タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第3話

「やっぱ士傑にすっかな?」

 と呟きながらなんかうっすら白くなり遠い目をしだした爆豪君がいたがいつものことだから気にしない。

 カラオケに行くからとクラスメートに誘われたけど、タンクトップ会議の資料集めのために今日はタンクトップ巡回をしないと、確か議題は夏の新色だったかな?まだ自分のテーマカラーの決まってない僕はこの手の議題の時は率先して動かないと。

「雄英高校か」

 進路希望で出しはしたがあまりヒーロー学校には拘ってないんだけどな。

 マスターにクロビカリさんに豚神さんなんかの知り合いのヒーローの出身校ではないし、同い年でタンクトッパーではない別の学校の友人である鉄バット君も目指してない(まあ妹さんが応援したら入学するだろうけどシスコンだし)

 ただマスターと仲の良いヒーローであるベストジーニストさんが勧めてきたんだよね、どこでも良いなら最高峰に行けって。幸い学力も足りてたし家から通えるから問題もない、苦難を与えるという教育方針も魅力的だ。

(でもな)

 その気になりきれないのは、なんでだろう?

 マスターを後ろから見てきて学校や環境にこだわる必要がないこと知っているからか、それとも、

「僕が無個性だからかな?」

 日本から最高の個性持ちが集まる学び舎で果たして僕は耐えられるのか、そも名門校の教師達が受け入れてくれるとも限らないしね。

 踏ん切りがつかないもどかしさを僕は感じていた。

 あーあ未だ拘るとは未熟の極み、タンクトップ巡回の後は資料をまとめる前に(タンクトップに)感謝の正拳突き一万回しないとな、邪念を振り払うのはいつだってタンクトップと鍛錬だ。

 

「Mサイズの隠れミノ」

 そんな風に考えこんでいたからだろう、マンホールの穴からでるヴィランに反応が遅れたのは、

 

「ぐばっ」

 意識が現状に追いついたのは拳を振るった後、粘体状のおそらくヴィランは風圧によって道路やアスファルトに飛び散っていた。 

 体が勝手に纏わりつこうとするヴィランを弾き飛ばした、これはタンクトップの引き締まり感により鋭敏になった神経『タンクトップセンサー』とタンクトップの動きやすさと流水岩砕拳のバングさんによる反射訓練が、無意識下における自動迎撃を可能とする、

『タンクトップオートカウンター』

 しかしいかに学校帰りいかに防げたとはいえ、ヴィラン蔓延る世の中薄暗いトンネル付近で油断するとは。

「未熟だよなあ、進学やめてバングさんとこに行こうかな?」

 昔のヤンチャのせいでヒーローには成れんのワシ、と言うバングさんは流水岩砕拳の道場主。本格的に内弟子になってからヒーローを目指すのもありかな、昔に比べて身体能力は強くなっても未だに僕は自覚する程に心も体も弱いままなのだ。

 

「もう大丈夫だ少年!!」

 そういやヒーロー呼ばなきゃ、ここらで一番近いヒーローはいや警察に連絡してからかな?と進路とヴィランについて考えていたら、マンホールを吹き飛ばしながら彼はそこにいた。

 

「私が来た!」

 

 平和の象徴、悪の抑止力、数多の異名と比類なき実績を誇る、ナンバーワンヒーロー。

 そして僕がヒーローに憧れたきっかけ。

 人を助けることがめちゃくちゃがかっこいいのだと思わせてくれた存在。

 僕のヒーローのはじまりは彼の笑顔からだった。

 

「て、ヘドロヴィラン飛び散っている!何があったんだコレは?!」

 だから戸惑いつつもヴィランをペットボトルに詰める彼に問いかけた、あの日と同じ言葉を、

 

「無個性でもヒーローになれますか?」  

  

 個性が無くともヒーローが出来るのか、

 個性のない人間でもあなたみたいになれるのか、

 恐れ知らずの笑顔で助けてくれる、オールマイトみたいな最高のヒーローに、

 そう僕は言葉を続ける憧れに思いをぶつける。

 いくら鍛錬を積もうと、いくらタンクトップを信じようと、いくらマスターやクロビカリさんみたく無個性のヒーローの背を追っても、

 僕は僕を信じきれない。

 僕は僕を肯定できない。

 だから、この人に僕は答えを求めた、

 あの日のように、

 

 その後、プシュー、と空気の抜けるような音と共に語れられた衝撃の事実とともに、オールマイトは質問に答えてくれた。

 その言葉は正しく、無個性の少年の身を案じ誠実に答えてくれたものだった。

 だが、

「きっと欲しい言葉ではなかったんだろうな」

 このスッキリしない気持ちが僕の本心なんだろう。

 果たしてこんな思いを抱く者がヒーローを目指してよいものか、

 実力は十分だとプロヒーローに太鼓判を押されても、

人助けとはそんな生易しいものではないのだから。

 

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