幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「アヒャヒャヒャ!逃げてばかりじゃ面白くないじゃないか〜?ん〜?どうしたのかねぇ、バルトファルト伯爵ゥ?」
「へぇ、少しはやるんだな。まあでも当てられてない時点でお前の実力不足が露呈してるけどな。こちとら生身、お前はアロガンツ、この差があって情けないとは思わないのか?」
「まだ吠えられるとは、お前はとんだバカ野郎みたいだねぇ」
「いやバカはお前だろ。どう考えてもパイロットの才能無いぞ、鎧乗るのやめたら?」
「ちっ、さっきから威勢だけは良いねえ。いつまで続くか見ものだけど、ね!」
「だからそんな単調な攻撃当たるかっつーの!」
決闘場ではあまりにも歪な決闘が行われていた。
鎧に搭乗するジャリエール、対するは鎧の準備が間に合わなかったと申告し生身で決闘を挑んできたリオン。
誰がどう見てもリオンが不利だ、共和国の学院生達は諦めの表情でそれを見つめていた。
「あーあ……ジャリエール様に逆らうからあんな事に……」
「鎧同士の決闘だからって見に来たのによぉ。潰れたカエルを見る趣味はねえんだけど」
「六大貴族に逆らうなんて王国民はバカしかいないのかしら」
ただ何人か、全く違う面持ちで見ている人間達もいた。
アルフォンソが決闘場待機にしたマリエ、ヘルトルーデ、ヘルトラウダ、シーシェック、ステファニーだ。
ジャン、ノエル、ルイーゼと言った基本リオン側の友人達ですら共和国の人間だとリオンでは厳しいという見方をしている中で、王国組は誰1人とてリオンの負けを想定していなかった。
「うーわ、リオン完全におちょくってるわねアレ」
「アイツのやりそうな事ね。公国相手にあんな勝ち方したのだから最早どう勝つのかだけ興味があるわ」
「お兄様が一番頼りにされているリオンさんですからね、あのような者に遅れを取るはずが無いです」
「いやはやしかし、リオン様もアルフォンソ様と似て敵には容赦無く挑発や外道戦法を使われますね。本当に良く似てらっしゃる」
「それあの2人以外だと褒め言葉になってないわよ……ほんと、呆れるわ。呆れるくらいの外道よ」
「アル様は主にご主人様に危害が及ぶような事があると徹底的に潰しに行きますからね。もう見慣れましたが」
マリエ、ヘルトルーデ、ステファニーは呆れ返っていた、この後どうあってもジャリエールはまともな最後を迎えられないと察していた。それは先の公国との戦争で全員身に染みて実感している。
マリエとシーシェック、カイルは元より知っていたが。
そしてヘルトラウダは純粋に『自分が兄と慕っている人の一番の相棒なのだからこれくらい当然勝てる』と何一つ動じていない、アルフォンソへの信頼は天元突破していた。
シーシェックは微笑みながらアルフォンソとリオンが似ていると改めて噛み締めていた、この学園で出来た初めての主の友人で親友、1年でまるで何十年も共にいたかのような息の合い方や似通った性格に『自分も若い頃執事仲間とあんな風に友人関係になっていた』と懐古していた。ちなみに彼はまだ20代前半であるしその執事仲間もディーンハイツ家の執事として働いている。
「あ、ロイクが殴られた」
「バカねえ」
途中しゃしゃり出てきたロイクに鉄拳制裁したルイーゼを眺めながらマリエとステファニーはのんびりとそんな事を漏らす。
周りの喧騒なんてまるでどこ吹く風であった。
『いつまでおちょくってるのかしらね、ほんととことん性格悪いんだから』なんてヘルトルーデがドン引きする中、喧騒や言葉を切り裂いて一台のエアバイクが降りてくる。
ザワつく観客席を無視して男が叫ぶ。
「ようリオン!作戦は成功だ!カーラちゃんは俺らが助けたぜ!」
「……ルブロイがあの感じならひとまずアルは大丈夫そうね」
「心配なら素直にそう言えば良いのに」
「こ、これくらいで心配してたらディーンハイツ家の妻は務まらないわよ!まったくもう……」
声の主は先程ジャリエールの手先の一派を壊滅させて誘拐されていたカーラ……自作自演だが、を救出してここまで急行してきたアルフォンソ組の1人、エアバイク乗りの天才であるセミエンだった。
彼はアルフォンソと出会ってから頭角を現しメキメキと実力を伸ばして今やエアバイクに限定するなら学園1の操縦技術を得ていた。
そんなセミエンはニッと快活な笑みを浮かべサムズアップを王国組とリオンに向ける。
「もうそんな奴、ドカンとやっつけてください!」
カーラも余裕の笑みでリオンに伝える、1点の不備も無く作戦は成功したと伝えるのにそれ以上の問答は無用であった。
「よっし、これでもう心配は何も要らないな」
「チッ、使えない奴らだね。これだから貴族でもない連中は使えない。まあ良い、今更人質1人いてもいなくても僕様の勝ちは揺るがないさ。何せ僕様は次代の共和国のトップの1人なのだから」
「さあてそれはどうかな。――覚悟は出来てるな?」
「どこからでも来ると良い、勝てるならばね!」
「1つ教えてやる……俺は根っからの小心者であり、お前を凌ぐくらいの外道だ」
リオンのターンは、まだ始まったばかりである。
「ギャレット、報告しろ」
『へい。フェーヴェル家領内で何やらドンパチ始まってますぜ。何がどうなってこれが起きているのかさっぱりですが規模を見るに戦争だと思います』
「分かった、始まったのなら良い。お前は直ちに現場から離脱して戻ってこい、自分の命最優先で必ず生きて帰還しろよ」
『勿論ですぜ頭領!』
ジャリエールの雇った連中との抗争を終えた俺達は「まあどうせリオンが勝つし大丈夫だろ」という慢心ではなく確信の元のんびりと帰還していた。
その中で俺がやっていたのはギャレットへの通信だ、アイツにはついさっきまでフェーヴェル家領内の偵察に向かわせていた。ちゃんと滞りなくルクシオンがやってくれているかどうかの確認だった。まあ説明がややこしくなるのと作戦が漏れると面倒だから一部の人間以外には話していなかったが予定通りちゃんと始まっていたようだ。
「……フェーヴェル領内で戦争か」
この集団の中で唯一フェーヴェル家に籍を置いていたピエールは領内が心配なんだろうな、あくまでも心配しているのは親族や貴族、軍人達ではなく領地に住まう平民と、唯一貴族であるにもかかわらず自分に長年付き従ってきてくれていたサルディの家であるコーデル家だけどな。
ま、それを心配させるような俺じゃない。事前にそれくらい配慮しているに決まっている、殺戮がしたい訳じゃないんだからさ。
「心配しなくとも、リオンが使役してるルクシオンはめちゃくちゃ賢くて分別を弁えてる奴だから平民に被害は出さない。どさくさ紛れに潰すのは軍事設備とルクシオンを止めに来た戦艦だから。ちなみにピエール派閥で唯一の貴族であるコーデル家の船は全艦把握してるからそこも問題無い」
「そこまで配慮してもらえるなんてな。滅ぼされても文句を言えない行いを兄上達当家領内貴族はしてきているのに」
「それとこれとは話が別だ。ピエールは領民の為に必死になって頑張ってきたんだろ。俺達は滅ぼすのが目的じゃない、悪を掃除して住みやすい環境に変えるそれだけだ。――んでまあ、行く行くはピエール、お前にフェーヴェル家の当主になってもらいたいって俺は思ってんだよ」
後は俺の考えているもうひとつの事も話す、これはピエールが俺達と共にジャリエールの刺客達と戦っている時に確信した事だ。
優しさ、勇気、武勇、情熱、冷静さに加えある程度の学力もあるコイツであるならば共和国のトップに立ってもらいたいと心の底から思える存在になった、ここから崩壊する共和国を再建出来る存在だと確信している。
だから今伝えた、俺が何を目的にルクシオンとリオンにこれを提言したか、最終的にどこに着地するのであるのか。
「お、俺が……?当主?」
「共和国はあまりにも思想が強過ぎる連中が多い。その中で当主になって信頼に値すると思ったのはピエールとルイーゼくらいだ、ラウルト家もグランジュ家も家自体は何も分かっちゃいないしナルシス先生は……うん、当主って柄じゃないな」
そもそも共和国が敵対しないなら敵対したくはないんだよこっちとしては。あっちが色々仕掛けてくるから平和にいかないだけで、信頼出来る連中で当主を固められるなら寧ろ願ったり叶ったりだ。
とはいえセルジュやロイクは事前知識を考えれば論外、ナルシス先生は穏健派だが当主にするには本人があまりにも乗り気じゃなくまた学者肌故政治家としての手腕には期待出来ないのが欠点。
ルイーゼは跡取りじゃない、そうなるとジャリエールを陥落させて現当主の方も立場を悪くさせ、ピエールで善政を敷かせるのが最も良いルートだ。
「良いんだろうか、俺がなってしまっても」
「まあ、お前に悪いようにはならないはずだ。こんな俺達しかいない車内だから出来る話、ジャリエールを潰すという事はフェーヴェル家を一旦潰すのと同義。ルクシオンが暴れてるから今更か。で、ずっとこっちに着いててくれたピエールの派閥だけ無傷で生き残らせて次代のフェーヴェル家にしちゃおうって算段。俺達だって好きで共和国と敵対してる訳じゃないから、ピエールがなってくれれば嬉しいんだ」
「……正直、俺に務まるのか分からない。悪いけど少しだけ考える時間をくれないか?」
だが、唐突に言われれば今のピエールならこうなるのは目に見えていた。自分が次期当主の器だなんて微塵も思っていないからな。
だから躊躇するのは当たり前だ。原作の野心ダダ漏れの外道とは似ても似つかない。
「勿論、これはお前の人生を決める決断になるから。慎重に決めてくれ」
「ありがとう」
もしもピエールが共和国なんてもう捨てたい、なんて言ったら……その時は俺の仲間として王国に亡命させようかな。
正直言って、その発言はあまりにも唐突だった。
『――んでまあ、行く行くはピエール、お前にフェーヴェル家の当主になってもらいたいって俺は思ってんだよ』
俺はかつて、フェーヴェル家の当主の座を狙っていた。
だがそれはもう遠い遠い昔の事、今はそんなものに興味なんて微塵も無かった。
そんな中で告げられた、フェーヴェル家を滅ぼした後の次期当主の話に俺は首を縦に振る事が出来なかった。今のこの、俺自身信用出来ない共和国で当主など務まるのか、分からなかった。
そしてだからこそ言えない事があった。
『聖樹の暴走』、何がトリガーとなったかは分からない。あの人もそれだけは阻止したかったととてつもなく悔しがって荒れていた程だ。本当は言った方が良い、それは分かっている。
それでも。
無責任にそれを言ってあの人を苦しめるだけになっては、絶対にいけない。
少なくとも、今はまだ――
【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?
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大丈夫だ、問題無い
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無理
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アルマリでイチャイチャしろ