タンクトッパーイズク   作:規律式足

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ちなみに異能開放軍において、無個性ヒーロー四名は完全抹殺対象です。
個性を超える無個性であり、現社会に不満を持たずに受け入れてる存在だからです。
だが現状、抹殺作戦は全て失敗に終わってます。



閑話、爆豪視点

 

 外部との連絡がつき、雄英高校教師陣が駆けつけてきた。残党共は全て片付け終わっており、その最前線で体を張った超合金クロビカリにクラスメート達は畏敬の念を向けていた。

 

(当然か)

 

 無個性でも強いヤツがいるなんざ、思いもしないだろう。ましてや目撃するなんて。

 今じゃタンクトップで個性を得たが、無個性でも強い存在が当たり前だった俺ですらその活躍には度肝を抜かれた。

 しかし、鍛えた生身に個性が勝てる筈ないだろうという発言は今の社会を否定しすぎだ。

 無自覚で敵を拵えるタイプだと出久から聞いてはいたが、納得な性格だ。

 自身の絶対自信から来る無意識な傲慢さ、加えて無関心さは、自分に自信がある者程許容できないだろう。

 教師と警察により、チンピラで捨て駒で数合わせなヴィラン共が回収され、クラスメート達も安全確認後に簡単な事情聴取を受ける。

 クロビカリを呼んだ出久は詳しく話を聞くようだが、軽傷の者の治療が終えたら解散らしい。

 ようやく一息つけたと周囲を眺めていたら、

 力尽きたかのように、ゆっくりと崩れ落ちる出久の姿があった。

 麗日が地面に激突する前に個性で浮かしたが、その光景はクラスメート全員が見ており、場は騒然となる。

 

「過労だな、筋肉が疲れきっている」

 

 クロビカリが軽く見立てて、リカバリーガールに引き渡されるが、同じ見立てのようだ。

 命に別状はないが、自身の個性では治癒できない状態だと。

 最大の功労者のその姿に、教師警察生徒の面々は無力を感じうつむいた。

 

 

 翌日は臨時休校となり、出久は入院している状態でホームルームは始まる。

 驚異的なプロ意識の元復帰した相澤先生だが、全身包帯巻きな状態で来られても落ち着かないのだが。

 

「俺の安否なんざどうでも良い、何よりまだ戦いは終わってねえ」

 

 ヴィラン残党でも判明したのか?

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

 

「クソ学校っぽいの来たあああ!」

 

 叫ぶが日常の香りに皆、ホッとしているようだった。

 

「緑谷君はどうなんですか?」

 

 という飯田が質問したが、

 

「新しいタンクトップを送ったら疲労回復して明日には復帰だとよ」

 

 と呆れたように返した。

 納得はするがなんだあの珍生物は。

 ヴィラン襲撃を受けても開催するメリットと警備の強化について説明。 

 生徒のアピールに現役ヒーロー達のスカウトの機会に日本最大級のイベントである事実は襲撃程度では取りやめることはない。

 むしろ経済効果も雄英高校のブランドも踏まえて、中止させることが目的だという可能性すらあるので、引き下がることなど出来るわけがないのだろう。

 まあ引き下がるやら怖じ気づく扱いされるのは面白くないから開催に不満はないのだが。

 

「いず、緑谷君はどんな理由でヒーローになりたいんかなあ」

 

 昼食の場、飯田や麗日に耳郎と一緒になり、辛味増しグリーンカレーを食っていたら麗日がそんなことを呟いた。先程のヒーローになる目的の話の続きか?

 

「とりあえず名前呼びでいいんじゃねえか?

 アイツ女慣れしてるから、なんとも思わねえぞ」

 

「ヤオモモが恥ずかしそうに言っても無反応だしね」

 

 俺の言葉に耳郎も乗っかる。

 本人は気にしてないが、日常的にアピールしている八百万、二言目には実家に紹介とか言ってる当たり本気なんだろう。

 アイツなら一生側でタンクトップを創り続けるとか言えば、即オチしそうだが。

 

「いやウチそんなんちゃうから!」

 

「じゃいいや」

 

「食いついてやんなよ、照れてるだけじゃん」

 

「あのタンクトップ馬鹿相手の恋愛相談も散々やってんだよこっちは、無いなら無いにこしたことはねえ」 

 

 ストレスでグリーンカレーが血の味になるわ。

 

 中学時代女子に呼び出されたら出久に関しての相談だぞ、知るかそんなんと何度思ったか。

 

「しかし爆豪君なら知っているのではないか?

 緑谷君の理由には僕も興味あるのだが」

 

 ヒーローに成りたい理由ねえ。

 麗日みたいに金のためがどうとかは正直どうでも良いんだが。

 理由を必要とする程遠い仕事ではないだろうに。

 とはいえ最近のアイツの無茶ぶりに違和感があるのも事実だよな。

 ガキの頃からおかしいレベルで鍛えていたが、去年からのソレは常軌を逸している。

 まるでヒーローになる、タンクトップを着こなす、それ以外にも目的、やらなきゃいけない使命が増えたかのように。

 今回の事件にしても、あることを想定して無理をしたから倒れる程に疲労したんじゃないのか?

 何かを見落としている?

 アイツの普段の行いに違和感は、

 

 タンクトップ、タンクトップ、タンクトップ

 タンクトップ、タンクトップ、タンクトップ

 タンクトップ、タンクトップ、タンクトップ

 タンクトップ、タンクトップ、オールマイト

 タンクトップ、タンクトップ、タンクトップ

 タンクトップ、タンクトップ、タンクトップ

 タンクトップ、タンクトップ、タンクトップ  

 

 普段との違いってなんだろう?

 違和感もクソも、変じゃないアイツなんていねえよ。

 

「爆豪君?」

 

 思考に没頭して頭痛と胃痛と吐き気がしてきたが、それよりも会話の途中だったな。

 

「泣いてる誰かに手を差し伸べる存在に成りたい。

 それが理由らしいぞ」

 

 ついでに昔聞いた出久とタンクトップマスターの出会うエピソードも語る。元々ヒーロー気質だったが、アイツの根幹はこれなんだろう。

 ちなみに飯田は感動していたが、女子二人はかつての俺と同じ反応をした。

 普通そうなるよな?

 

 

「何ごとだあ!?」

 

 麗日の叫びが放課後の教室に響き渡る。

 

「出れねーじゃん!何しにきたんだよ」

 

「敵情視察だろ、敵襲撃事件で無駄に目立ったからな」

 

 新聞やテレビにも取り上げられてんだ。

 同期生がそうなったら見に来るだろう。

 

「悪いけどどいてくれ、事件に関しては学校から口止めされてんだ」

 

 野次馬が聞きたいのは襲撃の詳細だろう。

 このネット社会、ソッコー広まるから黙ってろと担任からは釘刺され済だ。

 

「自分らだけ知ってる感じ?随分特別扱いで偉そうだな」

  

 なんでそうなる?学校の指示だわ。

 

「ヒーロー科になるとそんな待遇なのか?」

 

 守秘義務関係は別だろうに。

 

「普通科とか他の科ってヒーロー科に落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ知ってた?」

 

 学力考えたら妥当な判断だな。

 

「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって、その逆もまた然りらしいよ」

 

 そうか峰田やばいな、実力はあるが素行で。

 

「敵情視察?少なくとも普通科は調子にのってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー、宣戦布告に来たつもり」

 

 調子にか、

 

「のれるわけねーだろ、んなもん。

 たかがガキ傷つけようと来たチンピラ返り討ちにしたからなんだ。

 たかが玩具手にしたガキを跳ね除けた程度のことが誇れるか」

 

 苛立ちは言葉になって吐き出される。

 

「自分にもっと力あれば、あの馬鹿を入院させる必要なんてなかったんだよ。

 手前の無力さに反吐が出る」

 

 俺だけではなくクラスメート全員が感じた思い。

 あの無力感、相談すらされなかった事実に情けなさすら感じる。

 調子になんてのれる筈がない。

 

 俺の言葉に気負された普通科は後ずさる。

 威圧する気はねえ。

 腹立たしいのは自分自身だ。

 

「隣のB組のモンだけどよお!」

 

 今度はなんだよ。

 

「話聞こうと思ったけど、色々大変みてえだな。

 体育祭では頑張ろうぜ!」

 

 切島みてえな奴だな、アツい感じだ。 

 集まっている連中もそれをきっかけに散っていった。

 興味本位な野次馬だったのと、襲撃の話が聞けないこと、あとは俺の話が原因だろう。

 しかし、

 

「帰るだけなのになんか疲れたな」

 

「ところで爆豪ちゃんはなんで急いで帰るの?」

  

「あん?出久の見舞い」

 

「「「俺らも誘えよツンデレ幼馴染!!」」」

 

 




タンクトップのせいで、オールマイトいたの意識されてません。
ちなみに、ガチでタンクトップのせいで個性目覚めたと誤認されてるため、かなり混乱が起きてます。
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