タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第2話

 

 あの運命の日から数年後、僕緑谷出久は中学三年生になった。

 タンクトップマスターにタンクトップを着せてもらい家に送ってもらった、遠慮する僕にヒーローだからとマスターは送ってくれたけど、マスターを見た母が110番するという一騒動あった。マスター自身デビューしてまだ一年という若手ヒーローなのと、ひと目で分かるヒーローコスチュームじゃないのが原因だったみたい。

 とはいえ誤解がとけたあとそのまま去ろうとするマスターに僕は強引に弟子入りをして、現在に至るまでその関係は続いている。

 若手ヒーローだったマスターは今や肉弾戦においてオールマイトや超合金クロビカリに並ぶトップヒーローの一角であり、舎弟ともサイドキックともいえるタンクトッパーもたくさん抱える大事務所のリーダーだ。

「僕もそこに行きますから」

 誓いの言葉と共に僕は駆け出す、遥か先を征くタンクトップの似合う人に追いつこうと。

 なお、制服ではなくタンクトップ姿だったため校門で注意された。 

 

「えーお前らももう3年ということで、本格的に将来を考えていく時期だ!」 

 担任の先生のハイテンション、そして言葉とともに放たれる個性。無個性である僕は劣等感を抱きそうになる光景だが。

 自分の心と体にタンクトップがある限り、タンクトッパーは揺るがない。

 劣等感なぞ積み重ねた努力と日々とタンクトップの前には塵同然。

「そういや緑谷も雄英志望だったな」

 爆豪君が高額納税とか言ってるのを聞き流していたら担任のそんな一言でピタリと場は静まる。

 しかし爆豪君も雄英志望か、まあ彼は個性もバトルセンスも学力も飛び抜けてるし当然かな。

 今のままでも多分タンクトップタイガーさんとタンクトップブラックホールさんくらいなら勝てるくらい強いし。

 まあ惜しいのはタンクトップを着てないことだよね。やっぱりあれだけの逸材がタンクトップを着ないなんてありえない、戦闘力だって着ただけで五倍増しで着こなしたら二十倍、極めたら無限大だ。やはり昔から繰り返してるようにタンクトップを着るように説得するべきだよね。爆豪君のお母さんも(面白がって)普段着を全てタンクトップにするよう協力してくれたし、また菓子折りと新デザインのタンクトップをもってお願いしにいくべきか。

 全く今週のタンクトップ会議に毎日のタンクトップ巡回に修行に受験勉強にと忙しい日々だ。

「あー、一応本当に一応言っとくけど緑谷無個性なのにヒーロー科で大丈夫か?お前なら普通科もサポート科も経営科も余裕だぞ、何も試験に戦闘とかあるらしいヒーロー科じゃなくても」

 なぜかおそるおそる尋ねる担任の様子に僕は、 

「タンクトップとは強さそのもの!

 即ちタンクトップの似合う男になれば個性にも打ち勝つことが出来る!」

 自らの鍛えた肉体と纏うタンクトップを見せつける。

 体質なのかマスターやタンクトッパーの仲間たちみたく体は大きくならないけど、クロビカリさんにも褒められた自慢の引き締まった体だ。

「アッハイ、けど制服着ようね」

「タンクトップが僕の制服です!」 

「うん、つまり折寺中のじゃないから着てね制服」

「すいません」

 謝罪する僕になぜかホッとした担任は進路志望を回収してそそくさと去っていった。

 さて、

「タンクトップを着ようぜ爆豪君!」

「誰が着るかっ!つうかソレ止めろって言ったよな!

 お前のせいで冬でもタンクトップだらけなんだよ!」

「?」

「なんだその心底理解できないような面はよぉ」

「タンクトップの保温性なら冬の雪国でも余裕だったけど?」

 爆豪君の言葉だと冬にタンクトップだけだと寒いみたいじゃん、何を言ってんだろ彼は?

「テメェらだけだ、いやマジで」

 そんな彼の呟きは僕の耳に届くことはなかった。

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