タンクトッパーイズク   作:規律式足

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ギャグを書きたいです(血文字)



第63話

 

 一夜明け、世間は騒然としていた。

 急遽生中継で流れた映像が、ヒーローとヴィランの頂点同士の決戦。

 ぶつかり合う衝撃と破壊される都市。

 ヴィランが街中で暴れることが当たり前で、普通に生活していても荒事を見たことがない人が少数派なくらい暴力がありふれた社会。

 誰もが見慣れた暴力のはずが、あの日の決戦は桁が違った。もはや娯楽としてすら認識されていたヒーローとヴィランの戦いに、多くの人々が肝を冷やした。

 それは多くの戦いを一撃で下してきたオールマイトが苦戦していた事実と、オールフォーワンの発するもはや覇気とすらいえる圧倒的な気配に久しく忘れていた恐怖を呼び起こされたからだろう。

 これが社会問題と成りつつあったヒーロー活動時の野次馬が改善するきっかけとなるのだが、まだ先の話だ。 

 オールマイトとサーナイトアイの共闘の上での決着、そしてエンデヴァーを筆頭としたヒーロー達の掩護と救助活動、それらは余すことなく放送された。

 幸いなことに、マスターとオールフォーワンの戦いの時には報道陣はたどり着いてなかったため放送されなかった、お茶の間に流すにはいささかヤリ過ぎな攻撃ではあったわけだし。もっともマスターは刑に服す覚悟でオールフォーワンを仕留める気ではあったようだが。

 なお僕は撃退されたオールフォーワンを収監後にマスターに連れられ病院に搬送、検査の結果かなりヤバい薬物を複数投与されていたらしく、死柄木弔が勧誘してなければ間違いなく命はなかったようだ。どれも解剖する検体に打ち込む部類の反応薬だったらしい。

 なんで平然と動いて戦えたのかと(普通は植物人間状態になるらしい)医者から聞かれたが、あの時掴んだ光即ちタンクトップのおかげなのだろう。医者が医学的興味を飛び越えて恐怖を感じたようにこちらを見てきたがどうかしたのだろうか?

 思わぬ借りが死柄木弔達にできてしまったから、捕えた際にフルボッコ後市中引き回しをやめて、フルボッコだけで済ませようと決めた。

 検査後念の為一晩だけ病院に泊まることになった。

 マスター達ヒーローは今頃後始末に奔走しているのだろう。

 僕がヴィラン連合を無力化しオールフォーワンと相対していたから、脳無を転移されるなど被害は起きず、避難誘導に専念できたため命を落とした被害者は誰もいないという。

 だからこそ、僕は僕の無力さを呪う。

 オールマイトを世界から奪ってしまったのは僕なのだから。

 目に焼き付いた多くの場面がコマ送りのように回想される。そこに込められたヒーロー達の思いに胸が熱くなる。

 分かっているんだ。

 自分を責めてはいけないと、これは良い結果だった未来なのだと。

 オールマイトの叫びを、オールマイトの思いを正しく受け取らなければならないと。

 上手くいったからこそ、余計な欲をかいているだけなのだと。

 いつだって僕は無いものねだりだ。

 自嘲しながらため息をついて、眠りに落ちた。

 そしたらワンフォーオールの精神世界で、お前ネガティブ過ぎと歴代達にからかいドツキ回されたので全員に(とばっちり2名)タンクトップを着せて報復した。あとオールマイトがあそこまでやれたのはお前のおかげだと礼も言われたので、少し心が軽くなった。そろそろ目覚めの時間だからと起きようとしたら、去り際に二代目が、まだ終わりではない、と何かを確信した表情で言っていた。因みに、ワンフォーオールの精神世界で起きていたら体は一応寝ていても疲労は残るらしく、目の下にでかい隈をこさえて帰ることなった。

 

 ヒーロー公安委員会の護衛の元帰宅したが、移動中にいくつかの注意と要請を受けた。注意の方は秘匿すべき情報について。そして僕の身柄が安全だとはいえないことについて、ドクターと呼ばれた脳無製造者の情報が不明な以上タンクトッパーが狙われる危険性は未だに高いだろうとのこと。要請については戦力として、僕が託されたワンフォーオールを除いても戦闘能力はヒーロー全体から見て最上位。今後も脳無やそれ以上の存在との戦闘が起こる場合、応援を要請すると告げられた。仮免資格は必ず取得しないとマズイようだ。ただでさえ雄英潰しなんて流行っているのに。

 最後に、無事で良かったと職員一同思っていると伝えられた。タンクトップ事務所に出入りしていたため付き合いのあった彼らにも心配をかけていたようだ。

 ようやく自宅についた僕は、顔を合わすなり無言のまま抱きしめてくる両親に挟まれそのまま数時間過ごすことになった。包まれた温もりに僕はようやく死の恐怖を思い出し実感し涙を流すことができたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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