タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第102話

 

 偽物扱いしやがった勝己とガチバトル。

 騒ぎを聞きつけたのか連絡されたのかA組のクラスメイトの皆が集まったので本物の証明のため勝己の初恋エピソードを暴露。

 初めての僕との組手で気絶したところをタンクトップガールが膝枕してくれたことが惚れたきっかけなんだよね。

 その僕と一部のタンクトッパーしか知らないエピソードを暴露されて、僕が本物だと認めて血を吐きながら崩れ落ちる勝己。

 いかに諦めて失恋したとはいえ初恋は初恋。

 いつだって思い出しては胸が切なく痛むものなんだよね。まあ勝己は皆の前で暴露されてストレスでノックアウトしたけれど。

 

「そういうことするからだぞ」

 

 真面目に話したら偽物扱い、オオカミ少年的な反応なのは理解しているし納得するけど腹立ったからつい。

 崩れ落ちた勝己を女性陣が介抱するのを見ながらそんなふうに話していた。

 

 さて皆と別れてから再び校内を巡る、そもそも見て回っていたのはヒマだからではなくミリオ先輩とメリッサに誘われたからだ(ダンスパートの習熟が予想より早いから自由時間になったのもある)

 途中で劇の大道具を運んでいたタンクトップパレードに遭遇したけど挑発されたので(拳で)撃退した。まあ後ろで角材構えてた泡瀬君がいたから必要なかったみたいだけど。因みにA組とB組は日に一度の発表予定だから時間をずらしてある、お客にしても何かと話題なヒーロー科の出し物を片方しか見れないのは嫌だろうし僕たちも劇を見たいからね。

 一緒に同じ出し物やっても面白そうだったけどな、とニカリと笑顔を向けてきたしB組も思っていたより敵対心を持っていないのかもしれない。まあ煽っているのが担任教師と煽動家みたいな物間君だからつられるのだろうけど。

 機会を作って交流しようかな。

 せっかくの雄英高校同期、敵対関係だけだともったいないからね。

 B組メンバーと別れて約束の備品室へと向かった。

 

 なるほど美人だね。

 個性にて空を舞う波動ねじれ先輩。

 ミリオ先輩に比べたら付き合いはない人だけど確かに雄英高校ミスコン準グランプリも納得というもの。

 というかグランプリのサポート科の先輩はこの人に勝っているのか凄いな。

 こういったイベントには関わらなそうな天喰先輩がカメラ構えていたことに驚きはしたけど、ビッグ3関連だと積極的なんだよね彼。考え過ぎて途中でお腹を抱えていたけど。

 ミリオ先輩に呼ばれた理由は波動先輩が僕の反応を見たかったかららしい。

 なんか自分の容姿に無反応な僕を波動先輩が新鮮で不思議だったみたいで、ミスコン用の衣装を見たらどんな反応するか気になったからだとか。

 いや綺麗な人だと思うけど、付き合いのせいか美人に慣れてるんだ僕。超合金クロビカリの付き添いはパーティーが多いから着飾った美人ばかりだし。

 そんな僕の反応に不満気な波動先輩はミスコンで唸らせてやるからとさらにやる気をだした、ただでさえ高校生活最後のミスコンだからとやる気満々なのに。

 ミリオ先輩に来てくれてありがとうと礼を言われて僕は備品室を後にした。

 

 そしてメリッサに呼ばれたサポート科。

 全学年一律で技術展示会を開くここは文化祭にて一番熱意溢れる場所かも知れない。

 企業や研究所からも注目されているこの展示会は学生の自由な発想から新たな技術の発展が生まれることを期待されている。

 例年であれそうなのに今年は注目される事情がさらにある。サポートアイテム開発の世界的権威であるデヴィットシールド博士の存在だ、彼の薫陶を受けたサポート科の生徒達がどれほどのものを作りあげるのか世間は期待しているのだ。

 サポート科ラボの入口前で合流したメリッサに手を引かれながら僕は組み立て途中の作品達を眺める、完成されたこれらが一同に並ぶ光景はさぞや壮観だろうけど、こんな風に内部機構が剥き出しでコードが繋がっている光景も中々良いかんじだ。完成品より僅かな期間しか見れない今この瞬間にしか存在しない形、そこにはある種のロマンがあるのではないか。

 ドッカーンッ!!

 うん、まあ完成できればだけど。

 またかよ発目、の声が聞こえてきたけど果たして彼女は間に合うのかな?パワーローダー先生から将来デヴィットシールドに匹敵する存在になるだろうと期待されている彼女、その作品は今からでも楽しみだね。

 完成できればだけど。

 なおメリッサの作品は僕を模したイズクロボ、いや本命はフルガントレットなどの防具タイプのサポートアイテムだけどそれとは別らしい。

 本物そっくりではなく剥き出しの鉄板やらボルトなどあえてロボらしさをだしたトコがポイントだとか。

 ちなみにデヴィットシールド博士自身が創った手本がオールマイトロボだったのでやっぱり親子なんだねこの二人。

 しかし、なんだろうあの椅子?

 サポート科ラボの中央に鎮座するケーブルとモニターに繋がれた二つの椅子、時々サポート科の生徒達がいじっているけど。

 メリッサに聞いてみたらアレはカップル本心チェッカーなる道具らしい。

 座ったカップルを様々な計測機で観測しお互いの本心やら相性を丸裸にするとか。

 研究に行き詰まった生徒が気晴らしで作りだして、同じような状況の生徒達が次から次へと手を加えているそうだ。

 この調子なら完成して文化祭の出し物に出来そうだねとメリッサは笑うけど、僕にはトラブルの種になるようにしか思えないな。

 いや確かに面白そうだけど。

 病んだ目で椅子に手を加えているサポート科生を見ながら僕はそう思った。

 

 

 一通り回った文化祭準備中の雄英高校。

 サポート科でもそうだったけど今しか存在しない熱狂した瞬間。

 文化祭当日より楽しいかも知れない一時にくすぐったいような笑みが溢れる。

 雄英高校に入学してヒーローを目指して命の危険があったりもしたが、この平穏があるから耐えられる、そんな風に僕は思ったんだ。

 準備期間の日々は過ぎ、いよいよ本番だ。

 

 

 

「ところでジェントルは襲撃にこないですよね?」

 

「一般公開しているんじゃないのかねっ?!」

 

 なんか電波を受信したんでつい。

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