タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第71話

 

「必殺技、即ちタンクトップだね」

 

「何言ってんだお前」

 

 イレイザーヘッド以外にもエクトプラズム、セメントス、ミッドナイトの3人の教師を加えた圧縮訓練で己を象徴する技を生み出す。 

 担任であるイレイザーヘッドに、

 生徒の人数分の対戦相手とアドバイザーを用意できるエクトプラズム。

 地形や物を用意できるセメントスと、 

 ネーミングセンスやいざという時の抑えになるミッドナイト。

 かなり合理的な配役だね。

 移動したネーミングがアウトな体育館で先生方に説明を受けてクラスメート達がそれぞれの反応を示す。

 これさえやれば有利、勝てる、型。

 それが必殺技の意味。

 またヴィランに対しても知られているからこそ警戒という形で対処を迫れるのも強みだね。

 対人戦闘において何かに意識を払っている状態は明確な付け入る隙だからだ。

 

「さあ、やるか」

 

 タンクトップを締めて創ろうじゃないか、新たな必殺技というヤツを。

 

「ああ、緑谷と爆豪は必要ないから座学か皆のサポートやれ」

 

「「はいっ?」」

 

 イレイザーヘッドの言葉に驚いて問いかけると。

 

「はっきり言ってお前達二人は強い。

 対人戦闘で勝てるヒーローなんてプロでも一握りだよ。必殺技も体育祭の時点で充分にできている。

 なら座学で救助項目を学んだ方が合理的だ」

 

 まあ確かに僕と勝己は強いけど、だからといってそんな扱い。

 

「他の生徒のサポートでも良い、それから学ぶこともあるしな」

  

 そうしてクラスメート達はエクトプラズムの分身を連れて各々散っていった。

 ガックリと項垂れる僕と勝己をそこにのこして。 

 

「どうする勝己?」

 

「言われた通りすべきだろ、とにかく座学だ」

 

 生真面目だよね勝己は。

 納得したのか用意されていた机を指差して言う。

 体育館の入口横にポツンとコンクリートで作られた机と椅子に山盛りな教科書とかシュールな光景なんですけれど。

 確かに、一年時に仮免取得は珍しいし、戦闘以外にもヒーローがやるべきことはあるけどさ。

 というかさっさと勉強はじめているよ勝己。

 マイペースだよね。

 

「アイツラには救助や避難誘導なんて学ぶ余裕はねえ。だったら余裕ある俺らがサポートできるようにしとくべきだろ」

 

 そうだよね。

 僕たちは一年二年の経験不足という劣っている分を自覚してでも挑むんだ。

 なら学校の仲間と団結して対応するべきだよね。

 雄英潰しなんて横行してるくらいだし。

 雄英潰しの話題を出せば勝己は苦々しい表情をしたがそれでも仕方ないと言う。

 

「どうせ現場にでたら雄英高校出身だからとヴィランにマークされてんだ。こういった機会に慣れておくべきだろうよ。林間合宿を襲撃したヴィランにも学歴コンプレックスのヤツがいたみたいだしな」

 

「マスタード、だっけ?B組の鉄哲君と拳藤さんが撃退してくれたヴィラン。

 彼らの活躍のおかげで被害が大分減ったよね」

 

「自らを交渉材料にしたテメェ程じゃないがな。

 俺らは中学校全体で祝福されたが、他の連中は妬まれたりとかあっただろうに。

 クラスの連中とつるんでいると忘れそうになるが、そういった嫉妬に狂う輩もいるんだよ」

 

「敵対して悪く言ってくる物間君とかそういった意味でありがたいかもね」

 

「ヒーローなんて目指してんだそういった風に見られると自覚した方が良い。うちの連中はもっと悪意に慣れるべきだよ」

 

 ましてや後の無い三年生の入り混じる仮免試験、一年生が参加なんてしたらそれだけでヘイトが集まりそうだよね。

 仮免試験自体は社会人でも受けることができるがヒーロー育成学校在学時に仮免を取得できていない事実はそれだけでヒーローとして劣等生のレッテルを貼られる。

 タンクトップ事務所のタンクトッパー、その中でヒーロー育成学校中退かつヴィランにまでなった上で更生してヒーロー資格を取得しプロヒーローとして活躍してるジェントルなんかはかなりの例外存在だしね。

 そんな雑談をしながら参考書を読み解く。

 ある程度は知っているとはいえ医療関係なんか昨日の常識が今日の間違いなんてよくあるしね。

 

 

 そして一段落してお昼の時間。

 

「「「お弁当ー!!」」」

 

 とはしゃぎながら飛びかかってくるクラスメート達の前にブルーシートを敷き、大きな重箱を広げる。あとは魔法瓶に入れた豚汁とお茶を配れば準備完了だ。

  

「美味え、美味え」

 

「ランチラッシュの学食も良いけど、皆で弁当はまた良いよな」

 

「ウチのクラスの旦那系高校生と家政夫系タンクトッパーは最高だよね」

 

「いやどんな区分だよソレ」

 

「実際学食まで行くのは時間が勿体ないから助かるな」

 

「敷地広いからね、自販機はあるけど売店はないし」

 

「体育館だぞここ一応、名前アレだけど」

 

「けど緑谷と爆豪は強いから訓練必要ないとか」

 

「武術を修めているからね、必殺技もそこに個性乗っけるだけで充分だし」

 

「「タンクトップは個性じゃないだろ」」

 

 ワイワイガヤガヤ昼食を楽しむけど、やはり必殺技や仮免試験についての話しになる。

 

「戦闘能力が重要って言われてもな」

 

「ヴィラン連合の件でヒーローは今後脳無に対処できるかどうかがキモになりそうだね」

 

「いやプロヒーロー数人がかりで足止めが精一杯じゃんアレ」

 

「だからこそヴィラン連合に対し後手になっている。

 アレを転移された時点で被害が確定だから」

 

「打ち倒せないなら無力化に拘束か、必殺技はそれを意識するかな」

 

「アレに通じりゃ、大概のヴィランはなんとかなるだろうし」

 

「仮免試験ってどんなか聞いてない?タンクトッパー達から?」

 

「ある程度は聞いているから資料として纏めとくよ。

 ただ今年からは先日の事件で大分変更されそうだけどね」

 

「オールマイトの引退あったしな」

 

「おら残さず食え、身体作りもヒーローの基本だ」

 

「「「言われんでも残さんわ、美味すぎ!」」」

 

「明日は蕎麦にしてくれ」

 

「弁当だと難しいね、朝ご飯にやるよ」

 

「そうか(シュン)」

  

 楽しいランチタイムはあっという間に終わり、午後からは尾白君に頼まれて組み手の相手だ。

 入口の方でオールマイトがトゥルーフォームで覗いていたけど、必要なさそうだねと呟くと後ろに控えていたサーナイトアイを連れて去っていった。

 まだ訓練初日、やるべきことはたくさんあるね。

 

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