タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第13話

 

「「「いやタンクトップじゃないんかい!!」」」

 

 慣れない格好(普段制服かタンクトップのため)のせいで皆より遅れてグラウンドにでたらクラスメートから一斉につっこまれた。

 爆豪君にいたっては、まるで世界終焉の予言でも見たような反応だ。

 確かにタンクトッパーは、ジーンズにタンクトップが当たり前で有名だけど、ジャケット羽織ってるだけできちんとタンクトップだよ。

 オールマイトなんか「私要素ある」とか喜んで拳握りしめてるし、もう少しオールマイトの弟子であることアピールした方が良いかな?秘密だよね、師弟関係。

 

「とりあえず保健室行け緑谷、お前は病気だ」

 

「顔真っ青な君が行きなよ爆豪君。

 コスチュームに関してはジェントルのアドバイスどおりにしたんだよ」

 

 いやタンクトップ脱いだら死ぬと言ったのは僕だけどさ。

 

「なんだあのマトモな紳士が言ったのか、なら大丈夫だな」

 

 ジェントルって外部の方が評価高いよね。ラヴァー以外には。

 

「タンクトップ力低いのが欠点だけどね」

 

 まだ2桁なんだよねあの人。実力は高いのに。

 

「だからマトモなんだろうが」

 

 

「さあ始めようか有精卵共!! 

 戦闘訓練のお時間だ!!」 

 

 パトロールしているヒーロー達により対処される捕物や戦闘の方が野次馬などもあって目立つが、凶悪敵は屋内での戦闘が多いなどの説明。

 それに対しての質問の多さにカンペ(そういえば新任だったよなオールマイト)を見ながら説明する。

 内容は屋内での対人戦闘訓練。

 設定は、敵がアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。

 ヒーロー役の勝利条件は制限時間内に敵を捕まえるか核兵器を回収する事。

 敵役の勝利条件は制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事。

 コンビと対戦相手はくじ、体力テストと同様にどこまでできるか知ることが大切なので、誰と組むとかは考慮外なんだろう。

 僕が組む事になったのは葉隠さん、役割は敵だ。

 しかしなんだろう、凄く嫌な予感がする。

 絶対にタンクトップアイは使うなと、タンクトップがタンクトップシックスセンスが告げている。

 彼女はきちんと透明なコスチューム着てるよね?

 

 屋内対人戦闘訓練開始。

 まずやるのは、爆豪君と飯田君が敵役で麗日さん尾白君がヒーロー役だ。

 他の生徒は地下モニタールームで音声無しの映像のみで見て学ぶ、まあこんな監視カメラの視点で見るのも初めてだろうから勉強になる。

 今は突入前の作戦タイムだ。

 

「んじゃ、オフェンスとディフェンスで分けるとしてどうする飯田?」

 

「む、分けるのか?二人で核兵器を守るのもアリだと思うが」

 

「まあ例えばもぎもぎのヤツとかなら拘束タイプだしアリだろうが、俺等は動けるタイプ、この広さで二人動くのは邪魔になるだろ?」

 

「うむ言われて見ればそのとおりだな、敵が迎撃しないのも役割として不自然だ」

 

「で、エンジンによる加速が飯田の持ち味だよな、入り組んだビル内でどこまで動ける?」

 

「接近戦で遅れをとるつもりはないが、万全とは行かないな、威力を出し切る距離が取れない」

 

「ならディフェンスでいいか?ここ片付けりゃ広さは充分だろ?ただ場合によっちゃ誰もこないで終わるぜ」

 

「うむ、評価されてる以上活躍しないのは思う所あるが、派手に活躍するだけがヒーローではない。まだ一回目だし今回は守りに徹しよう」

 

「次も組んだら逆にする、それでいいな?」

 

「心遣い感謝する。だが容易く捕えられるとは限らないぞ、麗日君は触れたら終わりだし、尾白君は格闘経験もある、それにあの尾が室内戦に向いてる」

 

「慢心はねえよ、だがアイツラに遅れを取るほど弱くもねえ。格闘経験?あの師匠やタンクトップ馬鹿に比べたらどうってことはない」

 

「ならば任せた」

 

「ああ、一応言っとくが誰か来たら即迎撃な、

 俺が戻る時は合図する」

 

「承知した」

 

 

「って爆豪君チームは言ってるよ」

 

「「「なんで分かんだよ!!でも説明ありがとう」」」

 

 モニターを見ながら、作戦タイム中の二人の会話内容をクラスメートみんなに伝える。ちなみに尾白君達は、当たり前だが二人で突入、迎撃を尾白君が行い、麗日さんは核兵器に向かうとのこと。

 

「いやね、緑谷少年。全部私が聞いてたとおりなんだけどなんでわかるの」

 

 音声を拾っていたオールマイトが恐る恐る尋ねてくるけど。

 

「読唇術ですけど」

 

 難易度の割にヒーローに必須なこの技術。監視カメラは必ずしも音声拾わないし、敵の戦闘指示も離れていても知ることができる。

 

「?」

 

 皆の反応がないことが気になったら、

 

((((技名にタンクトップついてない?!))))

 

 なんか驚かれてた。

 

 

「じゃあよ、緑谷はこの訓練どうなると思う?」

 

 フルフェイスな瀬呂君が尋ねてくるが。答えは決まっている。

 

「爆豪君が迎撃して捕縛して終わり」

 

 結果は明らかだ。

 

「オイオイ、いくら幼馴染でもそら贔屓目ってヤツだろ?尾白も麗日も入試や体力テストで活躍してたろ」

 

 僕のあっさりした答えに切島君は反論する。

 一理はある、あの二人の相性も悪くない、けれど。

 

「圧倒的に実力が足りない」

 

 対戦相手はあの天才爆豪勝己だ。

 次世代最強といわれる天才格闘家、冥テイ拳のスイリューが鍛えたら面白いと判断した男。

 弱者と才能の無い相手には一切目もくれないあの人が十ヶ月以上も相手して、その上未だに師弟関係を続けている存在。

 ありあまる才能に、戦いに向いた爆破の個性、そこに格上との戦闘経験に武術の動きが組み合わさる。

 現役ヒーローのタンクトッパー達もベジタリアンにジェントルといった限られた者しか勝てないだろう。

 

「個性を用いての戦闘以前にロクにケンカもしたことのない二人じゃ相手にはならないよ」

 

 純粋な体術だけでもスーパーファイト本戦出場者レベル。爆豪君と戦う最低の水準でもそれくらいだ。

 

 僕の本心からの言葉に息を飲むクラスメートとオールマイトがいた。

 

 

 訓練が開始して潜入する二人、そこにいつものように歩いて近づく爆豪君。

 油断からではない、自身の本拠地で構えるヴィランに焦りはなく、想定内とばかりに対処するものだ。

 迎撃しようと尾を振るう尾白君、麗日さんは自身を軽くして話し合いどおりに抜けようとする。

 だが、爆破の加速で瞬時に間合いを詰め、頭を右手で掴んだかと思ったら爆破の衝撃で尾白君の意識を落とす。その動きに目を奪われた麗日さんに爆破で回転しながら捕縛テープを巻く。

 一瞬の交錯、そうとしか言えない僅かな時間で敵チームは勝利した。

 

 講評は一言、爆豪君強すぎ。

 話し合いとかも良かったが必要だったかと言いたくなるぐらい強すぎた。 

 百さんも役割分担に問題なく、ただ爆豪君が強かったと評した。

 だけどオールマイトや超合金クロビカリにタンクトップマスターといった個人戦闘力で状況をひっくり返す存在は確かにいる。そんな存在がいるかも知れない状況で戦うこともあるのだと、ヒーローは思考の隅において置かねばならない。

 落ち込む麗日さん達に、そんな説明をオールマイトはしていた。

 

 

 ビルに破損はないのでそのまま第二戦。

 核兵器のハリボテのとこが綺麗になってたけど問題はない。

 やるのは、轟君と障子君がヒーロー側で、僕と葉隠さんが敵側だ。

 

「緑谷君私ちょっと本気だすわ、手袋もブーツも脱ぐわ」

 

「ちょっと待って、葉隠さん透明素材のコスチュームじゃないの?足の裏とか怪我するでしょうやめなさい」

 

 まさか全裸かこの子、確か生地に細胞練り込んで反映させる手法があるからコスチュームを改良しないと、

 とまで考えた所で、部屋が凍りついた。

 幸いブーツは脱いでないから葉隠さんは大丈夫だろうけど。

 

「うう全裸な私にはしんどい寒さだよ」   

 

 気配的に、まだ一階。時間に余裕はあるな。

 

「ほっ」

 

 先ずは張り付いた靴を剥がして。

 

「葉隠さん大丈夫?」

 

 首から下げた『タ』のペンダントからスルリとタンクトップを取り出して。

 

「タンクトップを着るんだ、暖まるよ」

 

 かつてマスターがしてくれたようにタンクトップを渡した。

 

「……緑谷君、焼け石に水って言葉知ってる?」

 

「?」

 

「渡すなら普通はジャケットの方でしょ!!

 なんでタンクトップ、どこからタンクトップ、

 そしてその格好でなんで平気なの?!当たり前のように張り付いた氷砕いたし!!」

 

「いやタンクトップの保温力なら、北極だろうと春の陽気だし」

 

「感覚おかしいよ!!」

 

 やっぱりツッコミ気質な子多いよねA組、と思いながら葉隠さんの足元も砕く。

 

「じゃあ、あとは待機かな?」

 

「なんで?爆豪みたく攻めないの?」

 

「それもいいけど、向こうは障子君いて索敵しているだろうし、精度にもよるけど油断はできない。  

 なら凍って動かないと思ってノコノコ来たら迎撃しよう」

 

 ルールで時間制限があるため必ず侵入はしてくる。戦うならそのタイミングだ。

 

「意外、タンクトップ無双とかやるのかと思った」

 

「負ける気がしないけど、セオリー曲げてまでやるタイミングじゃないよ」

 

 しばらくして案の定きた轟君。

 

「悪かったな、レベルが違い過ぎた」

 

「って言うには経験と判断力、何よりもタンクトップが足りてない」 

 

 拘束度合いも確認しないで入るなんて油断が過ぎる。

 

「?!」

 

 拳を振るう僕に咄嗟に反応した轟君は、僕を凍りづけにする。

 

「驚いたが、それだけだ」

 

 汗を拭うように右手で顎をこするが、それもまた油断だ。

 

「たとえ体が凍りついても、

 タンクトップは凍らない」

 

 再度砕き、驚いた表情で身構えることができない轟君にタンクトップブローを放った。

 

 轟君を殴り気絶させ拘束。異変を感じた障子君が慌てて来ようにも時間切れで終了となった。

 

 

 

「お疲れさん!!誰も怪我はないし真摯に取り組んだ

 初めての訓練にしちゃ皆上出来だったぜ!」

 

 除籍と言われ圧力のかかった授業の後で、拍子抜けだと感じたクラスメート達だけど。

 それもまた自由だとオールマイトは告げて去っていった。活動限界は大丈夫なんだろうか。

 

 

 クラスメート達にとって初のコスチューム、初の対人戦、興奮したまま盛り上がった皆は反省会を開こうと言う。それで正確な分析をした僕にも参加して欲しいらしい。勿論頷いて、皆にアドバイスを求められる。

 

「結局俺らに何が足りてないんだ?」

 

「決まってるよそれは、タンクトップを着ていないことだ」

 

「「「それはもういいよ!!」」」

 

 楽しく笑い合う、ただそんな中不穏な気配を感じるとタンクトップは告げる。

 そう、悪意がそこまで来ていると。

 

 

 




ちなみに爆豪君は汗を書きやすいようコスチュームは長袖で格闘の邪魔にならないよう、手榴弾を模した手甲も細くスマートになってます。
あと話し合いの時、飯田君はマスク取ってます。
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