タンクトッパーイズク   作:規律式足

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閑話、オールマイト視点 

 

 緑谷少年、君が遺書を用意していると知った時の私の気持ちを、君は考えたことがあるかい?

 

 

「俊典、お前の後継者のイズクのことだけどよ」

 

「グラントリノ職場体験ではありがとうございます。

 まさか緑谷少年の指名数が零件とは思ってもいませんでした。タンクトッパーってあそこまで敬遠されるのですね」

 

「指名数が一万でもウチに来させたわ、んなことはどうでもよい」

 

「では、どうしました?緑谷少年は問題を起こす子ではありませんよね?ヒーロー殺しの件ですか?」

 

「なあ俊典よ、俺達は軽く見てたかもしれねえぞ?」

 

「軽くですか?」

 

「志村やお前すら経験したことのないワンフォーオールの力、歴代達の個性の使用と対話についてだ」

 

 軽く、とはどういうことなのだろうか?

 個性の使用については手札が増えるくらいだろう。緑谷少年は元より多才だし、オールフォーワンを身体能力の増加で一度打倒した私からすれば、多数の力より突き抜けた個の方が強いと思う。

 歴代達との対話に関しては、お師さんと話せて羨ましいくらいなのだが。

 

「アイツはな、イズクはな。

 歴代達と対話して期待されちまったんだよ。

 オールフォーワンとの決着をつけられる存在だと」

 

「それは私もです、緑谷少年ならやり遂げられる!!」

 

「お前とアイツは違う、違ったんだよ。

 俺はそんな当たり前のことに気づかなかった」

 

 私とは違う?

 それはそうだろう、緑谷少年は私より素晴らしいヒーローになれる。

 当時の私よりも鍛え抜かれた体、体得している武術、導いてくれる周囲に先達、支えてくれる友人達、頼りになる仲間達に、日常としての家族と、タンクトップ、微力ながら私という存在、そして緑谷少年自身の素晴らしき精神。

 非の打ち所がない後継者だと断言できる!! 

 

「イズクは知り過ぎちまった、それが問題なんだ。

 知り過ぎちまってるから最悪を想定してしまう」 

 

 最悪の想定をしても折れずに立ち向かえるなら大丈夫なのでは?

 

「個性黎明期からの時代変遷と社会の変化、

 歴代達の思いに最後、オールフォーワンの所業、

 お前の創り出した平和の尊さ、

 そして、自分では敵わない強者の存在。

 当時のお前より圧倒的に情報過多だな」  

 

「確かに私はお師さんに弟子入りして、オールフォーワンについてもその存在と本質を理解したのはお師さんに託されてからですが。

 その、単純な私と違って頭の良い緑谷少年なら問題ないのではないですか?」 

 

「あったんだよそれがな、まあ無個性ヒーローなんてとんでも存在にも原因はあるがな」

 

 彼らにも?

 

「俊典、一度イズクを叩き潰せ。

 無理してでもお前が健在だと証明しろ。

 じゃねえとイズクは、」

 

 緑谷少年は?

 

「                」

 

 その時のグラントリノの言葉に私は絶句した。 

 緑谷少年が何を考えていたのか、その時私は初めて知った。

 私という存在が彼にどんな影響を与えていたのか思い知った。

 そんな風に、緑谷少年は私を見ていたのかと初めて認識した。

 緑谷少年の覚悟、それを私は甘くみていたのだ。

 認められないよ緑谷少年。

 そんな最後を私は許さない。

 ヒーローとしてじゃない、一人の君を心配する大人として。  

 

 

 期末テスト演習試験。

 敵活性化もあり、ロボとの戦闘訓練は実戦的ではないという意見による大幅な変更。

 対人戦闘、活動を見据えたより実戦に近い教えを重視するための試験。

 二人一組による、教師であるプロヒーローとの戦闘。

 さらに動き傾向成績親密度個性など、諸々を踏まえた組み合わせ。

 明確な課題や基準をそれらのチームに本人らに秘密に課し、突破できるか否かが合否判定となる。

 だが、この試験方式において問題となる二人がA組にはいる。

 タンクトッパーにしてワンフォーオール継承者である緑谷出久。

 エンデヴァーらトップヒーロー達を唸らせる程の生粋の天才爆豪勝己。

 両者共、その自力が高く戦闘能力はもはやプロヒーロー以上、体得している武術は対人戦闘において有利過ぎる。

 精鋭揃いの雄英高校教師陣ですらタイマンで勝てるのはイレイザーヘッドとオールマイトだけだろう。

 挙句、二人一組となればこのどちらかと組めば課題関係なく突破できてしまう可能性が高い。

 不公平を承知の上で、彼らだけ別の試験方式にする。

 それが最善だと私達は判断した。

 

「緑谷少年とは私が戦います」

 

 試験方式はタイマンバトル、合格基準は対戦者に一任する。

 元よりこの二人は合格で問題ないのだ。

 だから、この機会に新たな課題をぶつける。

 

「爆豪少年には武術の師であるスイリュー氏を提案します」

 

「君がここまで提案するなんて珍しいねオールマイト」

 

 教師として新米な私がやって良いことではないのだろう。けれど、これからを考えると必要なことなのだ。

 爆豪少年にしてもそうだ、彼にはこれからお師さんにとってのグラントリノのような存在として、緑谷少年を支えてほしい。

 私にとって、デイビット・シールドのような、サーナイトアイのような、塚内君のようなそんな存在に。

 弱さを曝け出して頼れる存在になってほしいのだ。

 だから、

 

「今回の期末テスト、彼らには徹底した敗北を経験してもらいます」

 

 君たちを私は叩き潰すよ。

 

「充分ニ勤勉ダト思ウガ」

 

「そこまでする必要あるかしら?」

 

「真面目な子達ですよね」

 

 他の皆は反対みたいだね、確かに過剰な仕打ちだ。

 でも、

 

「必要なんですね?」

 

 相澤君は聞いてくる私の真意を。

 

「ああ、彼らには必要なことだ」

 

「ならいいじゃないですか、どうせアイツらの実力は飛び抜けてますし」

 

 その担任である彼の言葉で今回の方針は確定した。

 

 

 

 

「てなわけで組み合わせはこうなったわけだが」

 

 校長VS芦戸・上鳴

 13号VS青山・麗日

 プレゼント・マイクVS口田・耳郎

 エクトプラズムVS蛙吹・常闇

 ミッドナイトVS瀬呂・峰田

 スナイプVS葉隠・障子

 セメントスVS砂藤・切島

 パワーローダーVS飯田・尾白

 イレイザーヘッドVS轟・八百万

 

「先生方! 緑谷君と爆豪君はどうなるのですか?」

 

 生徒達ですら、彼ら二人を組ませるのは強すぎるとわかっているみたいだね。

 だから、

 

「両名は一対一で、相手は」

 

「私が緑谷少年と戦いにきた!!」

 

「全く、馬鹿弟子の相手なんていつもしてるのに」

 

 私ナンバーワンヒーローオールマイトと若き天才武闘家冥躰拳のスイリュー。

 

「「「なっ!!」」」

 

 特別扱いに生徒達がざわめくけど仕方ないね。

 なにせ相手が私と、ヒーローですらないスイリュー氏だからね。

 

「オールマイト?」

 

「どういうつもりだ、遊び人師匠」

 

「HAHAHA、説明はあとだよ」

 

「ボコるだけさ、いつもどおりにね」 

 

 頼んだはいいけど、テンション低いねスイリュー氏。

 それでも引き受けてくれただけ御の字だよね。

 遊び人て評判だから意外だけど。

 さあそれぞれ別れ試験会場についたら、

 蹂躪だよ緑谷少年。

 

 

 

 

 

 

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