タンクトッパーイズク   作:規律式足

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閑話、オールマイト視点 

 

 それは緑谷少年がヴィラン襲撃後に倒れ入院していた頃のこと。

 

「オールマイト」

 

「やあタンクトップマスター君」

 

 お見舞いに来ていたタンクトップマスター君と私は病院で鉢合わせした。

 

「出久とは会話を?」

 

「ああ褒めてあげたいのに、慣れない説教をするハメになってしまったよ」

 

 実力はある、当時の私よりも強いかも知れない。だが危険を危険だと判断し撤退できないのは、それはそれで危ういのだ。

 

「それで良いと思うがな、アイツはどうも危なっかしい」

 

「危ういか、確かにね。緑谷少年にワンフォーオールを託した私が言うのもなんだが、彼は気負い過ぎているように見える」

 

 今回見えてしまったヤツの影、それが緑谷少年により宿命を意識させてしまったのだろうか?

 未だ確定ではないとはいえ、オールフォーワンの生存の可能性のせいで。

 私がヤツを仕留めきれなかったばかりに。

 

「オールマイト」

 

「どうしたんだい、タンクトップマスター君?」

 

「俺は所詮、貴方達が創ってくれた平和な時代でぬくぬくと育った若輩者に過ぎない」

 

 私に頭を下げながら彼は言う。

 

「ワンフォーオールの宿命とやらも理解しているとは言い難い。だが、

 どうかオールフォーワンとの戦いに介入することを許して欲しい」

 

 一人の大人として、少年を思って言う。

 

「先に立つ者として、出久の前に戦うことを許して欲しい」

 

 師としてか、舎弟を思いやる兄貴分としてか、彼は自分が戦うと言う。

 それが自分の果たすべき役割だと理解して。

 だから私は、

 

「構わないさ、ただ先に戦うのは私だよ」

  

 君が先達だと言うなら私だってそうなのだから。

 君が戦うのは否定しない、その気持ちは理解できるからだ。

 ただお師匠がしてくれたように、私だって示すべきなのだ、ヒーローとしての生き様を。

 確実に勝てるとは言わない、衰えた私ではあるいは勝てないかも知れない。

 でも君がいる。

 私が見つけた後継者を導き育てた君がいる。

 君がいるから安心して戦いに臨める。

 

「私が決着をつけれなかったら頼むよ、タンクトップマスター」

 

 

 

 そんな約束をしてから数日たった、雄英体育祭午前の部、実にタンクトップだったねHAHAHA。

 緑谷少年だけじゃなくてもタンクトップだよ。

 昼休憩前に見かけたエンデヴァーに優秀な息子がいるけど、次代を育てるハウツーを教えてと言ったらあっさり断られてしまったよHAHAHA。

 その上、息子である轟少年をアレとかつくった仔とか言い出すし、反応に困るぜ。

 私、独身だしねHAHAHA。

 レクリエーション中に、エンデヴァーにあんな反応されたことを考えてたけど、十年ぶりになのに親しくしすぎたかな?

 そんな中、プレゼント・マイクの開始宣言で最終種目のガチンコバトルトーナメントは始まった。

 せっかくだから私は第一試合が始まる前に緑谷少年に激励の言葉を贈った。

 笑っちまって臨め、虚勢でも胸を張っとけ、私が見込んだことを忘れるな!!って。

 ちなみに一回戦だが、お師匠含んだ先代達が洗脳対策として速攻キメるよう指示をだしているみたい、エグいぜ。

 

「疾風タンクトップブローっ!!」

 

 開始合図とともに、ワンフォーオール20%で心操少年の腹部を強打、緑谷少年もエグいぜ!!

 殴られた心操少年は一撃で沈み、緑谷少年の勝利。

 ヒーローに向いている性格ではあると思うけど、かなり容赦はないんだよね緑谷少年。

 試合後に心操少年と何かを話しているね。

 心操少年は相澤君が気にしていたし、普通科でここまできたのだから評価されると思う。

 後は本人しだいだね。

 

 続いては第二試合、轟少年と瀬呂少年。

 地味だけど優秀という評価の瀬呂少年は、個性操作も身のこなしも優れた有望なヒーロー候補だ。

 拘束と機動に秀でるのは現代のヒーローに最も求められてることだからね。

 しかし相手は轟少年。

 力としての出力に差があり過ぎるね。

 熱気や冷気の個性は、実はありふれてはいるけど、それが高出力な場合は希少だ。

 ましてや轟少年は、父であるエンデヴァーに鍛えられてるせいかとんでもない出力だね。

 会場にどんまいコールが流れる辺り、相手が悪かったというのが瀬呂少年の評価のようだ、確かに妥当だ。

 

 第三試合なんだけど、うん。

 B組塩崎少女と上鳴少年。

 まあ個性の相性が勝敗に反映しやすいよね。

 この年頃なら仕方ないけど。

 ただね、ナンパして大口叩いてその結果は頂けないぞ上鳴少年。

 緑谷少年と爆豪少年の入学祝いで出会った、格闘家のボルテーン氏でも紹介してもらうべきかな?

 

 第四試合は、飯田少年とサポート科の発目少女。

 機動力に優れ足技主体な飯田少年が有利なのは間違いないのだけど、これはノセられたね。

 初目少女の発明品発表会になってしまったよ。

 まあ誰と戦うか分からないのに飯田少年向けにあれだけ発明品があったのだから、多分もっと開発してるんじゃないかな?雄英入学の期間から考えても優秀なのは間違いない、親友に紹介しようかな。

 

 第五試合は、芦戸少女と青山少年。

 威力は高いけど直線で回避しやすいネビルレーザーを芦戸少女がどう捌くかが焦点だね。

 回避しやすいとはいえ、見通しの良いリング。

 芦戸少女が、蛙吹少女に並ぶA組で身体能力の高い女生徒とはいえどこまでやれるか。

 結果は芦戸少女の勝利、個性である酸を上手く青山少年のベルトに当てたね。

 

 第六試合は、常闇少年と八百万少女。

 限界の分からないリーチのある黒影の個性を使う常闇少年と、創造によっていかなるものも創り出せる八百万少女。

 ほぼ万能ともいえる八百万少女だけど、リングの上で接近している状態だと不利は否めなかったね。

 創造が後手に回り、常闇少年の勝利。

 

 第七試合は、B組鉄哲少年と切島少年。

 個性ダダ被りのためか、硬化した肉体で真っ向勝負の殴り合いだったけど。

 見事に両者ダウンして引き分け、回復後に腕相撲などの簡単な勝負で決着をつけるようだね。

 

 そして初戦最後の第八試合、爆豪少年と麗日少女。

 残酷だが勝敗は決まっている。

 どうしようと麗日少女に勝ち目はない。

 それぐらいに爆豪少年はぶち抜けている。

 それだけで充分といえる破壊力のある爆破の個性、鍛えられ磨かれた武術、そして顔見知りのヒーロー全てが認める圧倒的才能に、向上心の塊とも言える精神。

 戦闘力においてはプロヒーローに匹敵、あるいは超えてるだろう彼に、麗日少女では勝ち目がない。

 試合開始、爆豪少年は爆破で加速し麗日少女の首筋に手刀を放つ。傷つけずに無力化、それは相手が女子だからではなくヒーローの求められる高水準な技量だ。

 てっきり終わるかと思ったがなんと麗日少女は予測していたのか、予めガードをしていたため凌げた。

 実習での動きから最短で決めると読んでいたんだろうね、あるいは緑谷少年の入れ知恵かも知れない。

 距離を置き、次で決めると構えをとる爆豪少年に、麗日少女は本気でやって欲しいと叫ぶ。

 確かに加減して気絶させて済ませようとも見えるからね。ただ、

 本気だと爆豪少年は告げる。

 ただ爆破で破壊することが自分の本気ではない、もてる技量でふるう体捌きもまた本気なのだと。

 長期でやれば、遅れを取りかねない力と思いが麗日少女にはあるから最速で決めるのだと。

 爆豪少年は向かい合う者を見下さない、それは幼少時からタンクトップで自らを高める緑谷少年と幼馴染だからかも知れない、緑谷少年を通じて実力者ばかりの世界に触れていたせいかも知れない。 

 侮らないからこそ、自身のもてる最善手を。

 麗日少女の無重力個性による一手を打たせないために最速で決める。

 驕らぬ天才に容赦の二字は無い。

 加速する爆豪少年の掌底を両手を交差して防ぐ麗日少女、だが爆豪少年はさらに足場にヒビが入る程踏み込み防御されたままの体勢で衝撃を伝える。いわゆる武術の鎧通しに追撃とばかりに爆破を放ち吹き飛ばす。

 吹き飛ばされた麗日少女に意識は無いようで、勝敗は決した。

 爆豪少年の勝利、やはり彼は強い。

 

 勝ち上がった者たちによる次の試合はより凄まじいものになる。 

 そう確信のもてる戦いだったね。

 

 ちなみに、轟少年との試合が確定したときに覚悟を決めたような表情を緑谷少年がした。

 気になって聞いてみたら、轟少年とエンデヴァーの間にあった出来事と、宣戦布告されたことを伝えられた。

 

 そんな事してたの彼!?

 と思わず叫びたくなったよ、私にとってエンデヴァーはともに競い合う同胞という認識だったけど、超えられない壁扱いとか。

 しかも個性婚に家庭事情とか重すぎるよ!!

 平和の象徴たらんとヒーローをしていたけど、私なんてそこまで大した存在じゃないんだけどな。

 事務所仕事や経理とか書類とか苦手で人に押し付けてるし、教師としても指導者としても半人前だし。

 

 エンデヴァーの件て私のせいなのかな?

 この年になってヒーロー活動以外は周囲に無頓着だったと思い知らされるよ。

 どうしよう。

 

 

 




おまけ 作中に入れられなかった一コマ

「あれは」
 
 勝己が目を向けた方向を見たら、そこにはバットの妹さんを抱っこしているタンクトップガールがいた。
 失恋したとはいえ憧れの女性の姿に勝己は、

「何だアレ、聖母かよ」

 ひどくときめいた表情で見惚れていた。
 初恋だしね、仕方ないね。でもさ、
    
「どう見てもタンクトップでしょ」
 
 きちんと見なよと僕は言う。
 全くこれだから青少年は。
  
「表出ろテメェ」
 
 その後ブチ切れ勝己と組み手した。

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