タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第110話

 

 A組とB組のクラス対抗訓練は無事終了。

 皆自分の課題を見つけ克服していくことだろう。

 となると僕と勝己VSヒーロー科+心操君で戦うのだけれど。

 

「どうする勝己?」

 

 所定の位置で待ちながら、軽く体を解しながら方針を尋ねる。僕は作戦とかに向いてない。

 

「全員の試合見て個性は知れた。

 司令塔潰して各個撃破でしまいだ」

 

「個別に対策は?」

 

「人数が多過ぎるから無駄だ、必要もないしな」

 

「いきあたりばったりの個人戦闘か、いつもどおり過ぎだよ」

 

「正攻法で勝てるなら正攻法でやるべきだ。

 生兵法は大怪我の元だろ?」

 

「違いない」

 

 二人だと作戦も何もないし、向こうは39人。

 それだけの人数、それだけの個性、さらにさっきまで戦った相手との連携など困難すぎる。

 人数が増えたからといって、戦力が単純にプラスされるわけないんだよ。

 A組とB組の対立煽る誰かさん達もいるしね。

 

「けどさ」

 

「?」

 

「嫌な予感するんだよね」

 

 勘だけど。

 

「お前の勘は当たるからな(とはいえ二人で協力しあっても労力が無駄なんだよな)気は引き締めておけよ」

 

「了解」

  

 さて鬼が出るか蛇が出るか、ブサイク大総統はやめて欲しいけど。

 開始の合図とともに歩きだす。

 呼吸は胞子を気にして、物陰には注意しつつも向こうからのアプローチを待つ。

 探して戦るより、攻めて来た人を狩るほうがやりやすい。しかしそろそろ中央につくけどなにもないな。

 

「妙だね」

 

「ああ」

 

 時間制限での決着はない。

 僕ら二人の確保が彼らの勝利条件だ。

 なのになぜなにもない?

 奇襲は勿論、葉隠さん梅雨ちゃんの斥候すらないぞ。

 

「八百万が爆弾作成して骨抜が地下に仕込んでいるのか?」

 

「クラスメートの危険度上げる発想やめない?」

 

 んなことされたらどうしようもないじゃん。

 

「だが囲んだら勝てるなんて考えてるわけじゃねえだろうし」

 

 実力は何度も見せてるしね。

 

「フハハハッ!!」

 

 訓練場で対戦相手達のリアクションがない中で思考していた僕達に響き渡る声。

 同時にズシンズシンと巨大な何かがこちらに向かう音がする。

 

「待ちに待った時が来たぁっ!!

 今日こそは憎きタンクトッパーとオマケを打ち倒す時!!」

 

「「勝己がオマケッ?!」」

 

 この音声はスピーカーか?何かの中にいるのかな。

 サポート科の二大問題児にしてアンチタンクトッパーである発目明さんの声と共に、入り組んだコンクリートジャングルをかき分けてその巨体は姿を現す。

 

「そう、この私発目明の現時点での最高傑作っ!!

 根津校長の資金提供で完成したドッかわいい至高のベイビーっ!!

 究極のパワードスーツにしてヒーローの新しい形となるであろう新境地。

 その実力、憎きタンクトッパーを打ち倒すことで見せつけてやりましょう」

 

 バケツのような頭に十字の顔。

 西洋のフルプレートアーマーを思わせる、雄英高校の仮想巨大敵とはまるで異なる人型。

 そのコックピット内から彼女は叫ぶ。

 

「この破壊男爵(バスターバロン)を!!」

 

 いやマジで?

 

「お前の客だ、なんとかしろ」

 

 ポンと肩を叩く勝己は凄く面倒臭そうな顔で現れた巨体を見ていた。

 

「というか巨大ロボットじゃんアレ?」

 

「パワードスーツと言い張ってるな」

 

 いやロボットならやりようはいくらでもあるけど、仮想敵で慣れてるし。

 けどなんでパワードスーツなんだろ。

 搭乗式のロボットじゃないかな。

 

「やはり舐めてかかりますね。

 だがその驕りを打ち砕くっ!!」

 

 なっ?!

 巨体にあり得ない速度と機動力でその巨拳を振り下ろす。なんだこの動きは。

 

「ふ、麗日ユニットにより軽量化されたボディは重力による負荷を機体に与えない!!」

 

 内部で麗日さんが個性発動してんのっ?!

 

「ちっ」

 

 勝己が旋風鉄斬拳でその拳を切り裂こうとすれば、鋼色の拳はより鈍く輝きさらには見覚えのある突起までもが表面を覆う、その二重の防御は勝己の旋風鉄斬拳すらも防いだ。

 

「さらにぃ、コスチュームに個性を反映するメカニズムを応用した合金は、両肩のコックピットに搭乗し接続されたヒーローの個性をも再現するっ!!」

 

 斬島君の硬化と鉄哲君の鋼化っ!!

 確かにミリオ先輩の透過とかマウントレディの巨大化とかコスチュームに反映される個性もあるけど、それをこの巨体でっ!!

 というか接続?

 迎撃が通じないため回避する僕と勝己は入り組んだパイプに飛び乗りながら個性を再現する巨大ロボットを見る、いや搭乗者の個性を反映するからパワードスーツなのか。

 

「ヒーローには明確な弱点がある。

 それは防御力に欠けること。

 いかに個性が戦闘向きでも、いくら鍛えようと人である以上は強度に大差がない」

 

 一部例外はいるけどね、クロビカリとか新エンデヴァーとか。

 

「鉄パイプを頭に食らったり、銃弾一発で行動不能になってしまうなど当たり前。

 いくらコスチュームで武装しようとも、強固にすれば重くなり機動力が落ちる、またヒーローが顔を売る商売である以上頭部を覆い隠すことができない」

 

 個性やデザイン優先で実戦的じゃないコスチュームは多々あるよね。特殊繊維で頑強に作り上げるにも限度があるし。顔に関してオールマイトみたいに笑顔が大切って理由もあるだろうけど。

 

「だがこの破壊男爵はその弱点を克服したっ!!

 強固なボディは搭乗者の身を守り、個性を安全に発動できるっ!!

 これぞ新たなヒーローのスタイルっ!!

 サポートアイテムこそ新時代を切り開くっ!!

 そうサポートアイテムは、タンクトップを超えたのですっ!!」

 

「なんで比較対象がタンクトップなんだよ」

 

 げんなりと呟く勝己。

 いや別に競ってないんだけどね(勝者の余裕)

 

「さあ、決着の時ですっ!!」

 

 

「いや、そもそもヴィラン相手にそこまで火力いらないからね」

 

「ヒーローが軽装なら、ヴィランはもっと軽装じゃねえか。コスチュームすら無いっての」

   

「というかコレもう別ジャンル」

 

「つーか、ここまで発目がヒートアップしたのは何もかもお前らタンクトッパーのせいじゃねえか?」

 

「いやクロビカリでしょ」

 

 軽口叩きながら目の前のパワードスーツを見る。

 現状再現できる個性を搭乗した鋼の巨人。

 正直、オールフォーワン、ブサイク大総統戦の時以来の危機だ。

 

「負ける訳にはいかないけどね」

 

「なんでだ?普通にヤバいだろアレ。確かに負けるのは嫌だが」

 

「いやだってアレ、ミリオ先輩が天敵だし」

 

「ああ」

 

 個性の相性がねえ。

 

「一応はトップ2なんだ、ビッグ3には負けらんないよ」

 

「じゃあ戦るか」

 

 共に構えて前にでる。

 貫き通すことそれがタンクトップだ。

 

 

 

 

「それでどうしたんです、発目に私財で協力とか」

 

 担当する教師達にすら知らされていない、サポート科発目明の乱入。そして創り出された発明品について担任達は元凶たる校長に詰め寄る。

 

「なに、いい加減あのタンクトッパーには思い知らせるべきだと思ってね、雄英高校の力ってヤツを」

 

 確かに飛び抜けた実力故に周りを下に見ているところはあるがここまでやるほどなのだろうか。

 

「それにね、あのタンクトッパーの野郎っ!!寮の周りにポクテ捕獲用の罠しかけやがってね。しかもチーズだよチーズ、チーズを餌にしやがったんだよ。

 あの時熊を担いだ女の子が助けてくれなかったら今頃朝の食卓に上がってたからね」

 

 私怨じゃねーか。

 そしてチーズに釣られてかかったのか、このハイスペック齧歯類。

 一同の呆れる視線をよそに根津校長は続ける。

 

「さらにだ、そのチーズ傷んでいてね。翌日お腹壊したんだ、絶対許さねえあのタンクトッパー」

 

 傷んでいたから罠に使ったのでは?と担任達は思ったりしてた。

 

「さあやるのだ破壊男爵、タンクトッパーを撃退せよ。爆豪君はとばっちりでゴメンね」

 

 クラス合同授業のシメはより激しさを増していくのであった。

 

 

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