タンクトッパーイズク   作:規律式足

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ヒーロー公安委員会認定
無個性ヒーローナンバー②
『豚神』
外見は極度の肥満体の男性。その体型のためか常に何かを食べ続けている。普段は食レポなどのライター業などをしているらしい。
その戦闘スタイルははっきり言って異常、いかなるものも飲み込み捕食する、即死するような猛毒や消化できる筈のない物質も肉体に影響なく消化できる。ただその巨体にふさわしくパワーもあり貯められた脂肪の防御力も高い。ヴィラン相手には素手で戦い、処分の決定した危険生物は捕食する。
認定経緯は、とある実験施設から逃げ出した実験動物に襲われた人々を守るため戦い、実験動物を全て捕食をしたため。だがヒーローとして認定したというより、これだけの能力があるのに生物学上は無個性である点が警戒危険視されたため。ヒーローという形で監視をしているのが真実なのである。豚神本人も気付いているが気にしてはいない。 
某公安委員会職員からは、見た目と能力が問題ですが性格はマトモなのが救いです、寝かせて。とのコメントでした。


第8話

 

「今日は俺のライブにようこそー!!」

 

 ボイスヒーロープレゼント・マイクの盛大な滑りから雄英高校入試実技試験は幕をあけた。先程まで殺意の波動に乗っ取られどこからどう見てもヴィランだった幼馴染は、

 

「タンクトップ着せるぞ」

 

と耳元で囁くことで正気に戻った、前の席の真面目そうな人がチラチラ見てたからいい加減黙らないとね。試験内容は試験場でのロボ討伐、情報力、機動力、判断力、戦闘力と市井の平和を守るための基礎能力がP数で計れる試験という訳だ。

 

「おい緑谷」

 

 同校のためか試験場は別になったのだが、振り分けのため移動中な爆豪君は声をかけてきた。

 

「俺はこの十ヶ月で強くなった、テメェとの決着は雄英でつけるぞ」

 

 だから落ちるなよ、と言外に語っている爆豪君なのだけど、合格確定みたいな態度が周囲の反感かってることに気付いて。睨まれてるよ君、そして僕(とばっちり)それもまた彼なりの自分を追い込むやり方かも知れないけど僕が巻き込まれてますけど。言うだけ言って去っていく幼馴染の姿に呆れながらも、あの負けん気と向上心は見習うべきなんだと思った(ヤケクソ)

 

「ハイスタート」

 

 針のむしろの中で告げられた開始の合図。

 条件反射的に体が動き走り出せたのはタンクトップのおかげ、

 

「どうしたあ!!実戦じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ 走れぇ!!賽は投げられてんぞ!!」 

 

 一人先を行く僕のあとを追うように、プレゼント・マイクの言葉に追い立てられながら他の受験生も走り出した。実戦経験の有無が明確に差としてでることを僕は実感していた。

 

「標的補足!!ブッ殺ス!!」

 

「タンクトップパンチ!!」

 

 タンクトップの動きやすさがパンチ力を倍増させた一撃で、攻撃的な音声の仮想ヴィランを粉砕する。肉体は常時ワンフォーオール10%で強化、機械仕掛の仮想ヴィランたちを苦もなく破壊できた。出力じたいはまだ上がる、試験でかつ十分という短時間なら最高出力で会場ごと粉砕すべきかも知れない、だが複数人同時に試験を行うのはただ蹴落とさせることだけが目的とは思えないのだ。

(余力を残しつつ全力で)

 短期決戦で全てをだしきるべき時は必ずある、しかしヒーロー活動は撃退後の後始末やケアも含めてこその人助けなのだから。

 

 圧倒的脅威の出現。

 所狭しと大暴れしているギミックと説明されたそれはあまりにも大き過ぎた。ビル一つ分いやそれ以上かも知れないそのロボは市街地を破壊して進軍する。あんなドッスンいたらマリオブチ切れそうと思いながら、僕は足を前に進める、他の受験生のように巨大ロボットから逃げるのではなく向かうために。意図的に壊して強さのアピールしようというのではない(爆豪君やってそう) ただ感覚、これは先代達の経験か個性による被害の推定かも知れないが分かるのだ、僕が何もしないと受験生全てが逃げ切れないと。ならば進む、何かをするために。

 

「待つんだ君!!」

 

 駆け出す僕を静止する声、それはブツブツ呟く爆豪君を注意しようとしてた真面目そうな受験生だった。

 

「講師の方がアレはギミックでポイントにならないと言っていた、危険だから逃げるべきだ!!」

 

 通り過ぎる人達の中には向かう僕を馬鹿を見るような目で見てきた人もいたのに、彼はこちらの身を心配して話しかけてきたらしい。だからこそ僕は行く。そんな彼が逃げ切れるように。なにせ、

 

「苦難に立ち向かうモノ、それがタンクトップだ」

 

 ここで前に進むために僕はタンクトップを着ているのだから。

 前方には倒れている少女、入試前に会話した子だ。不思議な縁もなるのだと思いながら、僕は彼女を助けるために全力をぶつける、憧れるあの人の技を!!

 いくら鍛えても筋力が上がっても肉はつかない、豚神さんと一緒に大食いしても、マスターや他のタンクトッパーの皆みたいや巨漢にまで成長しない。いまだ成長期ではある、けどマスターのあの憧れの必殺技ができないことが僕のひそかな悩むだった。けれどあの日オールマイトに個性を託されたことで、その悩みに光明が生まれた、そう個性ワンフォーオールの力が!

 

「ワンフォーオール30%」

 

 ワンフォーオールの膨大なエネルギーをタンクトップ力で押し止める、そして大地を揺らし相手の動きを止めタンクトップの動きやすさを利用して放つ、僕が憧れ続けた必殺技、

 

「タンクトップタックル!!」

 

 ブチかまされた僕の体はゼロポイント仮想ヴィランを粉砕した。尊敬するあの人のように。僕はまた憧れに一歩近づけたのだ。

 確かな達成感に包まれたが、粉砕とともに浮かび上がり只今上空このままでは落下してしまうので、なんとかしないと危ないのだが先代の浮遊の個性は使えない、ならばタンクトップの動きやすさによる空中歩法タンクトップエアウォークで移動しようとしたら、仮想ヴィランの残骸にしがみついた少女がこちらの頬を張り落下速度が緩やかになる、なるほど重力を無くす個性か、試験中に浮いてた仮想ヴィランは彼女によるものだと理解し、僕は無事着地した。反動か疲労なのかで具合の悪そうな彼女を介抱しようと近付いたところで、

 

「終〜了〜!!」

 

 入試の実技試験は終わった。

 達成感のあるやり遂げた気持ちで、お疲れ様と歩みよってくるリカバリーガールに協力した。

 

 

 

 場所は変わり、実技試験を判定するモニター室。

 圧倒的ヴィランポイントで戦闘力と機動力を評価されている爆豪勝己とともに一人の受験生が話題となっていた。

 

「彼モマタ凄イポイントダナ」

 

「ええ試験開始とともに一番に駆け出し拳一つで仮想ヴィランを粉砕してます」

 

「爆破の彼と違い、レスキューポイントも稼いでいるわね、よく周りを見ているわよこの子」

 

「何よりも圧巻なのは最後のアレだな、思わずYEAH!って言っちゃったからなー」

 

「(緑谷少年私よりタンクトップマスターなんだSMASHじゃなくタンクトップタックルだし)」

 

「けど彼タンクトッパーですよね?」

 

 ビシリと空気が凍る。

 タンクトッパー、それはタンクトップを着た人達の総称、タンクトップを着ただけの人達の総称の筈だった。

 あの無個性ヒーロータンクトップマスターが現れるまでは。

 

「まあいくらタンクトッパーだからと言ってはですね」

 

「そうよ、成績は問題ないどころか主席なんだし」

 

「バウワウワオーン」

 

「シカシ対策ウタネバ雄英高校ガタンクトップニ沈ムコトニナルノデハ?」

 

 だがタンクトップは強さの証と主張するタンクトップマスターの物理法則をぶち破る奇行のせいで、タンクトップを着るとなんか強くなるという、科学的理論が成り立たない異常事態が常態化しているのだ。実際個性持ちのタンクトッパーは個性の出力も上がってたりする。

 

 私達アレに向き合うの?

 

 プロヒーローであり生徒を導く教員である彼らは迫りくる脅威(タンクトップ)にその身を震わせていた。いかにプルス・ウルトラでも限度はあるのだ。

 

 

 

 

 

 

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