タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第21話

 

『さあ上げてけ鬨の声!!

 血で血を洗う雄英の合戦が今!!

 狼煙を上げる!!』

 

「緑谷よ作戦は?」

 

「そうですよ憎きタンクトッパー」

 

「緑谷君狙われてまうよ」

 

「決まってるよそんなもの、蹂躪(タンクトップ)さ」

 

「「「分かるかっ!!」」」

 

 もう仕方ないな、説明するよ。

 先ず僕がタンクトップエアウォークで空を駆け、全ての鉢巻を奪い取り、勝利する。

 

「って感じ」

 

「緑谷よ、騎馬戦の意味知っているか?」

 

 常闇君、黒影揃って目が冷たいよ。

 

「これだからタンクトッパーは」

 

 発目さんそれ敵を見る目だよ。

 

「みんなで逃げるだけじゃいかんの?」

 

 麗日さんて天使かな、タンクトップ着たら完璧。

 

「轟君を代表に、足止めや拘束するのに適した個性持ちばかりだしね、手札消費して対処するより潰しに動いた方が安心だよ」

 

「確かに峰田に、八百万に、上鳴、B組にもチラホラいたな」

 

「茨に、地面柔らかくしたり、ボンド撒いたりしてましたね、あとキノコ」

 

「アイテムに、黒影君に、軽くして機動力あげてもキツそうやん」

 

 そうじゃない面子も厄介、なら守りや逃亡は悪手だ。

 奪われても平気なくらい狩る。15分なら攻め続けるくらいが丁度いい。 

 

「上手くできるのか?」

 

「なあに、上手くとかじゃないよ。勝つんだ」 

 

 オールマイトには次代の象徴になることを期待されている。

 タンクトップマスターには楽しめと言われた。

 ベストジーニストには全力を尽くせと背を押された。

 常闇君は上のステージへ、発目さんは作品を紹介したい、麗日さんは家族のため名を上げたい。

 若き(同世代)タンクトッパーからは後を託された。

 だったら、

 

「全力で楽しんで勝ち上がる」

 

 勝つしかないよね。

 

 

 

『よーし、組み終わったな!?

 準備はいいかなんて聞かねえぞ!!

 いくぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!

 3!! 2!! 1!! START!!』

 

 

「いくよタンクトップエアウォーク!!」

 

『ってオイ!!集中狙いされる1000万ポイントが自ら奪いに行ってるよっ!!』

 

『逃げるにゃ長いし囲まれてるからな』

 

『つーか当たり前のように飛んでるぞ緑谷っ!!』

 

『オールマイトだって飛ぶだろ?筋肉ありゃできるよ』

 

「お前ならそうするよな、出久っ!!」

 

 やはり来たかっ!!

 

「勝己っ!!」

 

 両手の爆発による空中移動、どんなバランス感覚なんだか、ぶっちゃけ神業なんだよねソレ。

 

「空中タンクトップパンチ!!」

 

「爆進脚!!」

 

『ここで同じく空を飛んだA組爆豪と拳と蹴りの応酬だぁ!!』

 

『両手で飛んで足で攻撃か、爆豪も手札多いな』

 

「まさか、こんなとこでやるとはね?」

 

「仕方ねえだろ?制空権握ったタンクトッパーを放置できるかよっ!!」 

 

 空中機動はヒーロー活動の基本とはいえ、流石だよ。

 基本は足技、だけど空中でバランスが取れるから両手も個性も使い多彩な攻めで襲いかかってくる。

 なら、

 

「流水岩砕拳」

 

 空中でできないわけないよね。

 

「上等っ!!」

 

 会場上空で繰り広げられる空中武闘。

 それは多くの観客を魅了熱狂させ盛り上げる。

 生徒達もその武技に上を見上げて手を止める。

 そしてその場の誰もが思った。

 

「「「騎馬戦やれよ!!」」」

 

 うん、僕と勝己の空中対戦だよねコレ。

 ならばと決める勢いで必殺技を放つ。

 

「タンクトップラッシュ!!」

 

「冥躰空龍拳!!」

 

 僕の拳の連打と、勝己の回転からなる連撃がぶつかりあい。お互い弾かれたように自分達の騎馬へと戻る。

 

「緑谷君、大丈夫?!」

 

「流石勝己、ハチマキ狙う余裕なんて無かったよ」

 

 アレで武術は一年足らずなんだからとんでもないよ。

 

「爆豪、平気か!?」

 

「クソッ一本だけかよ」

 

 一本?はは、瀬呂君のテープを隠しといて最後にハチマキを奪うなんてね?

 悔しいなぁ!!

 

「熱くなるな緑谷よ、幸い10ポイントだ」

 

 手札の多さ、制限してる個性に割く意識。

 思考が行動を鈍らせる、無駄を無くすにはまだ経験が足りていない。

 多様さこそが自分の強みだと自負しているが、シンプルに自分の強さを高める天才には一手遅れてしまう。

 

『ヒュー、凄えなあの二人』

 

『一年だと頭抜けてんのは事実だ』 

 

『あれだけやって不満しかないってお互い顔に書いてあんぜ』

 

『貪欲だからなアイツらは』

 

 そうだ、負けたくない。

 

「みんな、次はチーム戦で勝つよ」

 

「もとよりそのつもり」

 

「頑張ろうイ、出久君(小声)」

 

「ベイビーの活躍の場を寄越しなさい、憎きタンクトッパー」

 

 周囲の個性と戦法の把握。

 チームメンバーの能力。

 先程の攻防で削れた時間。

 全てを総括し捌ききれない筈がない。

 

 

 アレ?

 勝己とB組の物間君か?

 

「単純なんだよA組」

「いや気づいてるわ」

 

 漁夫の利を狙うには相手が悪いよね。

 

「第一種目の説明から人数がどれくらいとか考えなかったのかい?」

 

「それで目安つけて、障害物競走でクラス単位での温存か?せっかくの能力アピールの機会に勿体ねえ」 

 

 確かに騎馬戦より個性アピールできる機会だったね。

 

「うぐっ、僕たちは態と後方にいることで君達の個性と性格を把握したのさ!!」

 

「先にゴールしてモニターで見れたんだが」

 

 特に僕は待ち時間長かったね。

 

「大体なんだよアイツらは!!

 普通科の癖に生意気なんだよ!!

 タンクトップ着たからって強く成れるわけないだろうが!!」

 

「いや、馬鹿、やめろ、それ以上余計なこと」 

 

「あんなのただの布切れだろう!!」

 

 

「君さ、タンクトップ信じてないの?」

 

 

「ヘ?」

 

「がふっ」

 

「君さ何を言ったのかな?

 君さ何を馬鹿にしたのかな?

 もしかしてさ、

 この世の全ての可能性であるタンクトップを布切れとかほざいてないよね?

 ねえ、ねえ、ねえ、ねえ?」

 

「アバババ」

 

「おい出久、今体育祭中なんだから後にしろ」

 

 かなり距離はあったけど、聞き捨てならない暴言を前に一瞬で物間君の前に跳び、額が触れ合いそうな距離でその目を覗き込む。

 タンクトップを正しく見れない目なんてただのガラス玉、そんな球体いらないよねえ?

 

「おい爆豪大丈夫か?!」

 

「問題ねえ、ただ古傷が開いただけだ」

 

「顔が真っ青で、目が充血して、体が痙攣して、胃を押さえていて、口の端から血を流しているのは駄目だと思うよ」

 

「もうリタイアでいいから、リカバリーガールのとこ行こうぜ、勝ち抜きよりお前が心配だよ」

 

「あの婆さんでも心因性のヤツはどうにもならなかったよ」

 

(((もうお願いして、無理だったのか)))

 

「ああなったらあの馬鹿は止まらねえ。

 無視して騎馬戦を続けるぞ」

 

 

 

 えーとこの後の顛末だけど、

 僕が物間君への説教している間に騎馬戦は終了。

 周囲丸ごと氷結した轟君とか戦車みたいに担いだ障子君とか頑張ったみたい。

 B組も僕を狙おうとしたみたいだけど、全て勝己が返り討ちにして鉢巻を回収。

 まともにやりあわなかったことで轟君はかなり不満そうで、途中でほっぽりだしたことでチームメイトからも文句を言われた。

 相澤先生にも呼び出しを受けたから説教だよね。

 上位四チームによる最終種目の進出。

 例年どうりならタイマンバトルだよね。

 そういえば、珍しく先代達から警告を受けた。

 騎馬の一チームが洗脳されていたとか。

 本来は何も言わないけど、あの暗黒時代を生きた彼らには洗脳タイプの個性は警戒してしまうものらしい。

 悪用された個性の代表みたいなものだとか。

 けれどそれだけじゃない、あの手の個性の者が、堂々と日向を歩けるようになった時代の移り変わりに喜んでもいた。

 昔は罪を犯さずともひっそり身を隠して生きるのが当たり前だったとか。

 ともあれ警戒はしとけらしい。

 あの手の個性はワンフォーオールの現状に影響がでるかもしれないらしい。

 対戦相手になったら先制タンクトップブローかな?

 こうして騎馬戦は幕を下ろした。

 物間君も説得の末、タンクトップを信じる真人間になったし、勝ち残れたから充分だろう。

 あとはレクリエーションと最終種目だ。

 

「タンクトップ、タンクトップ、タンクトップ

 タンクトップ、タンクトップ、タンクトップ」

 

「いらんことを言うから哀れな」

 

「同じチーム組んで巻き添え食ったんだけど俺ら」

 

「タンクトッパー、やべえ」

 

 

 

 

 

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