さて色々あったがインターン先をナイトアイ事務所に決めた。しかしすぐにでも活動かと思いきやそうではなかった。現状サーナイトアイにとって最優先の仕事はオールマイトの護衛である、事務所の方はサイドキックのバブルガールとセンチピーダーにミリオ先輩ことルミリオンが問題無く運営できているそうだ。一時期暴走しかけたが死穢八斎會は元々ヴィジランテ寄りの極道、その本拠地付近で馬鹿をやらかす者は少ないらしい。
サーナイトが事務所を開業した時期はまだ荒れていた時期だったらしいのだが今はそうではないのだとか。
僕がインターンに参加するのはサーナイトアイと時間が被る日なので、今日は珍しく休みの日だ。
時間があるなら鍛錬かタンクトップ事務所に行くのが普段の行動なんだけど、今日はなんかタイミングがズレてしまった。
だったらデートにでも誘おうかとも考えてみたが、誘いたい子達には予定があった。
なんか手持ち無沙汰になってしまったのでせっかくだからジェントルに出来たらで良いからと頼まれてたことをやるとしよう。
「何してんだ出久?」
そんな風に勝己が声をかけてきたのは頼まれ事を始めてから大分たってからだった。
場所は共有スペースのテレビ前、頼まれていた録画ももうすぐ終わりだ。
「ワールドナイスミドル大会の録画、ジェントルに頼まれたからね。それでヒマだったから見てた」
「貴重な休日の使い方がそれで良いのかお前」
偶にはありかも?
まあ何してんだろと途中で思ってたけど。
「ホレうちの親父から出張土産の菓子だ」
渡されたお菓子を受け取るけど、相変わらずマメな人だよね。子供の友人にまでくれるなんて。
「今日は帰省したんだっけ?」
「距離的に帰宅が正しいと思うがな」
安全面から寮生活に移行したけど許可さえあれば帰れる、だから偶には親に顔を見せに行ったらしい。
「お袋には彼女連れてこいと言われてな」
遠い目をしてるね。
まあ彼女に立候補しそうなのが複数人いるからそうなるよね。
他人事じゃない問題だけど。
「しかし録画を頼まれたってことは今日は仕事なのかジェントル?」
「いや有給とってるよ」
「なら自分で録画しろよ、見たいならリアルタイムで視聴すれば良いだろうに」
「ジェントルがテレビを見るのは無理かな」
「は?いや有給とってんだろ、予定でもあるのか?」
「だってホラ」
テレビを指差せば、ワールドナイスミドル大会の生中継が映っており、そこの背景に目立つ風貌のタンクトッパーがいた。
『マジカル、マジーック!!』
隣にいる黒髪で眼鏡の青年と肩を組んで叫んでた。
「有給とって何してんだあの人?!」
「ジェントルってガンマ団元総帥でありマジック氏の大ファンだからね」
あの人から紳士を学んだと言ってたけど、でもあの人の著書は帝王学に征服論とウキウキ主夫ライフに息子の愛で方とかだったような。
まあ立ち振る舞いは紳士だけど。
「お前らもコレ見てんのか?」
そして新しく共有スペースにに現れたのは轟君。
お前らも、って誰か知り合いが見てるのかな?
「出久がジェントルに頼まれたらしくてな」
勝己の説明に轟君は、
「ウチも親父がな、」
参加してるのかな?ジェントルと違って年齢的に出場できるし。
『今年こそ優勝だ!!いつまでも万年二位なんて言わせるな近藤ーっ!!』
「応援しにいってる」
「有給とって何してんだあの人?!」
エンデヴァーさん、心戦組の近藤イサミさんに感情移入してたんだね。同じ万年二位だったから。
「せっかくの休日をもっと有意義に使えよ!!
その時間に家族サービスするとかよ!!」
というか、アレでなんで堅物とか冷酷なイメージ定着したんだろエンデヴァー?クロビカリのイベントにも参加してたし。
ツッコミ所満載なワールドナイスミドル大会は終了して、結果はガンマ団元総帥のマジック氏の優勝。
悔しがる二位の近藤イサミさんの目が殺意に溢れていたけど、マジック氏も煽っていたし仕方ないよね。
頼まれた録画も終わったし、夕飯の準備でもしようかな。
「元気とユーモアのない社会に未来はないと私は思っている」
七三分けにビジネススーツに眼鏡。
サラリーマンのような外見。
それに反して掲げるその理念。
本人の眼力と威圧感もあって、むしろ違和感を持つくらいだよね。
この人の見た目なら、規律ある社会とか掲げる方が自然だし。
まあむしろ堅物だからこそ、常に笑顔で人を救うオールマイトに感化されてしまったんだろうけど。
しかし、
(今額に巻いてる、打倒シールド博士!!、の鉢巻もユーモアの一貫なんですか?ミリオ先輩)
(そこはノーコメントでお願いします)
見ればバブルガールにセンチピーダーもウンウンと頷いていた。
オールマイトの元サイドキック達の争いには誰もが関わりたくないらしい。