タンクトッパーイズク   作:規律式足

86 / 113
閑話 とある新人ヒーロー視点

 

 俺様の名は殺戮ヒーロー ダーク。

 ヒーローになりたてでまだ新人だが、自己分析でその実力はトップヒーローと同格だろう。

 幼少期の個性診断で個性があることは確認できたもののその個性が不明だったため、無個性扱いで高校を卒業して就職し十年間たった。

 だが遅咲きの個性はついに覚醒し、絶大なパワーを発揮したのだ。鉄のフライパンですらも軽々と折り曲げる程のな。

 この先数年以内に史上最強のヒーローとして世界中に名を馳せることになるだろう。

 一般人だった頃から害虫専門の駆除業者をやっていたから腕には自信がある。

 そんな俺様が手っ取り早く名を上げるには、やはり最初にヴィランやヴィジランテを打倒するのが良いだろう。

 その中で目をつけたのが無個性ヒーローとかいう連中だ。無個性にもかかわらずヒーローに成り高待遇を受けているサギ師共、ネットで調べたらそう出たから間違いないだろう。

 ぶっちゃけ普通のヴィランなんてまず遭遇しないし、警察に尋ねでもランキングの高いベテランヒーローならともかく新人ヒーローには危ないから教えてくれなかった。相手の実力も計れん無能共が。

 そこでネットで容易く調べることのできた、無個性ヒーローをターゲットに選んだのだ。サギ師ならヴィランだから倒して平気だろうしな。

 今日はこの会場でとある無個性ヒーローのファンとの交流会があるらしい。

 そこでファンに紛れて油断しきったところに奇襲をかける。

 ここが受付か、クックックッ侵入成功。ここにヤツがいるんだな。

 

「うおー!ここが超合金クロビカリのイベントっスか、自分初めてっス!」

 

「こんな催しに参加するの俺も初めてだ」

 

「いや父親のイベントぐらいはないのかよ轟」

 

「はあ貧弱な肉体を晒したくないのになあ」

 

 なんだまだ子供じゃないか。

 名門士傑学園の学帽を被ったテンション高い奴に。

 雄英高校体育祭に出たエンデヴァーの息子。

 大柄なタラコ唇。

 天然パーマなガキか。

 

「超合金クロビカリは凄いっスよ、あれだけの功績を個性無しで自らの鍛えた肉体だけで成し遂げたからマジ熱いっス!!」

 

「タンクトップマスターはイベントとかやらねえの?」

 

「つーかなんで俺誘ったんだよ緑谷。そこまで無個性ヒーローやクロビカリに興味無いぜ俺」

 

「鍛えてガタイが良いの砂藤君だから、切島君は細いし障子君は体晒すの抵抗ある口だし、口田君は今日デートだったし、勝己は普通に断ったから」 

 

 ふん、ヒーローの卵共か良いだろう。

 これから始まるこの殺戮ヒーロー ダークの伝説の目撃者に相応しい。

 

「あ、ちょっとお兄さん。

 ちゃんと並んでくださいね」

 

「あ、すいません」

 

 クックックッ、ヒーロー足るこの俺様が指示に従う理由なぞないがルールは守らないとな。

 

「アレ、新しい人?」

 

「わあ嬉しいな、無個性ヒーローだから色眼鏡見られちゃうのよね先生」

 

「イベント参加者増えて感激」

 

 なんだコイツラ気安く集まってきやがって。

 あと親しげに組まれた肩が動かないんだがなんてパワーだ。さては一般人に紛れたヒーローだな?

 

「ファン同士の交流熱いっス」

 

「ずいぶん気安いんだな」

 

「困ってね?あのフードの人」

 

「クロビカリファンはコミュニケーション力高いからなあ」

 

 ガキ共見てないで助けろ。

 細身だけど凄いパワーなんですけどコイツラ。

 

「なんの騒動だ」

 

 囲まれた俺に近寄る気配。

 咎めるように言ってくる人物。

 この威圧感ある口調に業火の様な熱気は。

 

「超合金クロビカリ先生に会えるからとはしゃぎ過ぎだぞ」

 

 ナンバー2ヒーローである、フレイムヒーローエンデヴァー。

 なんでいるの?

 

「ウオー!! エンデヴァーっスマジ熱いっス!!」

 

「本当に暑苦しいよな」

 

「仕事良いのか?あの現ナンバー1ヒーロー」

 

「まだ正式に認定されてないからね、時間の問題だけど」

 

 いや当たり前のような反応してるけど、ネットには無個性ヒーローアンチ筆頭だったよねこの人?!

 なにがどうなってんだ?!

 

「おっと、この会場に入るときは脱ぐのが礼儀だぜ!」

 

 爽やかな顔で何言ってんのハイパワー青年!!

 そしてバサッと衣類が脱ぎ捨てられて現れたのは視覚の暴力。

 溢れんばかりの筋肉並木。

 細身に見えただけの青年達は鍛え抜かれた筋肉の群れだったのだ。

 ぶっちゃけお淑やかに見えた女性達も筋肉で怖かったです。

 後に知ったことだが超合金クロビカリの熱烈ファン達の肉体性能は平均的なプロヒーローの数値を上回っているらしい。

 あとなんかポーズ決めてるエンデヴァーの肉体がややクロビカってた。

 

「すげー!!皆さん凄いッス。エンデヴァーも凄い体っス!!」

 

「元から鍛えてたしな親父」

 

「つーか美女のギャップが。俺彼女いるからきにならないけど」

 

「タンクトップを脱いで力がでないよ」

 

 学生達も年齢の割には凄い体ですね、天パ君は傷が凄いですよ。

 

「クロビカリ先生がファン一人一人にフライパンアートで好きな動物を折ってくれるんだ。

 ほら緊張すんなって!

 この人初参加らしいです」

 

 ちょ、マジなんなの?コレが超合金クロビカリ。

 見るからに筋肉の怪物じゃん。

 これ見てなんで詐欺師扱いしてんだよネット。

 

「そうか!

 鍛えればまだまだ大きくなりそうだな、君は可能性の宝庫だ!

 ウサギでもワンちゃんでも選んでくれ!」

 

「じゃあウサギで」

 

「はいよ☆」

 

 あの個性使って曲げるの精一杯なフライパンを粘土みたいに捏ねてるよこの人。

 見事に折り曲げられウサギの形になったフライパンを見て、やっぱりヒーロー辞めておこうかなと俺は思いました。ヒーロー資格はもってるだけで評価になるし。

 

 

 

 




オリヒーロー紹介
殺戮ヒーロー ダーク
個性 虫殺し
虫を殺すことにより身体能力が微かに上がる。
一時的ではなく蓄積タイプの個性だからかなりヤバい個性なのだが、増強値が微か過ぎて幼少期はまるで気づかなかった。
十年間害虫駆除業者をやってこの身体能力だから、ぶっちゃけ鍛える方が遥かに効率が良い。
なお本人は覚醒した認識で個性に関してまるで理解していない。
この後ヒーロー資格を持ったまま再就職したらしい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。