この試験の説明を受けた時嫌な予感がしたんだ。
一次試験の勝ち抜き戦とは異なる救助演習、それは経験の足りない一年である僕らには不利な試験だ。授業で習いこそしたが、それ以上に個性の使用法に戦闘能力を重視していたからだ。USJの襲撃事件の影響もある、襲撃事件後に施設がしばらく使用できなくなったため救助訓練のカリキュラムが全体的に遅れ気味なのだ。
とはいえ勤勉な百さんは知識面は頼れるし、リーダー役として飯田君もアテにできる。必殺技習得期間に学んでいた僕と勝己が二人をサポートしてA組が一塊に動き役割分担を果たせば充分な成果をだせるだろう。
だがこの嫌な予感は何だ。
それどころではないとタンクトップが僕に語りかけている?
もしやヴィラン連合の襲撃かとも考えるがそうではない、どちらかといえばスーパーファイトに参加した時のような強者の気配がするのだ。
泣き叫ぶHUCの子役さんを保護しながらその思考に囚われていると、他学生の皆さんは適切な対応をとっていた。
やはりまだまだ学ぶべきことは多い、その事実に嬉しくなる。けれど雄英高校だって劣っているわけではないようだ。どっかの誰かさんが大怪我や捕まったりするから救助の勉強を皆でしていたらしく一年とは思えない手際だと他学生も驚いていた。
皆にそんな行動を取らせたどっかの誰かさんとは一体誰なんだろうか?やはり同じクラス内にいるのか?
「「「お前だよ」」」
この調子なら救助は問題ないね。
あとは出来るだけ迅速にだけれど、なんでこうも嫌な予感が拭えない。
「出久」
「勝己も?」
「ああ、なんかやばい気がする」
だよね。勝己も武闘家だから感じるのだろう。
「この状況下で強者の気配、」
「んでもって公安の目良さんは俺らを知っているとなると」
「「えげつない敵役が襲撃をしかけてくる」」
「超合金クロビカリやエンデヴァーが出てきても驚かないよコレ」
「今のうちに士傑に要請しとくか」
「戦力を掻き集めないとね」
さて鬼が出るか蛇が出るか。
BOOOOM!!
仮救護所のすぐ前、壁を爆破してヴィラン出現か。
現れたのは神野区での敵連合掃討作戦にも指名された異形タイプ武闘派ヒーローのギャングオルカにそのサイドキック達。
彼自身の番付もナンバー10!
確かに学生じゃ相手にならない強者。
だけど、彼ではない。
「皆を避難させろ!奥へ!」
即座に走りだす真堂さん。
だが、駄目だ!
「気に入らねえツラだなぁ」
その声を聞いた時、全身の毛が総毛立った。
そして思う、ここまでやるのかと。
真堂さんが大地を砕いて足止めしようとするが、その迎撃のために現れた存在。
その存在があまりにもヤバ過ぎた。
「あ、あの御方は」
後ろで峰田君も腰を抜かしている。
僕だってそうしたいさ。
あの人はそれだけの存在だから。
ズガン!!
振り下ろされた拳の一撃で真堂さんは小型のクレーターが出来る程に叩き潰された。
それを為した人物。
細長く萎れた疎らに毛髪生えるその頭に歯並びの悪いボロボロの口、そしてパツパツの学ランから突き出た腹に盛り上がるデベソ。
全世界の非モテ達の頂点に君臨する伝説のブサイク。
コンプレックスを戦闘力に変換するという恐ろしい個性を持ち、今まで多くの(イケメン)ヴィラン達の尊厳を破壊尽くしてきたヒーロー。
敵っぽい見た目ヒーローランキングとモテないヒーローランキングとカッコ悪いヒーローランキング圧倒的一位の3冠保持者。
「外見と戦闘ステータスは伴わねえ現実を教えてやるよこのイケメン野郎」
非モテヒーロー ブサイク大総統。
イケメンに対する戦闘力はオールマイトをも軽く凌駕すると謳われた伝説のヒーロー。
あの人には助けられたくないかなとすら言われる悲しきヒーローは今、仮免試験の敵役として君臨した。
「合格者出す気ないだろ!! 勝てるか!!」
ちなみに付き合いはあったりする。
タンクトップベジタリアンの同級生だからたまに事務所に遊びにくるのだ。
なお鍛錬やトレーニングは一切しない。
そういったイケメン行動は性に合わないとか。
同じ天才でもスイリューさんが武術の天才なら、ブサイク大総統はまさに個性使用の天才。
マスターとて勝てるか分からないそんな存在を学生の試験にだすなよ。
ただでさえなんでヒーローやっているのか分からない人なんだし。
「さあ観客に見せてやろうぜオルカちゃん、イケメン達の末路をなあ!!」
この人本当にヴィランじゃないのが不思議だよね。