「「「「公安ぶっ潰す」」」」
「気持ちは分かるが落ち着け」
満身創痍に満身創痍を重ねてデトロイトスマッシュを食らったような疲労感。
浮かび上がる感情はただ一つ。
復讐だ。
なんで仮免試験にラスボス超えた裏ボス以上の無敵イベントキャラだすんだよ。
勝てるか!!
疲労で動けないが、頭は冷静になった。そして断言しよう、あんなんどうしろと。
「脳無対策の一環だろ?現場に勝てない相手がいる前提の試験なんだろうよ」
「なら脳無だしてよ」
ブサイク大総統とやるより脳無100体の方がマシだっての。
「勝てるだろお前」
呆れた口調だけど本音では同意してるみたいな勝己。彼自身ギャングオルカ達を相手取るハメになってしんどかったのだろう。
こっちより100万倍マシだけど。
「爆豪はどうだったよ?」
峰田君が聞けば、駆けつけてくれた援軍のおかげでなんとかなったそうだ。
人型のシャチともいえるギャングオルカは言うまでもなく強敵、サイドキックが個性使用を禁じられ本人も拘束用プロテクターを付けていても勝己をしても勝ちきれなかったそうだ。
「ちと個人戦闘にばかり拘りすぎてたわ。統制の取れた群れの強さ、時間内に打ち破れなかった」
制限あっても連携は健在。
その指揮とフォローの巧みさは自身にない強さだと勝己は言う。僕と組んで戦うことはあるけど、タッグバトルと集団戦は別だしね。
「何はともあれ良くやったよお前達は。
あの人を止めないと壊滅してたからな」
「そらそうでしょ」
「流石は閣下」
「うむそうだな」
「俺はフツメン代表じゃねえ」
まあ短時間で終了したのはこの少人数で敵役を抑えて大半の人が避難誘導に専念できたからだしね。
「ホレ迎えも来たし、皆で戻んぞ」
僕を勝己が、峰田君と瀬呂君を障子君と砂藤君が運んでくれるみたいだ。肉倉先輩は士傑の毛原先輩がモサモサと包んで連れていった。
僕以外は直接やりあった訳じゃないけど、命の掛かった戦いってプレッシャーだけでもしんどいからね。
ちなみに最初に潰された真堂先輩はとっくに助けられて運ばれたりしてる。
そして結果発表。
結果を待つ時間に皆がドキドキとしている、こういう時間てキツイよね。
「悟り開いたような表情の緑谷が言ってもな」
「もうどーにでもなれ、な心境だよ障子君」
『皆さん長いことおつかれ様でした。
これより発表を行いますが、
その前に一言、
採点方式ですが、我々ヒーロー公安委員会とHUCの皆さんによる二重の減点方式であなた方を見させてもらいました。
つまり危機的状況でどれだけ間違いのない行動をとれたかを審査しています。
今の言葉を踏まえた上でご確認下さい』
減点方式なら持ち点尽きたら退場しそうだけど、後ろでそんな動きあったのかな?
とりあえず表示を見るけど、アレ大半受かってる?
僕や峰田君のもあるし、ていうか雄英高校全員受かってるね。
確認を終えた後配られたプリントには採点内容が詳しく書かれ、
『君は強すぎ。100点』
てないよ。
「勝己は?」
「コレだ」
『君も強すぎ。100点』
「「適当かよ」」
いやあんな連中を抑えきったわけだから強さに関して納得の評価だけどさ。
「オイ緑谷、的確なサポートしてたとか書かれてんぞオイラ!!」
「敵役とやり合うまでの救助活動も評価されてんだなコレ」
無理矢理サポートに引っ張った二人が高評価なのはホッとした。
自分だけならともかく巻き込んだ二人まで落ちてたら詫びようがないし。
『合格した皆さんはこれから緊急時に限りヒーローと同等の権利を行使できる立場となります』
舞台上の目良さんは説明する。
仮免資格と所持する意味とその責任を。
そして、これから先に起こる危機を。
オールマイトが引退したという事実が何をもたらすのか。
僕らが知らないオールマイトのいない世界で、ヒーローになるという意味を。
『現状ヒーローになるということは、死地に飛び込むと同義であるといって過言ではありません。
未だにヴィラン連合の完全壊滅に至っておらず、脳無という脅威は健在です。
だから今回は理不尽な強者をあえて試験に投入しました。皆さんが立ち向かう存在を知ってもらうためです』
死柄木弔、僕を誘ったあの人は今何をしている。
思うがままに生きているのか?
『皆さん、オールマイトの神野決戦での言葉のように星となって下さい。
あなた方が輝くことは人々の平和に繋がっています』
その言葉の後に、今回の試験で落ちた人に補足説明をして仮免試験は終了した。
受け取ったヒーロー活動許可仮免許証。
その一枚の紙が、重く、誇らしかった。
やり遂げた皆と笑いあえる現実が幸せだった。
そう僕たちはまた一歩、ヒーローへと近付いていく!!
「で、何コレ?」
場所は変わってハイツアライアンス。
僕たちの家。
いつも賑わう夕食の席が、あまりにも暗い。
その元凶はテーブルの中央にこんもりと盛られた名状しがたきナニか。
「「今日の晩御飯です」」
その名をサルミアッキという。
「何コレ、何コレ、私何かしちゃった!!
これから離婚切り出されるの!!」
「待って、まだやり直せる!話し合いましょ!」
「そういった話じゃないだろ?いやこんな晩御飯ならそう思うだろうけど」
「まあ夫婦仲壊滅してるか、熱狂的なサルミアッキファンな夫婦の二択だな」
「祝賀会じゃなかったのか?バスの中で用意していたとか言ってたろ?」
「どうしたコレ?」
その言葉に気まずくなった僕たちは、
「「相澤先生のお祝いの品です」」
「「「「嫌がらせじゃねーかっ!!」」」」
「「「確かに断れないよね」」」
「「あとダンボール4つあります」」
「「「もうテロだよ!!」」」
そんな帰ってからの一幕があったけど、とりあえずサルミアッキは片付けて祝賀会を開いた。
仕込んでおいた料理に、ランチラッシュのデリバリーで大いに盛り上がりました。楽しかった。
なおサルミアッキについては事情を説明したら豚神さんが引き取ってくれました。
後日受け取りにきた豚神さんをクラスメート全員でさながら本物の神様みたいに拝みながら感謝した。