タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第55話

 

「これでよしっと」

 

 前のように遺書のつもりはない。

 けれど勝己には話すと約束したから、話せない場合の時の念の為の準備はしておく。

 書いた文章を確認し、封筒に入れると勝己のカバンにそっと入れる。できれば読まれる事態なんて起こらないで欲しいけど、タンクトップと危機感知がそうはならないと伝えてくる。

 サーナイトアイの言っていた未来の分岐点。

 最善の未来を掴むのだと誓い、僕は拳を握りしめた。

 

 

 

 

 林間合宿三日目、昼。

 みんなの動きがヘロヘロになっているね。 

 初日と二日目は緊張と興奮によって力が入っていたけど、三日目となると生活に慣れてきて疲労が顔をだしてくる。特に補修組の面々は皆の就寝時間から座学をやって睡眠時間が半分だからよりきついだろうね。

 相澤先生は補修組それぞれの問題点を指摘した上で、立ち回りの脆弱さに憤慨していた。

 立ち回り、ただ個性をぶっ放すことがヒーロー活動ではない、個性は最適な場面で使うモノであり、その場面まで一連の動きこそが大切なのだ。

 ついでに麗日さんと青山君もギリギリだったみたいだね、見せてもらった映像だとたまたま上手くいっただけで最善な行動をとったとは言い難い。青山君なんかは何もしてなかったし。

 ある程度みんなが落ち着いたら、ピクシーボブが今夜の予定を告げた。

 クラス対抗の肝試し。 

 アメとムチ的な楽しいイベント。

 あらかじめしおりに記載されてたけど、忘れている生徒もいたし、状況が状況だからイベントがあることに驚いた生徒もいる、物間君なんてウサ耳に帽子に無駄毛付き姿で(個性訓練中)で対抗のあたり気に入ったと言っているけど、多分補修組は無理じゃないかな?あとその格好見てみんな吹き出す手前だからね。

 ちなみに怖がっていた耳郎さんだけど、肝試しが二人きりで回ると聞いてやる気をだしたね。恋する乙女的においしいイベントだし。当然他の女性陣も色めき立ったんだけど、絶対に組み合わせになれないB組の女子達から負の波動が。

 これ組み合わせ次第でえらいことになるねと、勝己に言えば、テメェもだろと呆れた口調で返されたよ。

    

 いや夕飯肉じゃがって、皆では作れてもカレーとほとんど材料が一緒じゃん。高校生には物足りないだろうからと僕と勝己で何品かおかずを作る。揚げ物焼き物などのメインに副菜の和え物などを追加したらみんなに喜ばれた。肉じゃがはカレーと違ってお腹いっぱいかきこむタイプのメニューじゃないしね。

 お腹いっぱいになり、後片付けもすんだ。次は肝を試す時間だと芦戸さんと上鳴君が喜んでるけど、相澤先生が冷酷に水を差した。補修連中はこれから俺と補修とのこと。

 

「ウソだろ!!」

 

 と目を見開く芦戸さんだが、日中のヘロヘロ具合が相澤先生にはアウト判定だったらしい。捕縛布で補修連中とついでに峰田君をぐるぐる巻にして相澤先生は引きずっていった。

 

「闇の狂宴」

 

 常闇君、まああっているけどさ。

 肝試しルールは脅かす側はまずB組、一部女子のヤル気がえげつなかったそうです。A組は二人一組で3分おきに出発、ルートの真ん中に御札があるからそれを持って帰ること。

 賑やかしメンバーがいないとなんか静かだね。

 脅かす側は直接接触禁止で個性を使った脅かしネタを披露してくる。

 

「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!!」

 

 しかしそういえば失禁なんて峰田君くらいしかしたことないね、別件だけど。

 あとプッシーキャッツでも動きで性格分かれるね。

 マンダレイ盛り上がってないし。

 そしてクジで組む合わせ、うん補修組で人数減ったから一人余って一人チーム(僕でした) 女性二人組みが二つて肝試しの意義が。ここは女性は男子と二人きりになるとこじゃないのかな?

 

「クジのやり直しを提案します」

  

 耳郎さん、君も積極的だね。

 女性陣も男性陣もそれに賛成。百さんは組んでいる青山君を気遣って言わないだけで賛成してる。

 勝己と彼女持ちの口田君はそのまま派だ。女子と組むのに抵抗あるんだね。

 

「なるほど、せっかくのイベント男子と組みたいのは年頃の乙女としては当然。

 驚き怖がる名目で相手の腕にしがみつき甘えるのは乙女の夢。

 日頃学校で女バーバリアンとかアマゾネスとか筋肉女扱いされるヒーロー科女子達がか弱い女扱いされる数少ない機会。

 ましてや意中の相手と組める可能性があるなら納得できるわね」

 

 ウンウンと腕を組んで理解を示すピクシーボブ。

 貴方の学生時代になにかあったの?

 うちの女子達はそんな扱いないですよ、いや最近はアマゾネスみたいだけど。

 意中の相手ってトコで僕と勝己に女子の視線が二分した件について。

 

「その気持ちは同じ乙女として理解できるニャン」

 

 いや年齢、まあ乙女に変わりないけど。

 その言葉に希望を見出す女子陣だけど。 

 

「だけど認めません!!」

 

 ダヨネー。

 ピクシーボブはきっぱりと言い切った。

 理解どこいった。

 ええー、と反応する女子達。まあ協力してくれる流れだったよね普通なら。けどその人三十路独り身。

 

「肝試しで男子とイチャコラするなんて14年早い」

 

 年数が具体的過ぎる。

 私怨と嫉妬がアリアリだよ。

 

「ヒーロー科女子たる者、男なんて二の次よ」

 

 目が笑ってない、深淵の奥底に埋もれし者が同胞を増やそうと手を伸ばし引き摺りこもうとしてる目だ。

 まあ美人と評判の女性ヒーロー程恋人いないよね。

 女性ヒーローって恋人の存在が人気に直結するから、結婚と引退がセットな人多いし。ウォーターホースご夫妻なんかレアパターンだよね。

 ちなみに統計的に男性ヒーローは結婚相手にヒーローは嫌がる人が多いらしい。スキャンダルになるしそのヒーローのファンから叩かれるし、物理的に強いとかが理由だとか。

 大抵は後援者の親族とお見合いパターンで、ヒーロー同士の夫婦はチームアップが多い気心の知れた相手か、ヒーロー科の同級生とからしい。

 ブーブーと不満を示すみんなに、プッシーキャッツはとりあわずに肝試しはスタートした。 

 

 開始する少し前に気になる反応があったとタンクトップハッターが言ったため、タンクトッパー達三人が確認しにいったけど嫌な予感しかしないね。

 盛り上がるみんなを見ながら僕は意識を切り替えた。

 

 

 

 

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