タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第77話

 

「総員傾聴!!

 敵はオールマイト級の実力者!!

 戦闘はこのタンクトップオールグリーンが引き受ける!!

 だがイケメン以外の拘束に向いたヒーロー達には掩護を要請する!!

 それ以外のヒーロー達は被災者の皆さんの避難誘導に専念してくれ!!」

 

 会場全てに響く大きな声で叫ぶ。

 相手は色んな意味で最強なブサイク大総統。 

 戦闘スタイル的に相性は悪くないとはいえ、相性をブサイクでねじ伏せるからこそのブサイク大総統、まず勝てる相手ではない。

 ならば打つ手は一つ。

 かつてタンクトップマスター達が全裸大帝を封じたように相手を疲労させて個性にて拘束する。

 イケメンはブサイク大総統の戦闘力を跳ね上げるだけだから、ここはフツメンオタク寄りタンクトッパーな僕が中心となり微妙な容姿メンズで対応する。

 

「ってドコ行くお前」

 

 即座に下がろうとする峰田の襟を掴み持ち上げる。

 

「え?だってオイラ、」

 

 持ち上げられたまま本人としてカッコいいと思い込んでいるキメ顔をかましながら、

 

「イケメンだろ?」

 

 現状ではまるで笑えない冗談をほざく。

 Msジョークの個性を使用されても笑えねえよ。

 

「寝言は寝て言え」

 

「かつて無いほどキレてない?緑谷」

 

 相手考えろ、足止めに専念しないと五分で壊滅されかねない実力者なんだっつの。

 

「任せろ緑谷」

 

「ああ僕たちも協力しよう」

 

「熱い展開スね、やりますよ!!」

 

「話聞いてたかイケメン共!!」

 

 天然イケメンの轟君に、真面目イケメンな飯田君と、熱血系坊主頭イケメンのイナサ君。

 この状況を悪化させるだけのイケメン共の登場に怒鳴り返す。

 

「「「いや自分イケメンじゃないし」」」

 

 3人の息の揃った返事にぶら下げたブサメン代表に尋ねる。

 

「峰田、どう思うよ?」

 

「大総統閣下にグチャみそにされて欲しい」

 

「それな」

 

 容姿なんてタンクトップのオマケだが、過大評価でも過小評価でも自己評価は正しくできないと困るんだよ。

 

「出久やれるのか?俺はギャングオルカ達を担当すれば良いんだろうが」

 

 連れてきてくれた拘束系個性フツメン代表の瀬呂君を下ろしながら勝己は言う。

 

「出来れば御免被りたいけど、ブサイク大総統の相手なんて僕くらいしかできないでしょ」

 

 それだってすり潰されるような足止めが精一杯だ。

 かといってワイルド系イケメンな勝己は実力の増したブサイク大総統の前だと轢き潰されてしまいだ。

 そもそもギャングオルカを担当するのだって無茶な役割だというのに。

 

「飯田君は向こうの指揮を、轟君イナサ君は防壁として炎の壁を維持してもらって、勝己はギャングオルカ達を相手取る」

 

 ギャングオルカもサイドキック達もハンデ付き、試験としては問題だがその事実が今は救いだ。

 もっと拘束個性は欲しいけどこの二人なら大丈夫だ。

 

「自分も協力させてもらおう」

 

「貴方は士傑の糸目微妙メン先輩!」

 

 上鳴君に説教した性格アレなこの人もイケメンじゃない。ならば戦力になる。

 

「糸目微妙メンッ!! 肉倉だ!!

 いかな存在であれ、我が個性の前には相手にならん!!」

 

 確か個性は身体の一部を貼り付けて相手を捏ねくり回し無効化するんだよね。

 効くかな?

 嫌な予感しかしないけど居るだけでもありがたい。

 

「よしならば、行動開始!!」

 

「「「「応!!」」」」

 

 

 

「なんてヴィランが想定された動きをするわけないよなイズクちゃん。

 俺と同じフツメンな実力者であるお前とやるわけねえだろ?」

 

 足止めしようとする僕を無視して素通りするブサイク大総統。

 そう、この人はイケメンを殴るためにヒーローをやっている男。やりたくないことは面倒なことはしない。

 だから、

 戦う理由をくれてやる!!

 

「僕はこの夏、女の子四人とプライベートビーチで楽しく過ごしました」

 

 ピタリとその巨体は止まり、ギギギと錆びたおもちゃのようにこちらに顔を向ける。

 

「好かれてる美少女達との海水浴、最っ高でした!」

 

 その後林間合宿あって大変だったけどね。

 

「俺はイケメンが許せねえ。

 容姿だけで全てを手にする連中を叩き潰したくて仕方ねえ。

 けどな、

 フツメンのくせにリア充な野郎はそれ以上にムカつくんだよっ!」

 

 釣れた。

 心までブサイクな彼ならここで僕を狙わないわけがないよね。

 膨れ上がった肉体をミサイルのように突っ込ませてくるブサイクをワンフォーオールで強化した肉体と流水岩砕拳で受け流す。

 流し切れない?!

 巨体の軌道を反らして瓦礫にぶつけるも衝撃が全身をビリビリと震わす。

 ただの突進でコレかよ。

 真っ向勝負なんて自殺そのもの。

 タイマンバトルは処刑に過ぎない。

 極まったブサイクに無限増幅するコンプレックス。

 天地震わすその戦闘能力はまさに最強。

 死んだねコレ。

 オールフォーワン相手取った方がまだマシだよ。

 理解できない思想と行動理念の魔王より、些細な理解出来る感情からくる衝動を発露させてくるブサイク大総統の方が納得できる存在として恐ろしい。

 足止めそのものに無理があった。

 

「凄まじいパワー、だがそんなモノ私の前には意味を成さない」

 

 肉倉先輩?!

 動きを止めたブサイク大総統にすかさず個性をぶつける。精肉の個性、揉んで対象の肉体を捏ねて丸くする。

 

「誰の身体が、肉団子だコラー!!」

 

 だが効かない。 

 

「何っ!!」

 

 ブサイク大総統の個性は、コンプレックスを戦闘能力に変換する。

 ならば戦闘能力とは何か。

 筋力か、否。

 腕力か、否。

 脚力、聴力、視力、握力、全て否。 

 その個性、肉体能力を増幅させるに非ず。

 そう戦闘能力とは、

 言うなれば戦闘において相手に打ち勝てる能力。

 状況に対する究極の適応力。

 ブサイク大総統はその溢れんばかりのコンプレックスのみが可能にする進化ともいえる力。

 闇の帝王が奪っても使いこなせない彼だけの力。

 

 つまり何が言いたいかというと。

 ブチ切れたら干渉タイプ個性通じないのこの人。

  

 勝てるかっ!!

 

 人の形をした絶望に立ち向かいながら僕は叫ぶ。

 ヒーローになるってこんな絶望にも立ち向かうのだなと思いながら。

 100%状態のワンフォーオールをタンクトップ力で維持し流水岩砕拳の動きで捌く、危機感知で致命的な一撃を避け、黒鞭を伸ばして相手の手足に括り付けて攻撃を反らしながら拘束、秒と持たないで引きちぎられるエネルギーだがその一瞬にサポートアイテムのもぎもぎランチャーで発射されたもぎもぎに瀬呂君のテープと肉倉先輩の精肉で固めようとする。

 そんな命削る綱渡りを演習が終了するまで、HUCの方々が救助されるまで続けた。

 そう、いつ終わりと知れない極限に集中した時間を。

 命が尽き果てるのではないかと思いながら。

 

「終わった」

 

 終了の放送と共に皆でぶっ倒れた。

 アレだけブチ切れてたブサイク大総統もあっさりと退いた。

 あくまでルール有りきの暴力。

 それが彼の線引なのだろう。

 あの人ヒーロー側で、本っっ当に良かった。

 審査制の演習、アピールやら活躍やら意識する余裕なんぞなく僕の仮免試験は終了した。

 これで落ちても諦めつくな。

 そんな虚無的思考に囚われながら。

 

 

 

 

 




オリジナルサポートアイテム設定。
もぎもぎランチャー。発目とメリッサの合作。
峰田君専用のサポートアイテム。
峰田君の頭部を覆うヘルメットにそこから伸びたホースと先端に発射ノズルとランドセルのような背負う装置がついている。もぎもぎは触れるとくっつくため、触れないように空気で吸い取り発射している。飛距離速度精密さに連射性も投げるよりアップしてるが、手でもぐより痛いのが欠点。
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