないんだよ。

 しかしやらねば俺達が納得行く未来は手に入らないし王国をコケにされて黙ってるのも王国貴族として許してはいけない。

 

「頼りにしてるからな、ブラッド。ダンジョンアタックの時の後衛は任せるぞ」

 

「任せてくれたまえ、僕だって努力を続けてきたのだからそのお披露目と行こうじゃないか」

 

 ニヤリと3人で笑う。

 さあ、劇場の幕が上がる。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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