「あそこがIアイランドですか」
「そうだよ緑谷少年、流石の君も初めてだろう?」
眼下に広がる人工の島。
混沌としつつもどこか計算され尽くして作られたかのような島は、世界屈指の研究機関というよりはアミューズメントパークを思わせた。
いやそれが狙いなのかも知れない。完全に封鎖された場所だからこそ見える所は楽しげにしたほうが良いし、研究と言ってもヒーローのサポートアイテムが中心、見栄えよく、人気がでるようデザインは昨今のサポートアイテムの必須項目だ。
オールマイトと二人で行くことに憧れの人と行く興奮があるが、麗日さんの皆で行ったらいいやん、というジト目が思い出される。オールマイトの時間制限、僕との後継者としての関係、皆にいつか伝えることができるのたろうか。
「あそこで私のアメリカ時代の相棒、デヴィット・シールドが研究者として働いているよ。最近まで入院していたけどもう大丈夫だ」
「入院ですか?」
「タンクトップについての研究で胃を壊してね」
「流石にタンクトップを着たら個性発現は無理あったんですよ」
僕の個性発現の言い訳、それが起こした研究者達の暴走発狂は一時大混乱だったみたいだ。
「それについては散々説教されたからねHAHAHA」
根津校長マジギレして全身の血管浮き上がってヤバい薬打ち込まれたマウスみたいになってましたね。
「こっちとしてもそんな過剰反応することかな、って気分ですよ」
タンクトップを着こなしたら強くなれるなんて、毎日日が昇るのと同じくらい当たり前なのに、なんで入院するくらい研究するのかね。
「いやサポートアイテムの存在意義がね」
まあ僕自身タンクトップあれば他はいらない感覚なんだよな。
体育祭以降発目さんに付き纏われたけど、サポートアイテムより鍛える方が良いし。
「とにかく、せっかくの機会だ。
私の友人にも会ってもらいたいし、最先端に触れることはヒーローとしても有意義、それにIアイランドは楽しい場所だからね。存分に見て回ろうか」
と偶には師匠らしいこととかしたいし、とポツリと呟いた。結構気にしてるよねオールマイト。
人前に長時間居るからマッスルフォームの維持が大変だよと本人は笑っているけど、これオールマイトは気づいてないようだか今回の式典でプログラム変更してオールマイトも出ることになるんじゃないかな?平和の象徴ってそんな存在だし。
コスチュームに着替えて空港からでる。
飛行機から見ても思ったが圧倒される景色だ。観光客も多いし、ちらほらとヒーロー達もいる。普段自国からでないトップヒーロー達までいるのはそれだけレセプションパーティが重要な催しだからだろう。
「待ちあわせの場所まで少し歩こうか」
オールマイトの言葉に頷いてあるけば、そこは平和の象徴。たちまち多くの人に囲まれて抱きつかれキスをされる。そこら辺はアメリカ的なのかな?と偏見混じりの感想を抱くけど、巻き込まれたくない僕はタンクトップステルスで気配を消して騒動が終わるのを待った。
人工ながら見栄えの良い川を眺めながら約束の人を待つ。オールマイトのせいで遅れるかなと思ったけど、まだ待ち人は来てないようだ。
「オジサマー!」
ガションガションと音を立てて現れる女性。
オールマイトも親しげに抱きつき、招待してくれてありがとうと告げる。
17歳とか言っているからデヴィット博士の娘さんだろうか?
しかし、
「光源マイト」
まさかオールマイトがそんな趣味だったとは。
どうりで独身な訳だ。
「光源マイトッ?!、緑谷少年君は何か誤解してないかね?!」
「いえ、愛の形は人それぞれですから」
「明らかに誤解してるヤツ! 日本と外国はスキンシップに差があるんだよ!
彼女は私の親友の娘で私にとっても姪みたいな存在なんだよ!」
「メリッサ・シールドです。よろしくね」
「初めてまして雄英高校一年緑谷出久です」
「無視?!」
ひとしきりオールマイトをからかったけど、やはり弄るなら勝己だよねと思い、メリッサさんと雑談する。
金髪眼鏡美少女にコスチュームをマジマジと見られるのは恥ずかしいものがあるけど。
将来のヒーロー候補とかこそばゆいよね。
ちなみにタンクトッパーだよとオールマイトが告げたら、
「解剖させて!!」
と目をキラキラさせて頼んできた。
いやだから研究者にとってどんな扱いなのタンクトッパー。
「せめてデータを取らせてー!!」
としがみつく彼女を引き剥がしながら、約束があるんでしょと説得する。
「生タンクトッパーなんて希少な存在なのー!」
「タンクトップを着た一般人だよ!!」
「HAHAHA緑谷少年、サーナイトアイのジョーク並に笑えないよソレ」
オールマイトまで!!
だからタンクトップを着こなしたら強くなれるのは当たり前だろうが、離せって。
美少女に抱きつかれても嬉しくないこともある。
微妙に世知辛い事実を知った気分だよ。
というか、やっぱり発目さんの同類じゃねえか?!
「久しぶりだな、デイブ!」
「トシ、来てくれたか!」
再会し抱き合うマブダチ二人。
そういえばオールマイトとこんな距離感の人って初めてみたような。
名前で呼び合う当たり本当に親しいんだね。
あの後研究室でデータを取らせることを確約してなんとか引いてもらった、解剖はされません。場合によっては滞在期間が伸びるかもだけど仕方ない。マスターが仕事以外でヒーロー関係と距離置いてるのはコレが理由かも。そういえばIエキスポの招待状も届いていたけど断ってたような、できればタンクトップガールとデートも兼ねて参加して欲しかったのに。ちなみに何気に毎年参加してた超合金クロビカリはエンデヴァーの依頼があって不参加で、豚神さんに至っては国外の移動が認められない。
「彼が前に病院で話した緑谷少年だよ」
「解剖させてくれないかっ!!元には戻すから!!」
だから(以下略)
「いやーすまないね。何度もタンクトップマスターとコンタクト取ろうとしたけど、まるで取り合われなくてついね」
ノーベル個性賞とってオールマイトの元相棒でもマッドサイエンティストじゃねえか。
「すまないね、緑谷少年。普段はこんなヤツじゃ、
いや昔からこんなヤツだったような?
そういえば試作コスチュームで爆発した記憶が、」
やっぱりこの人も発目さんの同類じゃねえか。
サポートアイテム関連はこんな人ばかりだね。
やはりタンクトップこそ至高のサポートアイテムで間違いなしだ。
「緑谷君、君には後で調べさせてもらいたいから時間を貰えないか?解剖とかは冗談だしね。
ただ今はトシと積もる話があるから。
メリッサ彼にIアイランドを案内してあげてくれないか?」
そういえばそろそろ活動限界か、ワンフォーオールについても知っているみたいだしその気遣いだね。
「わかったわパパ! ただイズクを調べる時は私も参加させてね」
なんでだよ。そして名前呼び?!
「そうだね考えて置くよ、行っておいで」
発目さん弐号と二人きりとか不安だ、タンクトップセンサーで来てるだろうクラスメートを探して合流しないと。
「楽しみだなー」
油断したら