タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第53話

 

 変更されたとはいえ本格的なカリキュラムは明日からだと相澤先生に告げられ、課題としてエンドレス土魔獣バトルをすることになったクラスメート達。

 昼食は疲労のため食事が受け付けなかったので軽めにすませたが、日が暮れての夕食は勢い良くかっこんでいた。大勢での食事に慣れていてそれほど疲労していない僕は配膳するプッシーキャッツの手伝いをする。ちなみに泣きながら食べる皆は聞いていないが世話をするのは今日までと言っているから、食材をチェックしてからネットでレシピを調べておくべきだろう。明日からはどんなに疲れていても食事はでてこない、市街のようにコンビニに頼ることができないのだ。

 皆でやることも大切だからカレーを最優先候補としておくが後はどうするか、さすがに毎食カレーとはいかないだろうし、やはりパスタ?

 独身ヒーローからは、一人暮らしで自炊すると丼とカレーとパスタのローテーションだよと煤けた表情で言われたが、大勢のメニューにもうってつけなんだよね。

 とりあえず明日はカレーで、それ以外は一覧を作って皆で決めよう。一人暮らしな子もいるし、勝己はレシピあればフルコースもできるくらい器用だから手伝いは大丈夫だしね。

 食事が終了したら後は風呂。

 頼まれた用意と仕込みが無駄になると良いけど。

 

 お風呂には洸太君も一緒だ。マンダレイにお世話を頼まれたのもあるし、何度かの顔合わせで僕と勝己をお兄ちゃんと慕う洸太君と一緒なのは一人っ子な僕らも弟ができたようで嬉しい。

 

「そういえばその洸太君とずいぶんと親しいな」

 

 マンダレイの親戚の子としか知らないクラスメートは疑問に思ったみたいだ。

 

「ニ年くらい前になるかな?マスターが血狂いマスキュラーってヴィランを撃退して、その時助けたウォーターホースってヒーローの息子さんなんだよ」

 

 助けたとはいえ、ウォーターホースもマスキュラーを殺す気で戦ったり、守るべき一般人がいなければ押し切れたというのが、マスターの言。

 一般人を守る、ヴィランも殺してはいけない、卑怯な手やカッコ悪いやり方は推奨されない。ヒーローは命がけの戦いの中でも制約が多すぎる。ヴィランは手段を選ばなくて良いから卑怯だ。

 洸太君の頭を洗いながら答える。ちなみに勝己だと爆破されてアフロになるとタンクトップタイガーがデマを吹き込んだせいで拒否されてしまう。後日アフロなタイガーがいたが自業自得だろう。

 

「それで親しいのか」

  

「タンクトップ事務所でも預かること多いしね」

 

 洸太君も将来タンクトッパーになると言ってるから楽しみだよね。勝己は止めたがってたけど、それで勝己兄ちゃんみたく最強になる、の一言で撃沈したし。

  

「求めてるのはこの壁の向こうなんスよ」

 

 そんな微笑ましい光景も意に返さない、それがエロブドウ峰田実。

 壁に耳をつけて音声を拾い、確認しテンションを上げている。

 

「ホラいるんスよ、今日日男女の入浴時間ズラさないなんて、事故そうこれはもう事故なんスよ」

 

 その言葉に助平とムッツリが年相応に反応する。あ、洸太君の教育に悪いから耳をふさぎたいけど、手が泡だらけだった。

 ありがとう障子君。うん洸太君には早いからね。

 飯田君が止めようとするが、これで止まったら峰田君じゃないよね、偽物だと思うよ。

 

「で、上に高圧電流でも流してあるのか?」

 

 僕の態度から対策済だと悟った勝己が物騒な事を言い出す、正直女性陣のために爆殺くらいしかねないし。

 顔を見ると洸太君いるから我慢してるけどブチ切れ寸前だね。

 

「自分でも言ってたのにね、男女の入浴時間は普通はズラすって」 

 

 まあズラしても覗きと下着ドロをするだろうけど。

 ヨダレをたらし、壁を乗り越えた峰田君。

 当然その先には、

 

「一緒に入りたいのかピョン?」

 

 対策するよね。

 

「ぎぃぃぃやぁぁぁっ!?」

 

 響き渡る覗き犯の絶叫。

 女性陣が気にするだろうからと湯船に浸からず、ポーズを取りながら待機してくれたラビットに失礼な。

 まあ美少女の裸体かと思ったら、ウサ耳(風呂でも取らない)ケツアゴマッチョオッサンいたら悲鳴くらいあげるか、覗きの分際で失礼だけど。

 

「捕まえたでピョン」

 

 あまりのショックに気絶した峰田君を捕獲したみたいだね。

 

「お疲れ様ラビットさん、すいませんこんなこと頼んでしまって」

 

「大人として当然だピョン、この少年は相澤さんに引き渡すピョン?」

 

「ええお願いします、合宿終わるまで空き時間は教員室で過ごして寝るときも教員室だそうです」

 

「寝るときも!!」

 

 なんだ起きたのか。

 

「とりあえず初犯だからこれで済みますが、二回目は強制送還プラス保護者面談だそうです」

 

「いや未遂なのにやり過ぎじゃね」

  

 確かに厳しいかもしれないけどさ上鳴君。

 これ普通は警察沙汰で林間合宿中止になってもおかしくないからね?

 なんか一部の犯罪はこの程度のこと認識されたりするよね?万引とか。

 僕の言葉に納得したみたいだけど、この場所が雇われたとはいえプッシーキャッツの善意で貸してくれてる個人的な施設だってもっと理解してほしいよ。

 用意してたドリルで壁に穴あけたりしたら弁償どころじゃないし、覗きの時点で全員叩き出されても文句言えないんだけど。

 峰田君はタオルを腰に巻いただけの格好で相澤先生に引き渡された。

 対策に協力しといてなんだけど、なんで一生徒の僕がここまでやるんだろ?こんなことやってる場合じゃないのに。

 

「そういえば聞こえた声はどうしたんだ?」

 

「アレは録音、僕がタンクトップ声帯模写して用意したの」

 

 とりあえず問題は解決したし、あとは洸太君とお風呂入るだけだね。

 せっかくの温泉なのに、ロクに入らないで覗きをするなんて勿体ないね。

 余談だけど、真っ直ぐな眼差しでお兄ちゃん達すごいね、と慕ってくる洸太君にクラスメート全員が可愛がって面倒を見るようになった。

 

 

 翌日、合宿二日目。

 朝5時半から強化合宿スタート、疲労と慣れてない時間に環境でボーとしてる人も多いね。

 全員の強化と、一年にしては異例な仮免の取得が目的な今回の合宿。

 そしてそれだけではない、具体的になりつつある敵意に立ち向かう為の準備。

 相澤先生の言葉に皆が息を呑み気を引き締めた。

 

 

 

 

 

 

 

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