タンクトッパーイズク   作:規律式足

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死穢八斎會編全て無いのでかなり時間あります。
耳郎ちゃんがやらかす話です。


第100話

 

 文化祭の出し物がライブ発表に決まり早二週間。

 クラス委員長である飯田君が経営科と話し合いお互いの役割分担を決める。

 その結果A組は出し物の発表に集中し、受付宣伝機材の手配に許可などは経営科が請け負った。

 ただその対価としてA組の生徒達をモデルとしたグッズ販売の許可を求めてきた。まあ写真や映像に関しては雄英体育祭を経験した以上今更だし、人前に立つヒーローを目指す以上は時間の問題だろう。学校で認可される範囲かつ本人の許しがあった場合ならと了承した。

 その提案に恥ずかしがる者も多少はいたがそれでもせっかくの機会だからとグッズ販売は問題なく許されることになった。

 しかし経営科もノリと勢いとネタで拵えた峰田君の等身大フィギュア(定価二十万)は売れるのだろうか?雄英高校の資材と施設で作ったから割と格安でできたみたいだけど。

 ちなみに売り上げは準備にかかった費用と打ち上げ代を引いた後、残りを未だ復興中の神野区に寄附する予定だそうだ。経験を積むことが彼らにとって得難い利益みたいだ。

 授業を終えた後の空いた時間に文化祭の準備。

 本格的な文化祭準備期間は文化祭開催日の数日前からだが、それまでにも準備はできる。耳郎さんが曲を完成させるまではダンス班の僕たちはダンスの基礎などを芦戸さんに習っていた。やってみればダンスもまた奥が深い、この足さばきに息継ぎのタイミングにリズム感、観衆に魅せる動きなどはヒーロー活動に活かせることばかりだった。

 そんな中、気まずいような恥ずかしそうな顔をした耳郎さんが話しかけてきた。何用か聞けば相談があるということ、勝己ではなく僕に言ってきたということは、

 

「勝己が何かしでかしたのかっ?!」

 

 彼女が僕に言うのならそれしか無い。

 

「しでかしたとか、この世でお前にだけは言われたくねえわっ?!」

 

 まあ日頃からしでかすの僕だしね(自覚あり)

 

「いや爆豪が何かしたとかじゃなくて」

 

 耳のプラグの先をチョンチョンと合わせながらチラチラ勝己を見ながら耳郎さんは言う。

 なるほど、勝己自身が何かやってはいないが主な要因というわけか。

 

「分かった、話を聞くよ」

 

 とはいえ僕に何とかできることだと良いけど。

 

 場所を移して個室にて話を聞く。  

 個別に仕切られた空間なら周囲に漏れることもないだろう。

 

「それで話というのは?」

  

「これなんだけど」

 

 彼女から渡されたのは3つの楽譜。

 なるほど出し物用の曲ができたから呼ばれたのか?それもこの短期間に三種類も。彼女が集中できるように手を回した甲斐はあったようだ。

 しかしコレは僕ではなくダンスリーダーの芦戸さんに見せるべきではと思ったけど、最初の曲とその歌詞を見て納得した。

 なるほどコレは芦戸さんに見せられないね。

 情熱的なその歌詞は読み応えあったが揉める原因になりかねないね。そんな感想を抱いて続いて二曲目を読めばコレも中々、脳内でタンクトップと唱えなければ恥ずかしくなりそうだ。そして三曲目を呼んだ感想は(汗)もう冷汗をかくだけだよ。

 とりあえず額を押さえてもう一度読んで内容を確認して、そこに書かれている歌詞が変わりないことを理解する。

 それが終わるとエア煙草(煙草をすう仕草)をして思い切り息を吐くと(ココアシガレットを買っておけば良かった)性格の悪いプロデューサーとクライアントの気持ちになって彼女に告げる。

 

「君ィ、今回依頼した内容覚えているぅ?」

 

「はい、すいませんっ!!」

 

 耳郎さんも自覚あるからか縮こまりながらも全力の謝罪だ。

 

「君ィに頼んだのはぁ、文化祭で生徒達が演奏する曲だよねぇ?」

 

「はい、そのとおりですっ!!」

 

 僕はパンパンと渡された歌詞を叩きながら言う。

 

「なのに何で歌詞が一個人に向けてのラブソングなんだいっ!!

 君は歌うのかっ!!

 この歌詞をっ!!

 文化祭で自作の曲で想いを歌うのかっ!!

 伝説だらけの雄英高校に新たな伝説を創る気なのかっ!!」

 

「すいませんっ!!」

 

 うーん、作曲に集中できるように勝己と二人きりになれるように手回したのが裏目にでちゃったか。作曲とか芸術は本人のモチベーションが大事だからできる限りのことをしたんだけど。喫茶店デートで二人で作曲なんて青春の一コマだもんね。そら恋する乙女なら舞い上がるか。けどこの短期間で三曲もラブソングを創るとか才能あるとしかいえないよね。

 まあとりあえず、

 

「それでどれにするの?」

 

 テーブルに楽譜を並べて聞く。

 

「へ?」

 

 なんでキョトンとしてるのさ君。

 

「? どれにするかの相談じゃないの?」

 

 クオリティ的にどれでも良いレベルだしね。

 

「えええぇっ!!」

 

 なんで驚いて叫ぶのさ。

 

「いや、これから選ぶのっ!!

 こんなの歌ったら死んじゃうよっ!!」

 

 勝己が恥ずか死ぬね。

 つかそれをだしたの君でしょが。

 

「いやだったらなんで出したのさ」

 

 金○先生のテーマソングだって実は失恋ソングだったらしいし、一個人へのラブソングをクラスの出し物で採用するのもありじゃない?

 

「そ、それは」

 

 顔を赤らめてもじもじしてるけど、そんな表情は勝己にだけ見せなさい。

 しかしなんでたろ?別にこれならどれでも良いけど、敢えて見せてきた彼女の意図は?

 

「もしかして怒られたかったの?なにしてんだって」

 

「(コクリ)」

 

 悪いことしてしまったという自覚からの行動か。

 いや文句は一応言ったけど、どちらかというとツッコミなんだよねさっきの。

 浮かれて一行もできてません、とかなら流石に怒って怒鳴り散らしたけど曲は三つもできてるしなあ。

 

「とりあえず使うの確定してる部分だけ抜き出してくれない?歌詞はまあ歌うの君だから最後でも良いから。

 浮かれちゃった自覚あるなら、今度はその想いを学校生活やヒーローを思い浮かべながら作りな」

 

「はい」

 

 縮こまる耳郎さんだけど、落ち込ませたくないんだよねこっちも。別に悪いことしたわけじゃなくてまだ時間に余裕もあるんだから。

 

「とりあえず勝己と二人きりの喫茶店デートは止めとくべきかな?」

 

「それはまだ続けさせてください。また新しい曲を作りますから」

 

 彼女ならできるだろうね。

 しかし乙女だねえ、彼女も。

 こっちもそろそろ芦戸さんを足止めする切島君の体が溶けそうで、梅雨ちゃんの足止めの上鳴君が精神的にヤバいけどこのクオリティの曲のためなら仕方ないか。二人にはまだ耐えてもらおう。

 そう言って退出する耳郎さんを見ながら青春の一幕に僕はほのぼのとした気分になった。

 

 

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