夏休みに林間合宿をやるらしい。
キャンプのような非日常的イベントをクラスメートみんなでできる。その事に夏らしいイベントやセクハラ発言が飛び交うが、僕と勝己は特に反応はしない。
そもそもバング師匠の道場は秘境の親戚みたいな立地だし、勝己は鍛錬以外の数少ない趣味は登山だ。
山に一々反応するシティボーイではないのだよ。
むしろ問題はその前段階、どうやら期末テストで合格点に満たなかったら学校で補修地獄らしい。
せっかくのイベント、誰かが欠けたら寂しいから切島君が発破をかけていた。
そんなこんなで六月最終週、期末テストまであと一週間を切っていた。
僕も鍛錬したり、バング師匠と修行したり、エンデヴァーの長女の冬美さんに勝己の好物レシピを教えたり、来年発売予定のタンクトッパーヌードカレンダーの写真撮影や打ち合わせをしたり、タンクトップラビットを皆でフクロにしたり、心配してくる勝己達とカラオケ行ったり、出会いが欲しいと叫ぶ峰田君達に猩猩家のバブルスお嬢様を紹介したり、と忙しい日々を過ごしていた。
「全く勉強してねー!」
と叫ぶのは学力最下位の上鳴君。
雄英高校入学できるくらいだから地頭は悪くないはずなのに、入試だけ頑張ったタイプかもしれない。
横で笑う芦戸さんも大差ないようだ。ちなみに峰田君は意外と成績は上位で演習試験について言及していた、確かに片方だけ合格点でも許さないよねココは。
なお、成績については僕と勝己と百さんは同着一位。
轟君が授業受けてたら赤点はないだろと、止めをさしていた。
「つーか緑谷なんてタンクトップタンクトップ言ってんのになんで頭良いんだよ!!
脳筋は馬鹿だと相場が決まってんだろ!」
んなこと言われても、
「脳みそも筋肉なんだから、鍛えたら応えてくれるのは当たり前でしょ?」
超合金クロビカリだって十ヶ国語ペラペラだよ。
「予想以上に筋肉!」
「いや勉強してるだけだろ」
呆れたように勝己も言う。
結局やってるだけだしね。
その後百さんの勉強会の提案にクラスメートが集まり頼られるのが嬉しいのか、百さんも張り切っている。
「お前らは行かねえの?必要ないだろうけどよ」
「教える側にまわるのもな」
「タンクトップ勉強法は向き不向きあるしね」
場所は変わって食堂。
いい加減米食わねえとしばき倒す、というランチラッシュの気迫に(一緒に食事する皆が)負け、今日は珍しくカツ丼だ、美味い。
食事メンバー、飯田君葉隠さん梅雨ちゃん麗日さん轟君だ。
会話内容は皆が気にする期末テストの演習試験、一学期でやったことの総合的内容らしいけど、どうなるのやら。相澤先生とか根津校長の性格考えると一捻りしそうだよね。
「ヒイ、タンクトッパー?!」
「あ、タンクトップパレード(仮)だ」
悲鳴に反応すると、タンクトップ事務所に職場体験で更生を依頼された問題児、強化個性全部乗せの物間寧人君だ。
「むう」
「羨ましい」
そんな彼のヒーロー名(仮)に羨ましそうに睨みつける、飯田君と轟君。
「コスチュームの安全面が」
「さらに姉さん焚き付けて、爆豪入り婿にして事務所継がせよう」
ウチは誰でも(タンクトップ着たら)歓迎だけど、周囲が止めるよねこの二人は特に。独り立ちだってできる逸材、実力なら雄英高校一年のトップ4に入るし。
僕を見て怯え、タンクトップパレードの名称にロックオンされてることに気付いた彼は、ピンと張ったウサ耳を揺らしながら気を取り直して、
「君らヒーロー殺しに遭遇したんだってね」
って嫌味タップリにこちらがトラブル体質だと煽ってきた、ブラドキング先生にチクってウチで今度はベストジーニストも含めた矯正かな?でも今も七三分けだし。
「シャレにならん飯田の件知らないの?」
とB組委員長が(物理的に)止めてくれた。
「ゴメンなA組こいつちょっと心がアレなんだよ」
「いいよ別に(タンクトップおしくら饅頭の刑に処すし)」
許しはしても処すよ。
「あんたらささっき期末の演習試験不透明とか言ってたね、入試の時みたいな対ロボットの実戦演習らしいよ」
先輩から聞いたという情報に皆がホッとするけど、麗日さんはともかく、梅雨ちゃんと葉隠さんは苦手分野だよね?タンクトップアイで見てもアラ美少女、筋力はそこまで(とはいえヒーロー科平均はあるけど)じゃないよね。
「馬鹿なのかい拳藤、せっかくの情報アドバンテージを。ここで憎きタンクトッパー、じゃなくA組を出し抜くチャンスだったんだ」
お前あとで事務所こい。
「憎くはないっつーの」
(((B組の姉御的存在、というかウチの爆豪枠)))
「ところで爆豪はいないの?話してみたいんだよね」
と片手でタンクトップパレードを掴みながら勝己について聞いてくる。
なるほど君もあの兄貴系モテ男が気になるか。
「ラブレターは一日5枚までだよ」
中学時代を思い出しながら先手をうつ、(断りの)返事書くのも大変だしね。
「アイツは姉さんの婿だぞ」
さりげに牽制と人目のある場所で外堀を埋める轟君。
「ケロ」
不満そうな梅雨ちゃんもいる。他の皆は様子見だね。
「いやそんなんじゃないから、苦労してるって聞いて話をしてみたくてウチも問題児いるし」
ねえ君たち?なんで問題児でこっち見るの?
「確かに気にしてる子、ウチでも多いけどさ。
決勝戦とか格好良かったし」
格闘技ファンにはたまらんよね、君とか。
ちなみに僕はモンスターとか魔王扱いらしい、なんでやねん。
「じゃ、そういうわけだから」
顔を赤らめて逃げるように去る拳藤さん。
相変わらずモテるな勝己。
タンクトップガールに報告して応援の言葉かけてもらおう(外道)
昼休憩後にやあモテ野郎と勝己を煽って、演習試験がロボならプッパで楽勝と沸く馬鹿二人を見る。
果たして立て続けに大事件連チャンしてるのに、例年どおりにするのかな?というか相澤先生廊下で聞いてるから直前で変更してもおかしくないよ?情報収集バレたら変更するの当たり前だし。
浮かれる皆を見ながら一抹の不安を感じて頭を悩ませる。先日改めてオールマイトと話した巨悪オールフォーワンの件、そして僕の秘密に辿り着きつつある勝己達の件。オールマイトも相棒だったデイビット博士に秘密にしたワンフォーオールのことをどうするか。
親友にぶち撒けたいという本音はあるが、秘密を守らねばならない。
悩みを抱えて僕は帰路についた。