タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第29話

 

「それでは雄英体育祭お疲れ様でしたー!」

 

 音頭をとってお疲れ様会の開始を宣言する。

 休校二日目。

 入院している母と面会した轟君、襲われた兄の病院に行った飯田君の二人も無事参加できたようだ。

 轟君の事情については、緩やかに和解していくだろうと言っている。エンデヴァーの苦しみと弱音。それを知ってまで憎むことは家族の誰も出来なかったのだ。

 そもそも厳しい話だが、オールフォーワンの打倒を成し遂げた功績以上に手柄など上げようがないし。

 熱がこもる体質のエンデヴァーが、オールマイト以上の機動力で事件解決は厳しいものがあるのだ。

 オールマイトの引退。

 それこそがエンデヴァー自身が受け入れられない、彼がナンバーワンになる一番確実な方法なのだろう。

 飯田君、インゲニウムについてだ。

 ヒーロー殺しステインの襲撃により重傷を負った彼だが、途中でジェントルが駆けつけたことにより、命に別状無く、しばらく入院はしてもヒーローとして復帰は可能らしい。

 さらに彼の証言のおかげでステインの個性もおおよそ判明した。

 相手の血液を舐めることをトリガーとした、肉体を弛緩か麻痺か拘束する個性。

 本人も達人レベルの刀剣使いで、個性使わずとも下手なコスチュームを切り裂ける技量の持ち主らしい。

 高速機動からの転倒対策として重装甲なインゲニウムのコスチュームが斬られたのだから余程な腕前なのだろう。

 しかしジェントルは取り逃がしたとボヤいていたけれど、タンクトップ事務所でも相手になるのは何人もいないと思う。

 僕も黒鞭の個性を使わないと厳しいだろうし、タンクトップという無敵の防護服を纏っていても剥き出しの体を斬られてしまう。

 タンクトップ力は低いけど杖術と個性を修めたジェントルだから健闘できたのだろう。

 相性的にはクロビカリさんが最適だけど、あの人は機動力に難ある人だし、ステインは逃げれるタイプの実力者。襲いかかる相手の返り討ち専門なクロビカリさんは負けないけど勝てない。

 さらにしばらくは本業で、ヒーローはしないみたいだし。クロビカリさんの批判されるトコやヒーロー扱いされないのは、人命かかっていても余程じゃないと自分の都合を優先する所だよね。USJの時もたまたま手が空いてたから引き受けてくれただけだし。

 私欲で自分の力や無個性ヒーローの立場を使わない辺り真っ当な人だけど。無私でヒーローをやることは絶対ないし。

 まあ、思考はここまでにしといてせっかくのお疲れ様会。楽しまないと。

 

「そんでよ爆豪?なんであのタンクトップお姉さんに夢中なんだよ」

 

「そうだよ紹介してくれよ」

 

「あのタンクトップの下、ノーブ(パシっ)」 

 

「セクハラは駄目よ峰田ちゃん」

 

「でも私も気になるなー、馴れ初めとか?」

 

「無個性ヒーロー豚神か、デカイな」

 

「いやさんを付けろよ轟、失礼だろ」

 

「しかしよく食べる」

 

「ちゃんこ鍋を椀子そばみたいに食べてますけど」

 

「ドラフトか、俺指名くるかな?」

 

「決勝出場の僕は確定☆」

 

「いや障害物競走とか騎馬戦とかお前アレじゃん」

 

「タンクトップ同好会が目立ったよね」

 

「どんまいって言われた」

 

「俺はナンパスタンガン」

 

「出久さんは何を召し上がられます?」

 

「これも美味しいよ出久君」

 

「ウチ挟んで火花飛ばさないでよ」

 

「しかしこんなにご馳走になるとは」

 

「いいよ僕沢山食べてお店に迷惑かかるから、人数増えても同じだし、好きに食べて楽しんで。

 ヒーローとしてのアレコレを教えられなくて申し訳ないけど」

 

「確かに俺ら全員分より既に食ってますね?

 意外と緑谷も食うし、普段プロテインにスムージーじゃんお前」

 

「体作りのために沢山食べる時は食べるよ。

 むしろ切島君はちゃんこ鍋三杯は食べないと」

 

「基本デカければ強いしな。

 デカくて体重あって素早く動ければ強いんだよ」

 

「そうなのか?」

 

「切島君は硬化的にも守る範囲広がるしね」

 

「食って寝て肉蓄えて、運動で筋肉に変えたら良いんだよ、モヤシの戦闘者なんて大したことねえ」

 

「やはり結局ヒーローはフィジカルか」

 

「(コクッコクッ)」

 

「オールマイトはそうだけど。最近のヒーローは個性重視じゃね?拘束とかで」

 

「フミカゲガデカクナレバオレモオオキクナルカ?」

 

「黒影、体質的なものもある」

 

 お店を借りきってのお疲れ様会、皆それぞれ楽しんでいる。家族の件があった二人も今は穏やかな表情で過ごせている。なんとかなって本当に良かった。

 アレは燈矢さん?

 

「轟焦凍君だよな?これをどうぞ」

 

「? これは」

 

 持ってきたお膳を轟君の前に置く燈矢さん。

 

「好きなんだろ?盛り蕎麦」

 

 大盛りだと言って燈矢さんは離れた。

 

「今の人、どっかで」

 

 彼は今しばらくは名乗りでる気がないらしい。

 過去の自分のしでかしてしまったことが心の枷になっているのだと。

 でもこうして少しずつでも関われたら良いと思う。

 豚神さんの話だと、燈矢さんの生存には大物らしきヴィランが関わっていたみたいだから、その調査と護衛も必要だと判断しているようだ。

 豚神さん自身はヒーロー業界にあまり詳しくないし、どこにそのヴィランの目があるか分からないから公安にも伏せているとのこと(まあ公安も疑わしいしね)

 

 食べて飲んで話して盛り上がって、豚神さんが大食しつつも優しげに見守ってくれながらお疲れ様会は良い思い出の一つとして心に刻まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ぶっちゃけ、燈矢さんが焦凍君に盛り蕎麦ご馳走するためだけの話です。
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