タンクトッパーイズク   作:規律式足

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劇場版 二人の英雄 2

 

 現在僕は研究者の眼差しを向けてくる発目さん弐号ことメリッサさんとIアイランドを見学していた。 

 彼女は僕のヒーロー名を聞いたり、タンクトッパーの生態を尋ねてきたりと興味津々のようだ。聞けばIアイランドの中でタンクトッパーは注目されている存在で、その力の謎を解き明かせば個性の新たなステージが開かれるのだとガチで信じられているらしい。頭の良い人って一周回ってただの馬鹿なのだろうか?

 そのため僕のようなタンクトッパーを狙う者が多いから注意してほしいとのこと。いや君達親子がまさにそれだからね、自己紹介かな。データを取れると確約できたから冷静になっているだけで彼女も同じ穴のムジナ、油断することなく施設を巡る。

 とはいえ真剣に将来を見据え勉強をしている彼女の在り方はタンクトッパーに通じるモノがあり、目新しい発明品のことを含めて楽しい時間だった。

 

「楽しそうやねえ、出久君」

 

 そんな中聞こえた声。気配は感じていたが、

 

「楽しそうやねえ」

 

 麗日さんが麗らかではない感じで二回言われました。

 怒ってますね、これ。こういった役どころは勝己担当だろうに。

 

「本当に楽しそうですわね」

 

「見ず知らずの女の子とね」

 

 やあ百さんに耳郎さん、オヒサシブリ。

 不機嫌なのはお二人も一緒ですが、理由は違うみたいですね。だからとりあえず、

 

「こちらメリッサ・シールドさん、オールマイトの相棒だったデヴィット・シールド博士の娘さんで発目さん弐号。今はIアイランドの案内をしてくれてる」

 

 オールマイトの相棒で驚き、発目さん弐号で色々察してくれる女性陣。体育祭でのインパクトもあるし、あれからもちょくちょくトラブルを起こしたからね彼女。

 

「発目さん?」

 

 首を傾げるメリッサさんだけど、多分会ったら意気投合しそうだよね彼女と。

 

「そっか、こっちも見学しながら爆豪とかを探してる感じ。他のクラスメートは明日の一般公開からだし」

 

 勝己と芦戸さんなんか僕が譲った優勝特典の特別招待券だから今日から見て回れるんだよね、飯田君や轟君とかの招待状持ちの人も。

 

「それでさ」

 

 耳郎さんがもじもじと言いにくそうに、自身の耳たぶであるプラグをいじりながら、

 

「緑谷の謎センサーで爆豪を探してくれない?」

 

 乙女かっ!

 自分が女らしくないと気にしている様子だが、女性らしさとはスタイルに非ず、恥じらいと仕草なり。

 こんな娘に好かれて羨ましいなと思うくらいだぞ、幼馴染よ。

 けど、

 

「タンクトップセンサーでも流石にこの島全体は無理ですよ」

 

 相手が勝己だから発見しやすいけど、範囲が広すぎだよね。

 

「そうだよね」

 

「まあ勝己のことだから芦戸さんに合わせてアクションタイプの催しを回っているんじゃない?」

 

 彼女何気に身体能力女子トップ格だし。

 

「それはありえそうですわね」

 

「美奈ちゃん動くやつ好きやしね」

 

 勝己はこういった時は相手を優先するし。

 

「そっか」

 

 耳郎さんは僕らの言葉に納得した見たいだけど、明らかに会いたいな、と態度に現れていた。

 想い人と特別な場所を歩く。

 今それを堪能しているだろう芦戸さんを羨ましく思って自分をそうしたいと思い馳せる。

 実に乙女チックだ。

 

(仕方ないか)

 

 何故か個性の危機感知が反応しているが、ここまで乙女な反応されて放置はできん。

 タンクトップ力全開、

 タンクトップオーバーセンサー。

 さあどこにいる?リア充野郎。

 ん?

   

「いたぞタンクトッパーだ!」

 

「捕まえろ、貴重な研究対象だ!」  

 

「待て、交渉が先だ!」

 

 集中していると僕を狙って集まってくる白衣の集団を感知した。

 

「って誰やこの人たち」

 

「Iアイランドの研究者の方達、ですわね」

 

「何しにきてんの?」

 

「多分希少な生タンクトッパーであるイズクを捕獲してデータを取ろうとしてるんだわ」

 

「「「何その扱い?!」」」

 

「私とパパが先約なのに」

 

「同じ穴のムジナですわ彼女、流石発目さん弐号」

 

 この人集りの中では集中もできず、さらに捕まるとロクな目に合わないことは明らかだ。

 かといってしばき倒すわけにはいかないし。

 こうなったら、

 

「ごめん耳郎さん、とにかく僕は逃げてコイツラまくから」

 

 逃亡しか手はないよね。

 僕は足に力をこめて全力で逃げ出した。

 

「待ってくれまだ話しが、」

 

「そうだ、Iアイランドの定住権とかどうだ?」

 

「今なら私の娘もついてくるぞ!」

 

「「「いやアンタ独身で娘なんてモニターの中の存在だろ!!」」」

 

「私の妻と娘を馬鹿にするな!!」

 

 後ろから戯言が聞こえるが無視して走り出した。

 

 

 

 

「ってことがあったんだよ。もう帰りたい」

 

 場所は変わってカフェ。

 散々逃げ回って撒いたのを確認した後に休憩のために入ったら、なんと峰田君上鳴君がバイトしていた場所だった。

 

「ここまで緑谷が疲れ切ってるの初めて見たぜ」

   

「オイラ達が労働に勤しんでいる中で女の子達に囲まれて楽しんでたからだよ」

 

「ブレないね、峰田君」

 

 間が悪かったよね、君達二人は。

 とはいえ、バイト代は高額で宿泊費も格安で済んでるのは雄英高校生という信頼からだよね。

 他の皆は、百さんに手配はしてもらっても自費で安くない額だしてるのに、まあそれでも雄英高校生の勉強のためだからとホテルも割引してくれるみたいだけど。Iアイランドはヒーローとその関係者にはかなり優遇してくれる場所だからね。家族とのバカンスに利用するヒーローも多いとか。

 

「ま、でも疲れてんだろ?なんか注文しろよ。

 金はもらうがな」

 

「奢れよ上鳴そこは」

 

「じゃあ、なんかタンクトップ的なヤツを」

 

「「メニューから選べ」」

 

 勝己の位置はうっすら把握したけど、メリッサさん達と逸れてしまったな。連絡でもとれたらいいんだがどうするか。

 幸いなことに、追いかけてきた科学者達は警備ロボットに連行されたけど、探し回るのもね。

 

「あ、本当におった」

 

「ね、言ったとおりでしょ」

 

「うむ久しぶりだな緑谷君」

 

 カフェでこれからの方針を決めかねていたらメリッサさん達プラス飯田君が現れた。

 目立つよう外のテーブルに居たけど、どうして居場所が分かったんだろ?

 

「メリッサさんの教えてくれたとおりでしたね」

 

「警備にはこっちから通報しといたからもう追われる心配はないよ」

 

 それであのゴミ箱みたいな形のロボット達が鎮圧弾やらスタンガンやら網やら打ち出してたのか。追われることになったらああなると知れて良かった。

 メリッサさん達もしばし休憩してドリンクを楽しんでいると、峰田君上鳴君がメリッサさんにアピールをしだして飯田君に注意されるなどのトラブルが発生。

 だから二人とも此処での勤務態度は今後に響くよ。

 基本ヒーローを立てるメリッサさんの態度は初対面ではあってもヒーロー科の皆には印象が良いみたいだ。

 僕の印象はマッドサイエンティストな発目さん弐号だけどね。美人だけど。

 BOMッ!!

 施設から爆音が響く。

 アレが体験型アトラクション施設かな?

 タンクトップセンサーでの確認はできなかったけど、勝己とかならあそこじゃないかなと提案して、カフェを後にした。峰田君と上鳴君は恨めしげに見てたけど。

 

 山、いや崖を模したステージに配置された的であるロボットを破壊しそのタイムを競うヴィランアタック。

 やはり近年のヒーローに求められるのは機動力なのかなと思いながら柵に近づくと、丁度タイミング良く勝己の登場。

 近くの柵では勝己頑張れー!!と名前呼びの芦戸さんがアピール中。悪ノリ司会がそれを発見して彼女さんが応援してますよと煽るものだから、耳郎さんの気配が剣呑なモノに。

 結果は15秒、勝己にしては微妙なタイムだけど、彼女さん発言で力が抜けたのかな?

 

「合流してたのか出久」

 

 挑戦終了後、僕たちに気づいた勝己が柵まで飛んできて合流。

 

「後は轟君かな?居るとしたら」

 

 他の皆はホテルの固まってるショッピングモールエリアとかだよね。

 

「だな」

 

 合流する必要はないっちゃないけど、せっかくなら集まりたいよね。

 

「緑谷もやったら私の勝己には勝てないだろうけど」

 

 芦戸さんや君積極的だね。

 

「いつからそうなった、単に招待状で一緒に行けただけじゃん」

 

 耳郎さんも反応するんだね。

 

「それでパートナーとして世間に認知されちゃうから、だけって大きいよね」

 

 ああ普段仲良しな女性陣に火花が、勝己は胃を押さえているし。

 

「出久、胃薬ないか?挑戦前にくれ」

 

「タンクトップ着ると治るから、薬の持ち合わせはちょっと。あっ胃に優しそうなドリンクはあるよ」

 

「すまんくれ」

 

 自販機で買った、ブッダも愛飲!スジャータの乳粥ドリンクを渡すと、顔を顰めるも飲み干した。

 いやネタドリンクにはリアクションして。

 

「ちと臭いがキツいが断食後に良さそうだな」

 

 真面目な評価じゃなくリアクションして。

 寂しさを感じながらヴィランアタックに挑戦したら12秒、まだ詰めれるね。

 すると気が抜けていたとはいえ結果が上回れたことに勝己が反応して再挑戦、10秒。

 それが面白くない僕が、ワンフォーオールの出力上げて8秒。

 額に青筋浮かべた勝己が全力でやって5秒。

 苛ついた僕も無理して5秒。

 

「「意地張りすぎでしょ、男の子かっ!!」」 

 

 もうタイムじゃねえ、どっちが先に倒しつくすかと二人同時に参加しようとして女性陣に突っ込まれる。

 最後ら辺、炸裂音と雷光しか見えなかったとか。

 観客は大盛りあがりだけど、司会の人は涙目でした。

 なお参加するタイミングを逃した轟君がしれっと合流してた。

 

 18時の閉園時間まで催しを堪能して、労働に勤しみ疲労困憊な峰田君上鳴君にメリッサさんがパーティーチケットを分けてあげたりとして、一時解散した。

 セントラルタワーに正装で集合だけど、

 正装ってタンクトップだよね?

 あっスーツ手配済ですか百さん、ハイすいません。

 ホテルに送ってあると告げられ皆と別れた。

 ただメリッサさんが少々時間が欲しいと言うので彼女の研究室まで向かった。

 そこで聞いたのは彼女の思い。

 無個性である彼女の挫折と、今の夢。

 憧れの父の姿に、サポートアイテムで人々を救う彼女の在りたい未来。

 

「分かるかな、そういうの」

 

「え、イズクも?」

 

「無個性と分かって泣いてた僕にマスターが手を差し伸べてくれたから、今の僕がある」

 

「それでタンクトップで個性を得たのよね?」  

 

「まあそれはちょっとアレだけど。 

 ただオールマイトみたいなヒーローになりたいだけから明確なヴィジョンができたんだ」

    

 今の君みたいにね。

 出合い頭のインパクトからの印象が強かったけど、彼女は誰かのために何かできる人だ。

 仲間が増えた、そんな気分だね。

 

「あっ、そうだコレ使って」

 

 笑いかけた後、何故か顔を赤くした彼女に発明品であるフルガントレットを説明されたり渡されたりしていると、飯田君の電話がかかり約束におくれそうだからと急いで着替えに向かった。

 

 ホテルの入口についたけど女性陣はまだだね。

 勝己とか男性陣とは合流した。

 女性はドレスとか大変だしね。 

 峰田君達は期待に溢れた表情だし。 

 遅れてゴメンと謝られるが格好を見れば納得。

 勝己も目を見開いて反応して、褒めこそしないが、顔を恥ずかしげにそらしたので芦戸さんと耳郎さんは満足みたいだ。

 こんな対処じゃスイリューさんに馬鹿にされるなと呆れていたら、メリッサさんも合流。  

 パーティー会場に来ていないから迎えに来てくれたみたいだ。

 真打ち登場と盛り上がるけど、確かに美人。

 皆が劣るとは思わないが、場馴れした感じとスタイルが大人らしさを強調して、一線を画しているね。

 どうかな?と僕にはにかむメリッサさんに素敵だねと微笑み返す。

 いやなんでお前は慣れてんだと勝己が突っ込むけど、超合金クロビカリに付き人頼まれるんだよ僕。

 そんな一息ついた空気を台無しにするかのように警報が響き渡った。

 慌てる僕らに流れた放送は爆弾が仕掛けられて警戒態勢に移行するというもの。

 携帯も通じない中、メリッサさんが対応に疑問を感じたため、非常階段からオールマイトと合流を提案。

 頼り切るのはどうかと思うけど、情報が一番入るのは彼だろうしね。

 

 しかしいざパーティー会場に行ったら、状況はそれどころじゃなかった。

 トップヒーロー達はオールマイトを含めて拘束され、警備システムを管理しているセントラルタワーはヴィランに占拠されており、人質は島の住人全て。

 オールマイトは自分がなんとかするからと告げられるけどやるべきことは決まっている。

 飯田君と百さんはオールマイトの指示に従うべきだと提案して、皆がそれに頷くけど。僕と勝己はスーツの上着を脱ぎ身体をほぐす。やはり正装とはタンクトップだよね。

 

「緑谷君?」

 

 飯田君の言葉には頷かず、ただ確認するように一言。

 

「勝己頼んだ」

 

「あいよ、てめえも抜かるなよ」

 

 それだけで伝わる、だからこその幼馴染。

 

「お前らどうする気だ」

 

 轟君の疑問には簡潔に。

 

「ヒーローを開放し、ヴィランを叩き潰して、パーティーを楽しむ」

 

「お前ら話聞いてたのかよ!」

 

 峰田君の悲鳴に対しても僕は、思いを告げる。

 

「危機的状況に誰かが助けてくれる。

 その誰かに為りたいから僕らは雄英高校の門を叩いたんだろ?」

 

「クソヴィランが勝ち誇る面とかムカつくんだよ」

 

 息を呑む皆を前に案を伝える。

 

「二手に別れよう、勝己は非常階段から囮役をやってくれ」

 

「どうせどっかで隔壁は降りてんだろうしな、せいぜい引き寄せるさ」

 

「いや二手ってそれ以外の道はないわよ」

 

 地理に詳しいメリッサさんが聞くが、

 

「家から締め出されたら窓から二階が基本だろ?」

 

 僕は外を指差した。

 そんなトコからどうやってと騒がれるけど、僕には可能、自力で登れるし、浮遊の個性もあるしね。

 相手が思いもしない行動とってこそ奇襲。

 後は、警備システムをなんとかすれば良い。

 

「それで警備システムの解除とかできるの出久君」

 

 麗日さんのその疑問に僕はピタリと硬直して。

 

「勝己、コンセント抜いてもう一度挿したら、元に戻るよね?」

 

「テメェを一秒でも信じた俺が馬鹿だったよ」

 

 最悪壊せばなんとか。

 

 作戦は肝心なトコで躓くのであった。

 

 

 

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