タンクトッパーイズク   作:規律式足

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今回は短いです。


第60話

 

 そして午後、バーの前に拘束された僕と流されるテレビ。予想通り面白いテレビは雄英高校の謝罪会見。

 頭を下げる先生方と野次る記者達。

 その追求はプッシーキャッツ達と、意識不明で入院しているラビットとジャングルに無事だったハッターにまで及んだ。

 プッシーキャッツには情けないだの、所詮アイドル気取りの女ヒーローだの、タンクトップ事務所にはやれ無個性ヒーローなんておかしいだの、元ヴィランがヒーローをやるなだの、ハッターは中退者じゃないかだの。

 無個性ヒーローの存在、タンクトッパーを面白く思ってない連中はここぞとばかりに責め立てた。

 それを見て沈黙する僕の様子に気を良くしたのか、持論を語り出すヴィラン連合。

 ステインの教示、自己顕示に変換する異様、ルールで縛りつける社会、責めたてる国民。

 自分達の戦いは問いだと語る。

 混乱を起こし、ヒーローと正義のあり方を、社会が正しいかを考えてもらうと言う。

 まるで同調してほしいかのように。

 けどその問いに対して僕は。

 

「どうでもいいよ」

 

 雄英高校の謝罪会見を叩く連中が人間の内面だとしても、ヒーローに完璧さを求める無責任な一面があったとしても、個性に対する受け皿が不十分な社会であったとしても、それでも、

 

「君達がヴィランであり、僕の大切な人達を傷つけた事実は変わらない。君達が理不尽を振りかざしている事実は変わらないよ」

 

 僕はそれを許さない。

 考えが浅いのだろう。

 視点が狭いのだろう。

 己のことしか考えてないのだろう。

 だが社会や世界がどうであれ、社会とは個人個人の生活の積み重ねられたモノだ。

 だから僕はその一つ一つに手を差し伸べる。

 僕は世界を救いたいんじゃない。

 僕は社会を守りたいんじゃない。

 僕は泣いている誰かを救いたいのだから。

 僕は蹲る人に手を差し伸べたいのだから。

 だから、

 

「終わりにしよう、死柄木弔。

 君達のことは嫌いではない、でも君達の作る先には誰かが泣いている。だから僕は此処で君達を打ち倒す」 

 

「残念だよ」

 

 ユラリと死柄木弔は立ち上がる。

 

「お前とはわかり合えると思ってた」

 

「わかり合えると、賛同するは別の話だね」

   

「仕方ない、ヒーロー達も調査を進めていると言っていた、悠長に説得してられない。

 先生、力を貸せ」

 

「良い判断だよ、死柄木弔」

 

 来た。 

 ついにこの時が。

 やっとオールフォーワンにたどり着いた。

  

「無個性ヒーローには関心はないけれど、タンクトップで発現した個性とやらには興味がある」   

 

 黒霧のゲートの奥から迫り出してくる気配。

 同じ人類とは思えない凶悪な威圧感。

 居るだけで絶望したくなるような存在感。

 オールマイトとの決戦で表舞台に立てなくなってこの威容。

 つるりとした表情無きマスクから伸びるホースが特徴な男。

 個性黎明期から数世代も闇に君臨し続けた絶対王者。

 これが、オールフォーワンか。

 

 仲間であるヴィラン連合すらその存在に呑まれる中で僕は一人。ワンフォーオールの中の歴代達と共に、唇の端を上げて笑う。

 強がりに決意を乗せて、僕は此処で全ての因縁にケリを着ける、

 

「ねえオールフォーワン、一ついいかな?」

 

「「「!?」」」

 

 先生としか言われていない存在の名前を言い当てた事実に、周囲は混乱する。

 

「タンクトップで個性が発現するわけないだろ?

 バーカ」

 

 バキリと拘束を力尽くで破壊し、左手から黒鞭を伸ばしヴィラン連合全員を縛りあげる。

 

「この個性は」

 

 記憶を掘り起こしたオールフォーワンが反応するがもう遅い。

 

「5代目の黒鞭プラス3代目の発勁、合わせて喰らえよ」

 

 握った左手の甲にパンっと右手を重ねる。

 放射状に広がった黒鞭に発勁の衝撃が伝播する。

 

「黒鞭打尽」

 

 その衝撃にある者は意識を絶ち、ある者は血を吹きだす、中には耐えきった者もいるがダメージは大きい。

 

「成程ね、緑谷出久」

 

 だが肝心のオールフォーワンはマスクに罅が入ろうと平然としている。

 

「君が9代目か」

 

 見つけた、と見えない筈の目で見つめられたように感じた。ニチャリと見えない筈の表情が嗤った気がした。

 だけど怯むな。

 此処でコイツは倒す。

 僕の全てを賭けてコイツを倒す。

 サーナイトアイの言っていた予知を覆すために。

 オールマイトにあんな終わりにさせないために。

 これからも悲劇が続かないために。  

 全てを終わらせる。

 

 

 

 

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