タンクトッパーイズク   作:規律式足

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閑話、尾白視点

 

 緑谷と爆豪がモテモテだったショッピングモールでの買い物の翌日。

 いつものように雄英高校へと登校していた。

 期末テストでの悲劇やら喜劇やら合理的虚偽を乗り越え一学期も残り僅か、初夏の趣きのさわやかな天気を、

 

「タンクトップっ!」

 

「「「タンクトップっ!」」」

 

 さわやかな、

 

「タンクトップっ!」

 

「「「タンクトップっ!」」」

 

 さわ、

 

「タンクトップっ!」

 

「「「タンクトップっ!」」」

 

 さわやかな朝を台無しにした爆走するタンクトップ同好会を見ながら登校する。

 先頭には当然緑谷。

 朝から自主練に励んでいるようだ。

 あと三周とか言っていたから、広大な雄英高校敷地周りを朝のホームルームまでに三周するらしい。

 来年の体育祭も荒れるのかな?

 自分も自主練に励もうと誓った朝だった。

 

 ショッピングモールで緑谷がヴィラン連合と接触してたらしい。そのため合宿は例年とは違う場所で、当日まで秘密とのこと。警察の指示とはいえ黙られていた事実は不満だけど、それも楽しい時間を台無しにしたくない緑谷の気遣いなんだろう。

 そういった点でも差を感じてしまうなと思った。

 

 午前中の授業は普通、マイク先生が滑るくらいでテスト後のため復習程度だった。休憩時間に飯田が今夏のトレンド眼鏡特集を、轟が最新タンクトップのカタログを読み込んでいることが無駄にインパクトがあった。

 

 そして昼休み。

 武術関連で仲の良い爆豪と昼食を取ろうとしたら、爆豪はそれどころじゃなかった。

 机の上には10個はある弁当の山。どうやら轟のお姉さんの弁当の件で爆豪に気のある女性陣が対抗してきたみたいだ。

 

「それにしても多くないか?」

 

 いただきます、と手を合わせ一言呟いた爆豪に聞いてみた。芦戸に梅雨ちゃんに耳郎が用意しても数が多い、まさか二つ用意したのか?

 

「となりのB組の女子と普通科の女子からもあってな」

 

 どうやらクラス内からだけではないらしい。

 黙々と時折メモをとりながら食べ進める爆豪はそう答えた。

 確かに体育祭での爆豪は格好良かったし、普段の爆豪を知ったら余計に惚れるだろう。

 無個性ヒーローの豚神さんとの食事で大食いなのは知っていたが、あっさり食べてるな。

 

「けど勝己」

 

「どうした出久」

 

 緑谷は緑谷で八百万から渡された巨大な和塗りの弁当箱、重箱の一段だけみたいな物の包みを開けながら言った。爆豪にとって無視できない発言を。

 

「轟君からの弁当は、轟君のお姉さんが渡して欲しいから頼んだと広めた方が良いよ?」

 

「できるか、ただでさえ妬まれてんのに」

 

 確かに全校男子生徒に睨まれてるよね、醜い嫉妬で。

  

「轟君が同性恋愛的に渡しているって噂が、」

 

「この弁当は轟君のお姉さんが俺のために作った弁当ですっ!!」

 

 全校に伝われとばかりに叫びだしたね。

 モテるのは許容できても同性愛ネタは嫌だよね。

 緑谷は幼馴染に助言を終えると弁当箱の蓋を開ける。

 そこには、

 例えるならそう、純白の雪景色に咲く一輪の紅い花。

 そんな景色が弁当箱を彩っていた。

 そうそれは、古き良き日本の弁当。

 

「日の丸弁当だね」

 

 いや米の量。

 何してんだ八百万、せっかく麗日が貧乏で、葉隠が料理苦手な中のアピールチャンスで嫌がらせ?

 するとヒラリヒラリと弁当箱の蓋から紙切れが落ちてきた。そこには、

 

(マトモに食べて頂けるのはこれが限界でした)

 

 と血文字で書かれていた。

 八百万がケガしている様子がないから多分使用人が書いたのかな。

 お嬢様らしいアレな料理でもしたのだろう。

 色々察した緑谷も手を合わせて食事を開始した。

 しかしそんな状況を見過ごすほどクラスの男子達は無情じゃない。

 醤油、ウスターソース、マヨネーズ、ケチャップ、色んな調味料を緑谷に渡していた。

 純白の大地(白米)に優しさ(調味料)が染み渡る。

 なんと美しい景色か。

 いやおかず分けてあげたら?

 

「「「女子に弁当もらうヤツに卵焼き一片だろうともやるきはねえっ!!」」」

 

 あ、嫉妬はきっちりしてるんだ。なんかほっとした。

 ちなみに女子はこの場にいない。

 他の女子の手作り弁当を食べている時にいたら、気になって仕方ないみたいだからだ。

 そんな見ているだけで疲れる昼食を終えて、午後の授業に臨んだ。

 

 

「オールマイトが、男子生徒をお泊りデートに誘っとるーーー!!」

 

 五限が終了した(今日は座学)休憩時間、トイレに行く生徒を見てたら廊下からそんな叫びが響き渡ってきた。

 声の主は麗日?

 緑谷を追っかけてたような?  

 

「誤解だから麗日少女!!」 

 

「だって一緒にIアイランドに行こうて」

 

 それって確か夏休み期間にあるイベントの、Iエキスポの会場だよな?

 教壇の影で寝袋に包まっていた相澤先生がうっとおしそうにもそもそと這い出し教室からでる、しばらくして捕縛布で拘束した麗日とオールマイトを引きずって戻ってきた。

 回収中に話は聞いたのか。

 麗日には、大騒ぎしましたと書かれたパネルを首からかけられ教室の端で正座させ、その横に紛らわしい言い方しましたと書かれたパネルをオールマイトにかけて正座させていた。 

 どうやら、オールマイトがIアイランドに招待されたから緑谷も一緒にどうかと誘ったらしい。アメリカ時代の相棒が緑谷、というかタンクトッパーに興味あるようで来てほしいらしい。

 解剖されないよな?

 タンクトッパーって個性研究者を発狂させてるって噂だし、緑谷ってタンクトップ着たら個性が目覚めたとか言われてるし。  

 しかし緑谷は体育祭の副賞でIエキスポの招待券があるからどうせ行く予定だと応えていた。

 けど個別に招待されるなら副賞を譲っても構わないかと相澤先生に訪ねたら、体育祭上位なら良いよと返された。なので緑谷は爆豪にソレを譲っていた。

 が、ここで問題が発生した。

 副賞の招待券は連れを一人誘えるのだ、その座を求めて女子達が色めきたったのだ。

 八百万に轟と飯田は実家関係で行く予定があるから、皆を誘えると告げたが、爆豪のペアとなり参加では意味合いが異なる。そうペアでありパートナーとして世界のトップヒーロー達の参加するイベントに行くのだから。

 なおそれを知った爆豪が、緑谷に謀ったなテメェという顔を向けていた。

 流石に気まずいのか緑谷も顔をそっとそむけた。  

 同じトラブルは緑谷も起き得たからだろう。

 熾烈なジャンケン合戦を芦戸が制し、ホテルも同じ部屋なのかな?と照れながら爆豪に言っていた。

 峰田上鳴は血涙を、蛙吹耳郎は殺気を、他の生徒は嫉妬と同情の視線を向ける中、爆豪は一人口の端から血をヨダレみたいに垂らしていた。ストレスで胃が逝かれたのだろう。芦戸は嫌ではなくとも、高校生の異性との同室で起こるだろう風評にまで思考がいったようだ。

 なお相澤先生が異性なら部屋は別だよの発言で場は収まった。

 このタイミングを狙ったのかな? 

 なお、この件でクラスの皆でIアイランドに行くことが決まった。

 サポート科でなくとも行く価値はある場所だし、せっかくだから行こうと、八百万が招待券を手配してくれるみたいで申し訳無いが。

 ちなみに既にアルバイトとして行く予定だった、峰田と上鳴はこれ以上無いくらい落ち込んでいた。さらにアルバイトの辞退は絶対不可、雄英高校生徒だから採用されたのであって勝手辞退は雄英高校の名に傷つけるだけでなく、両名のヒーロー候補生としての今後にも関わるらしい合掌。

 

 クラスメートの皆での夏休みのイベント、林間合宿前に楽しみが増えたな。

 

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