タンクトッパーイズク   作:規律式足

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お久しぶりです。



第94話

 

「格闘技って難しいね」

 

「どちらかというとミリオ先輩の個性が根本的に向いてないんですよ」

 

「噛み合わねえよな、その個性」

 

 雄英高校学生食堂、そこで僕と勝己にミリオ先輩は軽食をツマミながら話し合いをしていた。

 内容はミリオ先輩が学ぶ格闘技について。

 僕としては闇地獄殺人術を推しているのだけれど、やはり名前がちょっととミリオ先輩が躊躇うため未だに保留となっている。勝己もなぜそのチョイスと突っ込んだりしたけど、ミリオ先輩が求めているのは脳無を撃退できる破壊力。ならば一撃必殺がウリな闇地獄殺人術が最善なのだ。

 というか、多くの流派において前提や基礎となる防御に回避の型が不要なミリオ先輩は格闘技を学ぶのに向いてない。それらを学ぶ時間が無駄になる上、それらを体得しないと出来ない動きがあるからどうにも半端になってしまう。

 さらに呼吸を止めると個性が発動してしまうのが痛かった、多くの流派で技を放つときに息を止めて力を込めていたので、技を打とうとすると個性が発動して地面に落ちてしまったのだ(或いは服)

 拳を握りしめて力んだら、ストンと服が脱げたり、本人が地面にドプンと落ちた時はどんなコメディかと思ったよ(大真面目だから笑えないし)

 とりあえずミリオ先輩は複数のことを同時に考えられるマルチタスクを鍛えるのが最善かな、既にしているけど格闘技と個性の併用まではまだ無理みたいだし。

 そしたらあらゆる格闘術の技だけを学ぶべきかな?けどそうなると空手とかムエタイとかボクシングかな?でも打突系の格闘技も体を振るって遠心力とかで威力増したりしてるからやっぱり噛み合わないな。

 こうなれば個性で地面から飛び出る速度に威力を正確に測定するべきだね。その威力が充分なら自分を砲弾のようにぶち当てるスタイルもありだし。

 オリジナルな格闘術かつ捕縛術を編み出した相澤先生にも意見を求めに行きながら僕らは食堂で話し合いを続けた。

 

「そういえばサーナイトアイ事務所はどうなんだ?」

 

「基本データ分析から入る事務所だからタンクトップ事務所とは違う方式で参考になるよ。ウチはその手の情報収集はタンクトップラヴァーが一人でこなしちゃって必要なかったし(そしてタンクトッパーは基本脳筋)」

 

「蓄積されたデータが豊富だからね。犯罪の予兆とか僅かな違和感や些細な事件から辿り着いたりできるんだよサーナイトアイって」

 

「事件が起きたら対処、だけじゃいけないよな。

 エンデヴァー事務所はそっちに特化してたけどな」

 

「助けを求められた時点で手遅れな事態もあるしね、犯罪を探すのはどうかと思うけどそうじゃないと救えない命もあるし」

 

「そういえばサーが屋台の蛸焼きが安いことを気にしてたけどアレも事件の予兆かな?」

 

「それから事件に辿り着いたらスゲエよ」

 

「傍からみたらクレーマーだしね」

 

 ヒーローとして先を行くミリオ先輩はかなり僕らと話があって会話が弾む、ましてや同じインターン先だと話題も尽きない。

 

「サーのシールド博士敵視が最近増々酷くなって」

 

「最初は鉢巻だけだったのに、資料を掻き集めたり著書を調べたり」

 

「ダーツの的に写真貼り付けたり、等身大パネルに落書きしたりて」

 

「「一周回ってもう大好きだろアレ」」

 

「意中の相手を取り合っている内に互いを意識し合うラブコメか?いや同性かつオッサンじゃねーか」

 

「シールド博士もそんな感じだってメリッサがぼやいてたよ」

 

「止めたれよ娘」

 

「先生方からも苦情が、職員室で修羅場はやめてくれって。ミッドナイト先生と漫研が大歓喜してるから」

 

「問題なのはそっちかよ」

 

 世間はオールフォーワン捕縛後とオールマイト引退で荒れているのに何してんだろ僕たち。

 まあ学生なんだから学生するべきなんだけど。

 こうしたやり取りも今だからできることだし。

 

 そんな日常に成りつつある時間を過ごしていたら、

 

「イズクエモーン!!」

 

「またこのパターンかよ」

 

「何、なんなの?」

 

「どうしたのう⤴デンキ君(あの声)」

 

「「そしてノルのか」」

 

 いやだって様式美ですし。

 今回は上鳴君か、また女の子のコトだよね。

 彼の話題て大半女の子のコトだし、瀬呂君や切島君と肩組んで彼女欲しいと寮で叫んでたし(巻き添えかつ人が良くてやや本音な二人)

 

「合コン開いてください」

 

「あのさ、ネタ振ってきたの君なんだから峰田君みたくもう少しあわせようよ。最初から頼みじゃなくもうワンステップ挟んでさ」

 

「「そしてダメ出し」」

 

 しかし合コンか、直球だね。

 そもそもコンパって高校生がやることなのかな?飲み会みたいなものだよねアレ。

 要するに、女の子紹介すれば良いんだろうけど。

 

「紹介できる相手いないよ」

 

 峰田君の時やったくだりだし。

 

「つうか合コンなら女子に頼むべきじゃないのか?」

 

「グループお見合いみたいなノリだよね?」

 

 勝己の言うとおりだよね。ミリオ先輩のもあっているだろうし。

 男女交際したいグループ同士の飲み会みたいな感じだよね。

 

「そんなこと頼んだら女子達から評価下がるじゃん」

 

 モモさんに頼んだらSPとセットのお嬢様方が来そうだね。あと上鳴君の評価はね、まあクラス男子の中だと最下層だからね(峰田君が上方修正されたため)

 

「でも僕に紹介できる女性いるならタンクトップ事務所が独り身で溢れないよ」

 

 既婚者がタンクトップハカセだけで、彼女持ちも極一部なムサイ集団なんだよね。元々ヒーロー業界に女性は希少だし(世間に取り上げられる人は多いけど割合としてはやはり少ない)

 

「あと下手にそういったイベント開くと炎上しちゃうんだよね。まあ俺と君の世間の評価なら関係ないけど」

 

 雄英高校生が合コンとか取り上げられそうなネタだしね、テレビにも体育祭ででたし。

 そしてエゲツない自虐ネタは辞めません?上鳴君頭抱えてるから。全国中継脱衣男と出オチナンパ男は未だにネタにされてるよね。

 

「だって峰田にも彼女できたんだぜ、口田にも砂藤にも居て、尾白にも婚約者がいるし。俺にも出会いが欲しいんだよ」

 

 尾白君はホラ光源氏だから突っ込んじゃ駄目だよ。むしろアレは向こうのご意向だし。

 

「いや学生生活楽しみたいのは分かるけど」

 

「平日は授業に実習に鍛錬に自習で忙しくて、インターンで土日潰れているから息抜きしたいのは納得できるがな」

 

「そのスケジュールにどうやって男女交際ブチ込むの?(汗)」

 

 そんな余裕ないよね、今の集まりだって昼休みにやっているし。

 常闇君に至っては九州のホークス事務所でインターンだから戻ってきたら補修確定で、空いた時間にリモート講習してるらしいね。

 

「女の子のためなら時間を作る、それが男さ」

 

(これでなんで彼女いないんだろ?)

 

 性格はチャラいけどお人好し気味で優しいのに。

 なんとかしてあげたい気持ちはあるけど、女の子紹介は上鳴君よりむしろキャバクラ通いしてるタンクトップタイガーやタンクトップブラックホールを優先すべきなんだよね。

 本当にどうしよ。

 

「ケロ、それなら紹介しても良いわよ」

 

 梅雨ちゃんんん!!

 突然現れたお姉チャン系カエル女子ィィィ!!

 意外な娘が現れたよ。

 

「良いのか、上鳴だぞ?」

 

 勝己さん、それ普通に悪口じゃね?

 

「私のオトモダチも出会いを欲しがってたし。

 同じ学校の娘たちから雄英高校男子を紹介してってせっつかれているのよ」

 

 ああなるほど、元同級生の親友が現雄英高校生だよって言ったらそうなるか。

 雄英高校は男子のレベルも高いしね。

 

「だから一緒に合コンするのもありじゃないかしら」

 

 梅雨ちゃん、上鳴君が女神みたいに崇めてますよ。実際崇めても仕方ない状況だし。  

 

「ただ私も参加するとして、勝己ちゃんも参加して欲しいの?」

 

 それが目当てでしょ君。やはり抜け目ないなこのカエルっ娘。もじもじしながら言うのはカワイイけどね。

 

「まあここまできて放置するわけにはいかねえし構わねえよ。梅雨ちゃんいれば別の学校の女子に絡まれないだろしな」

 

 君も面倒見良いよね勝己。

 ちなみに僕とミリオ先輩はスケジュールに空きがマジで無いよね。気にしてなかったけどハードスケジュールだよ。

 しかし、

 

 喜び叫ぶ上鳴君に、嬉しそうな梅雨ちゃんとヤレヤレとした勝己。

 そんな彼らを見て僕は思い呟く。

 

「なんかこう、笑いの神が降臨しそうな予感がするんですよね」

 

「それ上鳴君の悲劇の予兆じゃない?」

 

 

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