幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

96 / 104
第九十六話『作戦開始!Ⅰ』

「……まあ話は分かったわよ」

 

「お、理解が早いな」

 

「伊達に兄貴の妹やってないわよ」

 

「そりゃどうも」

 

「それはいいけど兄貴……鎧はどうする訳?」

 

「どうと言われても売ってくれない商人が悪いしな。売ってくれないならどうしようもない」

 

 現在俺とリオンとマリーとで話し合いが行われている。

 まあ俺にはこれ以上関係無いから良いが、相変わらずマリーの紅茶は美味いからリラックス出来るなあ。

 現にリオンもマリーの淹れる紅茶に文句を言った事はない、何せ転生してから俺が手ずから育て上げたからなふふん。

 まあそんな感じで余裕ぶっこいているが実際リオンの心配とかは全くしていない、鎧はどうせ持ってこないのが作戦だろうしな。

 

「そこのおとぼけ夫もよアル、アンタの鎧貸すとかしないの?」

 

「クロカゲとかウチの量産機とか貸しても良いけど、別に乗らないだろリオンは」

 

「ご名答」

 

「ご名答、じゃないわよ!それでどうするつもりなのよ!」

 

「まあ生身だろ」

 

「まあ生身だな」

 

「何2人して連携してるの!?さも当たり前みたいに言ってるけど明らかに頭おかしいわよ!?」

 

 マリーのツッコミは至極当然である、普通鎧と生身が戦って生身が勝てるはずが無いのは目に見えている。だがだからこそリオンはそれを逆手に取って戦う、この人は前世から姑息な手を使って逆境を敢えて作っては逆転して見せて相手を屈辱のドン底に落としてたもんなあ。

 

「いやでもリオンだぞ?無策で挑む訳無いだろ」

 

「そうそう、前世でも良くやってただろ?復讐ってのは相手が最も有頂天にいるところから蹴落とすのが何よりも味わい深いんだよ。だから俺は状況を逆手に取る、これ以上は何をするか話せないけどな」

 

「はぁ……兄貴ならやりかねないから何も言えないわよ……それにしたってよ。あまりにも平然とし過ぎじゃない?」

 

「まあリオンだし」

 

「あんなバカに負ける訳が無い」

 

 確かに俺はある程度リオンとは距離を置いている、それは公国との戦争の一件で明確になった。だがそれだけで信頼まで無くした訳じゃない、寧ろ俺なんていなくても何とかなるとさえ思っているのも含めて距離を置こうとしている。

 ただ、新道寺関連だけはイレギュラーだから俺が処理しないといけないがな。アレだけは何がなんでも俺がやんないといけないし。

 

「ま、何にせよリオンに任せときゃ何とかなるって。んじゃ俺は外の空気でも吸ってくるから」

 

 取り敢えず頭を冷やしてこよう。

 モヤモヤしたままだとマリーに勘づかれかねないしな。

 

「……アル?」

 

「ん?」

 

「気のせいなら良いけど、最近なんか悩んでる?」

 

「なんで?」

 

 ほらこんな風にな。

 この子は俺の事になると目敏いから気を付けないと、俺の知られたくない秘密までバレる事になってしまう。

 それは勘弁願いたい。

 

「うーん……少しだけアタシへの態度とか兄貴への態度が違うように思えて」

 

「んじゃ気のせいだな。俺は前世からマリーの事が大好きだしリオンの事も慕ってるからな」

 

「そう?それなら良いけど、何かあったら言いなさいよ。アルったら寂しがり屋の癖に1人で抱え込んじゃうんだから」

 

「気をつけるよ」

 

 あー腹痛がするぜほんと。

 リオンからは凄い顔で見られてるし、マリーからはギリギリで回避するレベルでヒヤヒヤさせられるしほんとなんなんだ。

 

「とにかく俺は外に行く、最近息が詰まって仕方ない環境ばっかにいたからな。あ、帰ってきたら膝枕を所望するのでよろしく!」

 

「も〜調子が良いんだから」

 

 ただ、マリーの膝枕には抗えないのも確かなのであった。

 ちなみに玄関辺りにはノエルとルイーゼがいたのでストレス発散を兼ねて2人をリオンの部屋にけしかけたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ俺の屋敷はカーラ、ジルク、俺、そんで助っ人のピエールだけを残して後は全員港の倉庫に1つに1人張り付いていてくれ。ビンゴがあったらネズミくんによる音波通信を行ってもらう。1人1人違う音波を割り当ててるから事前に全員分の音を聞いてもらうぞ」

 

 そして迎えた決闘当日、まあ俺は当事者ではないからこっちの方の作戦を遂行する事になっている。

 ジャリエールみたいな腐れ外道が品行方正な決闘なんてするはずがないので原作に近い襲撃をすると読み、敢えてカーラと護衛を1人残したという状況に錯覚させ襲撃者を全員一気にやってしまおうという作戦だ。

 

「そ、それは良いけど……ラウダさん達の警護はしなくて大丈夫?」

 

 まあいつも念入りにラウダ達の守りを固めていた俺が急にこんなに守りを緩くするのはいくらマルでも心配ではあるわな。

 その為に丁寧に説明をしてやろうじゃないか、こういう時しっかり説明しておくことで無償の信頼を置いてもらえる訳だしな。

 

「ラウダとルーデは決闘会場でマリーやブラッド達と一緒にいるから問題ない、あそこで問題を起こせば誓いに反する事になるからな。それと今回の作戦は守りの作戦ではなく攻めの作戦になる。敵陣営を徹底的に潰す、共和国の王族だろうがなんだろうが俺ら王国の名誉と個人的復讐の為だ!やるぞお前ら!」

 

「いいねぇ、そうこなくっちゃ」

 

 セミエンが楽しそうで良かった。

 他の連中も王国民としてのプライドや、中には俺やリオンをコケにされたのが気に入らないとしてノッてくる連中もいたりと、嬉しい誤算もあった。みんなやる気に満ちていて何より、これならジャリエールの鼻を明かせるだろうよ。

 

「よし、モチベーション充分だな。カーラは洗濯物を干しに外に出る設定、ジルクは油断して一旦中にいるが外が騒がしい事に気が付いて出てくる設定だ。一度誘拐ギリギリまで演じてもらう事になる、ごめんなカーラ」

 

「いえ、問題ありません!全てはマリエ様の為に」

 

「こちらも問題無いです。要するに私が全て撃退してしまっても構わないのでしょう?」

 

「カーラは覚悟決まり過ぎだなオイ。ジルクは……まあそれが出来るならそうしてくれ。ただ作戦だから助けにはいけないぞ、一度ボコボコにされる事も念頭に置いて立ち回れ」

 

「貧乏くじは分かっています。全てはマリエの為に、この身を擲つ腹積もりです」

 

「お前も大概覚悟決まってんのな」

 

 カーラは救われてからというもの本当に自己犠牲を厭わなくなったというか、この身はマリーの為にあるとでも言わん勢いだな。

 その姿勢はちょっと危ういから誰か守ってやってほしい。

 

 ジルクは完全に死亡フラグだな、強いっちゃ強いが多勢に無勢だからやられるのが関の山だろう、悪いな。

 

「俺とピエールは誘拐されたカーラを尾行して、中に入ったら急襲を仕掛ける。ビンゴのあった倉庫にいた奴と俺ら含め3人以外は第二陣として襲撃してもらう。つー訳で病み上がりでスマンが一緒に頼むぞピエール」

 

「任せてくれ。今は体を動かしたくて堪らないんだ、あんなにズタボロにされたんだからやり返したって罰は当たらない、だよな?」

 

「その通り、聖樹の力を使うのは後々面倒になりそうだから控えてもらうけど大丈夫だな?」

 

「不意打ちさえされなければ何も心配要らない、こう見えてもしっかり鍛えてるんだ」

 

「んじゃ信頼するぜ」

 

 そして今回一番のイレギュラー、ピエール。

 コイツは作戦を考えている最中に連絡を取ってきて「自分も参加出来ないか」と志願してきた。最初は病み上がりだからと断ろうとしたのだが、どうしてもと懇願してきたので折れて俺との強襲ペアとして参加してもらうことにした。

 俺が見てれば一番安心だからな、強さもそこそこあるっぽいし。その辺はお手並み拝見と行こうか。

 

「それじゃ各位配置に。あ、それと倉庫に張り付く担当者達は万が一連中に気取られたら専用のアラーム音波を発信する事、良いな?」

 

 一瞬たりとも慢心なんて出来ない、もう同じ過ちは繰り返さない。

 さあ、作戦開始と行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

-オマケ ピエールの評判-

 

「ピエールへのイメージ?」

 

「ああ、確か数年前に街中で出会ったんだよな?どんな感じだったか聞きたくてな」

 

 ピエールが原作とは全く違う綺麗なピエール、というのはあのボロボロになった姿を見ればもうそれは痛いくらい理解した。

 それはそれとして、じゃあどんな奴なのかというのが純粋に気になった俺は一番仲が良いであろうノエルの元へと向かって話を聞き出していた。前聞いた話によれば、ピエールとは数年来の付き合いで街中で遭遇したそうだ。六大貴族関係者が平民街にいたとかどんな印象を抱いたのかとか、普通に気になった。

 

「そりゃもうびっくりしたわね。あれはフェーヴェル領地に遊びに行った時だけれど、六大貴族なんて共和国至上主義な上に貴族至上主義の塊って偏見しか無かったから、そんな六大貴族の、それも直系の子息が平民街を歩いてて更に慕われてる姿を見た時は夢でも見てるんじゃないかって思ったくらい」

 

「へぇ、その時から既にピエールはあんな感じだったと」

 

「みんなから慕われていたわね。何か困っている事は無いか、あったら自分がやれる範囲で頑張って何とかしてみるって言ってるのを聞いた時なんて何かの冗談かと自分の耳を疑ったわ」

 

「だけどそうなると、誰の影響でそう育ったのか尚更不思議だな。心当たりとか無いのか?」

 

「無いわね。フェーヴェル家は根っからのクズ一家でピエールが異端児扱い、他の貴族もコーデル家……あーサルディの家ね、あそこ以外は全部クズよ。かと言ってサルディも親交を深める前から既にあんな感じだった、って言ってるから違う。他の取り巻きはジャンと同じ平民出身だし」

 

 ふむ、ノエルどころかそれより前から関係のある取り巻きでもアテが無いとなるといよいよ持って分からんなあ。

 

「ありがとう、ピエールがとにかく根っからの良い奴なのは伝わったよ」

 

「でしょ?これからも良かったら仲良くしてほしいわ」

 

「勿論、これからも良い友人として付き合わさせてもらうぜ」

 

 ノエルは最後にそう言って去っていった。どうにもめちゃくちゃ太鼓判を押されているらしいな、良い友を持ったじゃないかピエール。

 何があったかは知らないが誇りに思えよ、きっと生涯を通じての親友になるぞノエルは。

 

 ……しかし本当にアテが無いとすると……待てよ、この違和感確か前にもあったような気がするぞ。

 

 でもどこだったかなあ、思い出せない……よりにもよって一番思い出したいこの瞬間に思い出せないなんて俺は一体何をしているんだ俺は。

 

「喉元まで出かかってるんだがなあ……この違和感の正体、絶対どっかで既視感というか見てるはずなんだよ」

 

 その後うんうんと唸りながら一晩中考えたが結局思い当たるものは浮かんでこなかったのだった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。