タンクトッパーイズク   作:規律式足

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ヒーロー公安委員会認定
無個性ヒーローナンバー③
『タンクトップマスター』
鍛え抜いた肉体にタンクトップを纏った男性。
他の三名の無個性ヒーローが、要人警護にイベント、表沙汰にできない事件や裏方、地域限定かつ経歴、などの理由から基本的なヒーロー活動を行わないのに対し、パトロールにヴィラン退治、後進の育成など唯一まともなヒーロー活動を行っている人物。
世間一般の認識では無個性ヒーローとは彼、タンクトップマスターを指している。
認定経緯は、元々スポーツジムのインストラクターをしていたが、ある日プロヒーロー『菜食ヒーローベジダイバー(後のタンクトップベジタリアン)』がジムに通う女性(後のタンクトップガール)に絡んでいたのを注意、逆上し攻撃してきたベジダイバーを正当防衛で返り討ちにした。それから無個性の分際で生意気だと、襲いかかる不良ヒーローやヴィランを極まったタンクトップ力と鍛え抜いた肉体で返り討ちし続け、公安委員会にスカウトされることになった。
スカウトに対し、戦うことで改心した者達の存在もあり快諾。打ち負かされたヒーローやヴィランがサイドキックになることを希望し、それが事務所の始まりのきっかけとなった。
某公安委員会職員は、『タンクトップがこんな社会問題になるなんて予想できるか!』とメモに書いて爆睡している。


閑話、とある紳士視点

 

 

 私の名前はタンクトップジェントル、君達にはジェントルクリミナルと名乗った方が分かり易いだろう。

 そう、ネット界隈の奥底の片隅で密かに大ブレイクする片鱗を見せた紳士。それが、私タンクトップジェントルの元の姿なのだ。

 今となっては恥ずかしい話さ、タンクトップを着てなかったし(と他の者は言うね)、タンクトップを着てないなんてまるで裸も同じだった(いやタンクトップの下は裸だろうに)、そんな恥ずかしい私は当時相棒であるラブラバと共に紳士的でない者に制裁を与える現代の義賊をしていたのさ。

 目的地のコンビニでタンクトップマスターにしばかれるまでは。

 彼の通うジムの側のコンビニは狙うべきではなかったと今更ながら思うよ。

 いやしかしね、今こそ怪物扱いすらされる無個性ヒーロー達だが、当時はヒーロー公安委員会による無個性への媚を売る行為にしか思われてなかったのだよ。

 だってねえ、個性なくして超常現象を巻き起こすなんて信じられるものか、誰もがそう思っていたよ。

 実際はそんな次元じゃなかったのだがね。

 タンクトップマスターは正に進化する怪物ともいえる存在だったのだから。

 かくしてマスターにしばかれた私達は、マスターの元で更生することになり辛い訓練と勉強の日々を送ることになった。

 留年を繰り返し落第、事件を起こし人として最低辺まで落ちた私だったが、このタンクトップ事務所で容赦なく鍛えられその地力を上げることができた。

 何気に顔の広いマスターは人脈凄まじく、自身は無個性であっても個性指導にたけたプロヒーローや技量に優れたトップヒーローとの付き合いがあり、私のような発動系の個性も指導してもらうことができたよ。

 マスター自身は筋肉トレーニングにタンクトップの心得の指導のみだったけどね!!

 そんな日々を繰り返すうちに技量は上がり、私はかつて取れなかったヒーロー資格を正式に取得できたのだ。

 その上なんと、実力でタンクトップ事務所のナンバー2の座についてしまったのだよ!! ラブラバが。

 これは事務所に入ってからすぐに判明したことなのだがね、私のタンクトップ力は低い。マスターの後ろで控えている直弟子のような間柄である緑谷出久君が測定したところ(タンクトップカウンターとは一体?)私はタンクトップ力たった5のゴミらしい(ちなみに比較的新顔のタンクトップかませブラ、いやブラックホールやタイガーですら150前後とか)

 なんでもタンクトップを疑う者はタンクトップ力は伸びないらしく、冬場にタンクトップだけだと寒さを感じる私は異様に低いらしい、おかしいの君達だからね!!(こういうトコ)

 しかしタンクトップ力の低い私とは違い、ラブラバはタンクトップとの親和性が半端無く、所属してタンクトップを着たときからみるみると頭角を表していった。

 ストーカーするほどの思いこみの激しい性格や行動力の固まりみたいな部分が要因かなと私は推察しているよ(こういうトコ)

 事務所内でヒーロー歴の一番長い、ヒーロービルボードチャートにも上位に名を連ね(無個性ヒーロー達はカウントされない)事務所内でナンバー2の座についていたタンクトップベジタリアンを個性を発動せずに下し。  

 さらにはマスターの直弟子であり、子供ながらにして実力なら本当のナンバー2であると言われていた出久君も打倒し(傍から見たら子供同士の戦いにしか見えなかった、破壊される周囲の被害以外は)彼女は正式にナンバー2の座についたのさ。

 小柄な女性ながらに筋肉隆々なタンクトッパーを打ち負かし、パソコン業務から経理までも取りまとめるラブラバ、いやタンクトップラヴァーはマスターの右腕として活躍しているのさ。

 その上個性も超強化され、私がまさかあんなことになってしまうとは、タンクトップ事務所の最終決戦兵器とか呼ばないでください。 

 私かい? フフ泣いてないよ、タンクトップブースト(だからなんなんだろうコレ?)の見込めないながらに技量を磨き、タンクトップ力最低値でありながら事務所で十位圏内の実力者さ、フフ。

 まあ、マスターの盟友であるベストジーニストなどのツテから、他のヒーロー事務所に応援として呼ばれるのは何気に多いけどね。タンクトップラヴァーが嫉妬するのは大変だが、認められている感じがしてやりがいを感じているよ。

 人員が増えて困った時もあったな。

 元々素行の悪い力自慢のヒーロー、ベジタリアンの個性である菜食(野菜を食べることで一時的にパワーアップ)のような増強系の個性持ちばかりでそれが(単純)だからタンクトップブーストがかかり手のつけられなくなる問題が増えてね。

 ヴィランに対する過度な攻撃や、実力の劣るヒーロー達へ威圧するようになったのだよ。

 そのせいで、タンクトッパーはタンクトップマスターの虎の威を借る狐なんて呼ばれもしたなあ。

 マスターはマスターで、評価を気にしないタチで自分を慕う舎弟には甘い性格だから、ベジタリアンやガールにラヴァーと出久君と私で対策に追われたものだ。

 結果として出久君(子供)とラヴァー(見た目が子供かつ女性)にフルボッコにされ説教、私がベストジーニストさんに引き渡して七三矯正してもらったな。(ベジタリアンとガールは根回し)

 そのせいで一時期タンクトップ事務所なのか、七三分け事務所なのか分からなくなったな(遠い目)

 ああそうだ、私のヒーローコスチュームは銀色のタンクトップにデカデカと『紳士』とプリントされているのだよ、ダサいと感じたら駄目なのかな?(こういうトコ)

 ラヴァーは同じ色にハートマークになっているよ。

 

 かくして様々なトラブルを乗り越え、私はかつて焦がれた夢の中にいる。

 予想とも予定とも違う形なれどやりがいはあり、日々充実している。

 歴史に名を残す人物に成りたいという夢はまだ途上なれど、一度諦めた夢をまた見れたのだ、いつか辿り着けるだろう。

 そんな風に今は思えるのだ。

 

 さあて、幻の紅茶ゴールドティップスインペリアルを仕入れにいこう。

 今宵の催しは、タンクトップ祝いではなく、同じく夢に一歩踏み出した、出久君と勝己君の入学内定主席合格祝いだ。多くの者が来て多くの者が祝うそのイベントを盛上げないとね、紳士として。

 来賓は、超合金クロビカリ、豚神、根津校長、リカバリーガール、イレイザーヘッド、オールマイト、ベストジーニスト、ミルコ、ホークス、リューキュウ、プッシーキャッツ、ウォーターホースご家族、格闘家のバング氏にスイリュー、ボルテーンにメンタイって。

 合格祝いでこれだけ集まるって既に伝説だよ!!

 彼ら二人は伝説から始まるのかい!!

 トップヒーロー達はこれだけ休んで良いのかい!!

 ただでさえタンクトッパーも数多いのに!!

 

 果たして合格祝いなのか、世界的なヴィランの掃討作戦の会議なのか分からない面子に頭を抱え、私は買い出しに向かった。 

 

 

 

 

 

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