「なんでこんなに疲れてんだ俺、まだ始まってもいないのに」
急遽選手宣誓をやるハメになるも、完全にこなすとは流石才能マン。
感心する僕に集まる冷たい視線と、勝己に集まる同情の眼差し。
「しかもまだ嫌な予感すんだけど」
タンクトップ程ではないけど当たるよね君の予感。
「それじゃ早速第一種目行きましょう。
いわゆる予選よ!
毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!
さて運命の第一種目は! コレ!」
『障害物競走』
スタジアム外周4キロで、コースを守れば何をしても許されるルール。
僕や勝己には物足りないくらいだが、障害物にもよるかな?
「?」
『オイオイどうした?なんか生徒達が集まって円陣組んでんぞ』
マイク先生が言うとおり、一部の生徒達が円陣組んでる。
「仲間と気合を入れるのね、私こういう青春的なの好きだからアリよ!!」
すると円陣を組んだ集団のリーダーらしき生徒が、一声を放つ。
「タンクトップとは!」
「「「強さそのもの!!」」」
『え、ナニコレ?』
マイク先生の疑問の声に、その場の誰もが戸惑った反応をする。
「その性能を引き出せれば!!」
「「「いかなるものにも打ち勝つことができる!」」」
「入試の時の感動を!」
「「「あの力強さをっ!!」」」
「追うべき目標として!」
「「「邁進するっ!!」」」
「我ら雄英高校タンクトップ同好会!!
まだ未熟極まりない身なれど、
ヒーロー科サポート科経営科普通科関係なく、
蹂躪するのがっ!!」
「「「タンクトップ!!」」」
最後の言葉とともに雄英高校指定ジャージを脱ぎ捨ててタンクトップ姿となる。
息のあった掛け声、随分統制とれてるな。
マスター(尊敬)とラヴァー(恐怖)とガール(美人)いない時の事務所のタンクトッパーに見習わせたいくらいだよ。
『だから、ナニアレ?新しいヴィラン組織?』
『生徒に失礼だろうが、単なる同好会だろ?
部活動とは違って申請必要ないから仲良しクラブみたいなもんだな』
『蹂躪とか言ってる仲良しクラブってなんだよっ!』
『何でもアリが雄英高校だ』
『いや何でも過ぎだよ、ってお前のクラスの緑谷君が創ったのか?』
『いや緑谷は修行やら事務所に顔出すとかで多忙だし、放課後時間無い筈だが』
『そういや、トレーニングセンターの使用願が一年から出たとかでセメントスが感心してたよな』
『多分アイツらだろ?トレーニング器具とか充実してるし』
『その成果が僅かな時間であの統率かHAHAHA、笑えねえよ』
『笑ってんだろ』
マイク先生とイレイザー先生のやりとりを聞きながら彼らが新たなタンクトッパーなのだと知る。
そうか、僕の入試での行動は誰かに影響を与えていたのか。
むず痒いような恥ずかしいような気持ちになるけど、同時に誇らしくある。
僕の影響で彼らは自分達を磨いていたのだから。
「ああコレだったか」
「爆豪ちゃん大丈夫?足が生まれたばかりの子鹿みたいよ?」
「大丈夫だ、慣れてる」
後ろには何故か胃を押さえながら震えてる勝己がいるけど。
「さあさあ位置につきまくりなさい」
呆気には取られても問題はないらしく、ミッドナイト先生が進行した。
外周に行くためのゲート、長くて細い道の前は11クラス分の人数で(一部不参加もいるけど)すし詰めだ。
正直、勝敗なんてどうでも良いと思っていた。
スカウトや目立つことに関心はない、既に行く先はきめている。
こんな機会だからと奮起もしない、常に全力だ。
でも、
本気になるみんなと同じことが出来るイベント。
それを存分に楽しむ。
だって、全力を出すことは楽しいから!
「スタート!!」
「タンクトップダーッシュ!」
開始と同時に全力ダッシュ。
タンクトップの動き易さはジャージを羽織ろうと健在だ、人混み?ヒーローが現場に駆けつける時は人混みを相手に触れず傷つけずに掻き分けるのが基本。
さらに流水岩砕拳の道場はだてに山奥にあるわけではない。
生茂る山林を全力で周囲に影響与えずに走り抜ける訓練だって当たり前にしているのだ。
足元を凍らせながら走り抜ける轟君を追い越し、僕は先頭となって走る。
先を征くモノ、それがタンクトップなのだから。
「自力が違うか、捕らえられねえ」
凍結による加速と妨害を試みたようだけど、先を行く僕には関係ないし、そのやり方をクラスメート達は知っている。
勝己は爆破で、百さんは創造で棒をつくりだし、芦戸さんは酸で溶かし、常闇君は黒影で体を浮かし、個性が適してない皆もタイミングよく跳んで回避。
知っているかどうか、即ち経験は初動に活きる。
「クラス連中は当然として思ったより避けられたな」
轟君がそう言うのも当然か、先頭の巻き込まれた人達を見てから対応した者以外にも、躱した生徒たちがいるからだ。
対応力、ヒーローに必須な能力だ。
アレ峰田君?
「轟のウラのウラをかいてやったぜ、ざまあねえってんだ! くらえオイラの必殺」
「馬鹿っ!危ねえ峰田っ!」
躱した勢いでもぎもぎを投げようとする峰田君に怒鳴りつける勝己。
BOM!
殴りかかろうとするロボを、右手で峰田君の頭を掴んでどかし、左手の爆破で破壊する。
流石の火力だけど、勝己。
「あっ」
「ひっついちゃったね」
迂闊な行動に今気づいたのか呆気に取られた顔になるし、峰田君に至っては悟った表情だ。
「畜生っ!仕方ねえっ!」
ブンブンと右手を振り回すも(峰田君付)取れないと理解したのか、そのまま走り出した。
まあ山奥の道場まで米俵+αで運んでたみたいだし大丈夫でしょ。峰田君小柄だし。
周囲の人達や観客なんて勝己のお人好しぶりにほっこりしてるね。
『さあいきなり障害物だ!!
まずは手始め、第一関門ロボインフェルノ!!』
入試の仮想敵か。
確かにデカくて硬いけど、壊せない程ではない。
けどね、
「タンクトップデビルバットゴースト」
すり抜ける。
タンクトップ事務所の、タンクトップボウラーが棚に置いていたアメフト漫画。
その主人公の技を模倣する。
格好良かったから練習してみたけど予想より使える。
全力ダッシュを減速しないで走り抜けるなんて便利な技だ。
アメリカンフットボールの技能はヒーローにも有用かも知れない。
いやどの道どの職業でも活かせる技能はあるということかな。
『1ーA緑谷!! 障害物をお構いなしに先頭のまま全て抜き去ったっ!! アイツもしかしてアイシールド21の正体かあ!!』
『本物は帝黒にいるだろうが』
『読んでんじゃねえかイレイザー!!』
マイク先生の漫才を聞きながら、僕は第一関門を突破した。
今話の当作品設定①
アイシールド21が漫画として実在する。
設定②
雄英高校タンクトップ同好会。
緑谷君と入試が一緒でヒーロー科以外に受かった生徒達が作った集団。
最初はネタとして盛り上がるだけのお喋りしてただけが、タンクトップ事務所のホームページを見て、緑谷君が幼少時から鍛えてることを知り憧れた。
まだ僅かな期間で未熟だがしっかり鍛えている。
なお緑谷君含めてその存在は誰も知らなかった。
今回体育祭で結果をだしてから緑谷君と会話することを目標にしている。