やりすぎないといいけどな。
観客席でこれから試験で起こりうる出来事を想像して頭が痛くなるがそれもまた合理的か。
仮免試験において恒例行事と成りつつある雄英潰し、あえて伝えなかったその情報を緑谷と爆豪のせいでA組は元よりB組まで伝わってしまった。まあ生徒に甘いブラドキングなら伝えて対策させそうだが。
合格することに疑いはないが、問題はやりすぎないことだ。特に雄英潰しを知って仲間思いな連中はかなり苛ついていたしな。正直ヒーローらしからぬ行動だと思うし、雄英高校に恥をかかせようとやらかす連中も多い。
気づいているのかね?雄英潰しをやらかした連中は主催者側であるヒーロー公安委員会にマークされ目先の利益のためなら他者を切り捨てるタイプだと評価されているということに。
ヒーロー公安委員会は、実のとこかなり表に出せないコトをやらかしている。俺自身公安直属のヒーローに誘われたから確かだろう。アングラ系の仕事をやってた時にも公安のしでかした出来事の痕跡にいくつか遭遇したしな。
合理的に判断し戦略として雄英潰しが有効なのは認めよう。だがあまり大人を舐めないで欲しいもんだ、その行動の真意に気づかない訳がない。
やらかした時点でアウトな雄英潰しにどれだけの連中が参加しちまうか。
「イレイザー、チャック開いてる(クスクス)」
(何で俺の周りはこううるさい奴ばかりなんだ、山田といいコイツといい)
わざわざ俺を探して近くの席に座ったと思ったらこの女は。
「しかし20人とはなァ。
お前が除籍してないなんて珍しいじゃん。
気に入ってんだ?今回のクラス」
「別に」
そう除籍の判断は気に入るかどうかじゃない。
そいつらの姿勢、それがそいつらの命に関わることを自覚しているかどうかで決めている。
前回は駄目だった、まだ機会はあるがそれでもあのままだと実習で現場で命を失いかねない。
そんなことはあってはならない。プロヒーローは何時だって命がけな仕事だ、だからこそ踏み止まれるならそれも一つの選択だと俺は思う。その機会を見つめ直すきっかけを与えることが俺の役目だと。
「ブハッ 照れんなよダッセぇなぁ!付き合おう!」
「黙れ」
相変わらずだよ、コイツは。
ため息をつきながら話しを聞く。
雄英潰し、いかに雄英高校が不利であるかを。
(コイツの教え子達も参加か)
杭が出てれば打つねえ、
「舐めすぎだろ」
「イレイザー?」
「やる事は変わらない、ただただ乗り越えて行くだけ。理不尽を覆していくのがヒーロー。
プロになれば個性を晒すなんて前提条件、悪いがウチは他より少し先を見据えている」
アイツラに向けて一斉にボールを投げて当たる訳ないだろうに。
傑物学園の個性を用いた連携は見事だ、けれどな。
耳郎に芦戸に常闇、成長の見られる良い動きだ。
「ずいぶん上から語るねイレイザー。
ヒーローを目指す子は星の数ほどいるわけで、その志の高さには有名も無名もないんだぜ。
主役面して他を見下してっと返り討ちに遭うのはそっちかもよ」
「ないな、そもそも緑谷と爆豪は俺より強い」
「?!」
まあ経験やあしらい方など教えることはあるが、タイマンならもう勝てないな。
「それに、主役面なんてフザけたことを言ったな?
それが舐めてんだよ。
遥か先を行き自ら身を犠牲にしてまで誰かを守ろうと突き進むヤツに、そいつに追いつき共に進もうと必死に足掻いている連中。
俺の自慢の生徒達に主役面したり見下してるヤツなんて一人もいねえよ」
傑物学園高校の真堂の必殺技、地面を砕く大技を同威力の衝撃波を足一本で放ち無効化する緑谷。
キレてんなアイツ。
必殺技の習得開発はヒーローにとっては必須だ、自らの象徴になるほどに磨きあげるモノだ。だからこそそれが容易く破られれば崩れる。必殺技に掛けた時間が長いほど、プライドが高いほど、自信があるほどにな。
「個性発動、個性を上手く使うかどうかレベルじゃ緑谷の相手は務まらない」
アイツ相手には個性を組み込んだ独自の格闘術を確立できてようやく戦えるレベルだ。
そんなの同世代に爆豪くらいしかいないがな。
誰が受かったか分からんのはもどかしいが、緑谷と爆豪、それにタンクトッパーの影響で生徒達は肉弾戦格闘技に重きを置いている。ルール上厄介な夜嵐とは遭遇しないまま先に合格されたから大丈夫だろ。
ん?アレは士傑の学生か、クリア出来るのに受験者狩りをしているが仲間のサポートって感じじゃないな。ステインの思想に感化されて高潔さやら誇りを重んじるようになった手合いか?爆豪達と接触したみたいだが、軽く話してそのまま素通りしたな。上鳴に突っかかったようだが、敵対する程ではなかったか。
緑谷も上手くクラスメートをまとめていたから大丈夫だな。はぐれたメンバーも合流してクリアか。
「べた惚れかよ羨ましいー。やっぱ結婚しようぜ」
「しない。お前もプッシーキャッツみたいなのか」
「こないだ一緒に飲みにいったけど同じ扱いはやめて欲しいな。私は一途だし」
「ハイハイ」
一次試験は全員無事に合格か。他校の三年を見て蹴落とすことに迷ったりすることも懸念していたが杞憂だったな。当たり前か、アイツラはそんなことを気にしている余裕ないからな。
終わったらサルミアッキをたらふくご馳走してやるか。偶にはいいだろうそんなことをするのも。
二次試験もある、だがアイツラならやり遂げると確信しながらモニターを眺めた。
今作独自設定。
雄英潰しの公安の評価と反応。
肉倉先輩は落ちてません。上鳴君は注意したけでIアイランドの活躍もあるので敵対しません。
トガちゃん潜入してません、そもそもタンクトッパーなイズク君は彼女にとって苦手な部類です。