タンクトッパーイズク   作:規律式足

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第89話

 

 オッサンとオッサンによるオッサンのための修羅場を見た翌日の朝。

 最早恒例になりつつあるがただでもらい続けるのも申し訳無いなと感じつつある狩りの獲物を確認しようと玄関をでたら、最近用意した台の上には掘りたての自然薯に川魚が置いてあった。そろそろお礼とかしないとな考えているが、そもそも誰がやっているのかも分からないのだ。勝己が遭遇した槍を持った大男が一番可能性が高いが、勝己が手も足も出ない槍の使い手なんて知らないしそんな知り合いに心当たりのあるクラスメートもいなかった(峰田君が挙動不審だったけど、峰田君に男の知り合いが居るわけないし) みっちゃんとか言っていたらしいから芦戸さんの知り合いかなと尋ねたけど知らなかったし。

 悩みながら今朝の山の恵みを回収していると、のそりとした音と気配がした。

 誰かランニングでもしていたのかと顔を上げたら、そこには人間サイズの巨大なポクテがいた。

 いや何で?

 先日の獲物が野生化したのかと思い、とりあえず晩御飯のおかずにしようと仕留めようとしたら、巨大ポクテはそっと抱えていた何かを差し出してきた。もしや獲物はポクテが用意していたのかと戦慄していたがそれはないだろう。ポクテは恩返しのためにも恨みのためにも相手の玄関前で舌を噛んで自決する生き物だ(表情に差はあるけど)きちんと血抜きして絞められた先日のポクテからして別の人がやったものだろう。

 そんな思考を他所に差し出されたモノを確認すれば獲物ではなく峰田君だった。

 顔中をキスマークだらけにしてまるで人生全てに諦めたような虚無の表情をした意識のない峰田君だった。ポクテがやったとは考えにくいし、ハレ君の話だと遭難した親族も助けられたことがあるらしいから、恋人とイチャついてそのまま寝てしまった峰田君を保護してくれたのだろう。

 ありがとうと頭を下げ手を振って見送った後、仕留めるの今度にしようと決めた。

 

 

 さて学校。

 かなり早い段階だと思うけど、クラスの皆はインターンをしようと職場体験で知り合ったヒーローや先輩などの伝手を使い連絡をしてる光景が目立っていた。

 確かにこと実力に関してはA組の生徒は下手なヒーローよりは上だと思うから実力あるヒーローの下でなら問題無く活動できると思う。

 それにヒーロー育成学校を卒業してプロヒーローになってしまうと生活ありきになってしまい勉強のために他のヒーローのお世話になる余裕なんてないしね。そもそもサイドキックに成れるのだってかなり稀だし、トップヒーローの事務所のサイドキックは準トップヒーロー扱いを受ける立場でもあるし。

 やっぱりヒーローの仕事を斡旋する組織が必要なんだろうな。

 ヒーロー公安委員会は、ヒーローの報酬に社会的立場や資格などを管理しているが、仕事の斡旋というか救難要請は現場近くのヒーローで対処出来ない大事件になってからしかしないのだ。だから基本的なヒーローの仕事は飛び込み営業のように自分の足で見つけているんだよね。

 雄英高校の3年間、ヒーローとして生活していくための仕事の伝手の確保は必須だね。

 クラスの皆を眺めながらそんな思考をしていると再び壁から現れたミリオ先輩。

 今度こそ大丈夫だからと職員室まで引っ張られてサーナイトアイの所まで行く。

 また修羅場を見るのは嫌なんだけど、シールド博士は現在サポート科で起きている事件、ロボットのプログラムミスでロボットによるドツキ漫才が待機用のロボット全機で発生してしまいその対処をパワーローダー先生と一緒にしているらしい。

 だから修羅場はないよと煤けた表情で言っている。

 まあミリオ先輩にしたら尊敬しているヒーローだし目に優しくない光景だからね。

 そして職員室、一緒に居たオールマイトにも話を通してもらいサーナイトアイ事務所での校外活動が決定することになった。

 決め手になったのはサーナイトアイのオールマイトをサポートしきった手腕。

 今後タンクトップマスターをサポートする場合、そのやり方を学んでおくことら有益だと感じたのだ。

 サーナイトアイにしても、事務所を二人のサイドキックに任せきりだから戦力は欲しいらしく、オールマイトの護衛の合間に指導をすることを約束してくれた。さらに個人で収集していたヴィラン事件記録の閲覧許可とその解説もしてくれるそうだ。

 事務所が担当している地区は数年前に死穢八斎會という指定敵団体が解散してから治安は回復しているが、突発的事件に敵騒動はなくなっていないので仕事はあるそうだ。

 現場を知り、経験を学ぶ、それを充分にできそうだと僕は気を引き締めた。

  

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