タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第14話

 

 

 朝雄英バリアの前に超合金クロビカリがいた。

 

 

 超合金クロビカリ、無個性ヒーローの最初の一人で本業はボディビルダーとジムトレーナー。

 ヒーローは副業だとあっさり言い切ってしまう、ヒーロー精神の欠ける人物と言われがちだが、基本は頼まれたことを断らない善人。

 マスターとはサプリメント会社のイベントで知り合いそれから友人となり、無個性ヒーローだから知り合いというわけではない。

 僕にとっては筋肉を鍛える指導をしてくれるトレーナーみたいな人で尊敬してる先達だ。

 ただ個人で強過ぎるのと指示に忠実な人のため、任務活動はオペレーターと二人だけで行い、僕がヒーロー活動を一緒にしたことはない。

 そんな人物が何故か、雄英高校の前にいた。

 雄英高校の門の前にいた。

 雄英高校の門の前にいて、ポージングしていた。

 報道陣の度肝を抜きながら。

 

「さあ俺を見てくれ、黒光っているだろう?」

 

 これお茶の間に生放送なのかな?

 ファンの人以外は吹くよ。

 

 そんな珍騒動もあって雄英高校生はマスコミに絡まれることなく登校できた。

 オールマイトが雄英高校の教師に就任したというニュースで連日集まるマスコミ達の対処を彼は受け持っているのだろうか?

 

「葉隠さんがクロビカリみたいに鍛えたら最強かも」

 

 今、真理の扉が開いた。

 透明な究極の防御を誇る筋肉、まさにインビジブルデストロイヤー。

 

「張り倒すよ緑谷君(激怒)」

 

 テメェは乙女をなんだと思ってやがると、後ろを歩いていた葉隠さんに頭を叩かれる。

 正直、ヒーローってもう少し筋肉と格闘経験つけるべきだと思う。それだけで大分違うのに。

 タンクトッパーが活躍してる理由の大半がそれだ。

 ただ頑強で格闘経験があるだけが、犯罪を犯すヴィラン達を撃退しているのだ。

 そもそも鍛えるなんて苦しくて地味で嫌なことを、嫌なことをしたくないヴィランがするわけないしね。

 

「だからといって乙女に言っていいことじゃないから」

 

「腹筋割れてる女子って良くない?」

 

 正直ときめくのだけど。

 

「ヒーロー女子の一生つきまとう職業病に何を言っているか」

 

 ヒーロー女子は筋肉質になる、特に直接戦闘するタイプは。

 ミルコは言うに及ばず、プッシーキャッツの皆さんも案外手足太いよね、とても良い。

 

「緑谷くんの性癖はわかったから、ヤオモモとお茶子ちゃんには伝えておくとして、さっきのアレなんだろ?」

 

「超合金クロビカリのこと?マスコミ対策かな?」

 

 虫よけに金剛力士像を置くようもんだけど。

 

「アレが無個性ヒーローかあ、初めてみたよ。

 緑谷君言ったみたいに先生達に頼まれたのかな?」

 

「案外ジョギング中に人集りを見つけてファンサービスしてるだけかもね」

 

 あの人ならやりかねん。

 人々の視線は全部自分に向かうと信じて疑ってない人だし。

 うちのクラスの青山君みたいだよね(笑)

 

 

「昨日の戦闘訓練お疲れ、Vと成績見せてもらった。

 麗日、尾白、あまり落ち込むな。

 想定外の強者なんざヴィランにはいくらでもいる。

 訓練で経験できるうちにしとけ」

 

 朝のホームルーム、相澤先生の戦闘訓練の講評からはじまった。全体的に問題はないらしく、尾白君たちの気遣いをしていた。

 

「さてホームルームの本題だが、

 急で悪いが君らに、学級委員長を決めてもらう」

 

「「「学校っぽいの来たーー!!」」」

 

 無駄に威圧かけるから身構えたけど、その実当たり前の役職決めだった。

 いやこれ、初日のガイダンスでやることだよね。

 

「委員長やりたいですソレ俺」

 

「ウチもやりたいス」

 

「オイラのマニフェストは女子全員膝上30センチ」

 

「ボクの為にあるヤツ☆」

 

 みんなやる気だよね、当たり前だけど雄英高校に受かる人はクラス一、あるいは学年一、学校一の優等生。意識が高くて当然だよね(峰田君は欲望むき出しだけど)

 また普通科なら雑務扱いでも、ヒーロー科では集団を導く、リーダー役を鍛えられる役なんだ。

 そうこの濃い面子を導く、リーダー役なんだ。

 皆が手を挙げる中興味なさそうなのは、どうでもよさそうに見てる轟君と、学級委員長と聞いた時点で顔を土気色にした爆豪君だけみたいだ。ちなみに僕も参加する気はない、まとめ役はタンクトッパー達だけでたくさんだし放課後は忙しいから。

 

「静粛にしたまえ!! 

 多を牽引する責任重大な仕事だぞ! 

 やりたい者がやれるモノではないだろう!!

 周囲からの信頼あってこそ務まる聖務!

 民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというならこれは投票で決めるべき議案!!

 ところで、顔色悪いがどうした爆豪君!!」

 

「「「そびえ立ってる上、多数決提案して、クラスメートを心配したー!!」」」

 

 まあ妥当だよね、やりたい気持ち丸出しだけど。

 

「気にすんな、学級委員長という名のタンクトップ係がトラウマなだけだ」

 

 飯田君の言葉に大丈夫だと言うけど口の端から血が出てるよ爆豪君。

 

「お前才能マンなのにちょいちょいトラウマあるな、緑谷関連の」

 

 失敬だね上鳴君は、彼もタンクトップ漬けにしてやるべきか。

 

「まあ爆豪ちゃんは治療すべきで、緑谷ちゃんは反省すべきだけど。

 日も浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん」

 

「そんなん皆自分に入れらぁ!」

 

「だからこそここで複数票獲った者こそが真にふさわしい人間ということにならないか!?

 どうでしょうか先生!!」

 

「時間内に決めりゃ何でも良いよ」

 

 っと多数決で決めることになったけどそこで、

 

「だったらいいか?」

 

 と爆豪君は手を挙げた。

 

「俺は学級委員長をやりたくねえし、仮に投票されても困るから、先に一票入れてよいか?」

 

「別に構わないが誰に投票したか言わなくても」

 

「緑谷とかもやる気ねえし、皆が自分に入れるなら分かるしな」

 

「なら僕も乗っかるよ、放課後忙しいから学級委員長やる時間とれないし」

 

 なら仕方ないかと納得してくれたみたい。

 

「って僕に入れるのか君達!!」

 

「相手を気にせず正論吐けるヤツは向いてるだろ?」

 

「多数決提案したし、実力もあるしね」 

 

 クラス内なら五指に入る実力者、ヒーローなのだから腕っぷしは重要だよね。

 

「ならば僕は君達に投票しよう!! しかしどちらに入れるべきか!!」

 

「タンクトップ係はもう嫌だからやめろ」

 

「ここで自分に入れないトコも向いてると思うよ」

 

「ならばその思い受け取らせてもらおう!!」

 

 こうして多数決は僕たち以外も自分ではなく他の人にいれるようになり、

 飯田君が学級委員長、百さんが副委員長になった。

 

「ねえ爆豪ちゃんのタンクトップ係とかにツッコまなくてよいのかしら?」

 

「そこはタンクトップだから気にしなくてよくない?」

 

 

 

 飯田君が非常口になったらしい。

 僕はスムージーとサプリメント派だから今日は教室で摂ったけど、警報のなる騒動に身構えていた。

 よくわからないけど流石は学級委員長だと食堂にいた皆が称えてた。

 けれど、

 

「この騒動なんだろうね」

 

 マスコミの突入というのが騒動の理由らしいが果たしてそれだけか?

 いくらオールマイト関連だからと言っても会社が訴えられかねない事件までおこすのか?。  

 それに、ワンフォーオールの先代達の個性の一つである『危機感知』が反応している。

 

(調べるべきか?)

 

 正直根拠はタンクトップと危機感知が反応したことだけど、それじゃ先生方は動きようがない。

 また勘違いしてはいけない、僕はタンクトップマスターについて回って学んだけど一般人でしかなく、オールマイトの個性を継承し、オールフォーワンと戦う宿命を手にしたがヒーローではない。

 

(嫌な予感がする)

 

 場合によってはワンフォーオール全ての個性と、流水岩砕拳、それにタンクトップを全開で戦うことになるかも知れない。

 とりあえずは、先代達の説得からか。

 タンクトップコミュニケーションで大分わかりあえたと思うけど、まだ完全ではないし、オールフォーワン関連以外での使用は許されてはいない。

 だがもしも必要になったら、手札の一つとして扱えるようにしないと。

 理不尽に泣く誰かに手を差し伸べるために。  

 

 

 

 

 

 

  

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