タンクトッパーイズク   作:規律式足

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すいません、かなりギャグです。
この作品は基本ギャグです。
クロスオーバーあり。


第96話

 

「さてうどんの具合はどうかな?」

 

 今日の朝ごはんは釜玉うどん。

 昨日のうちに仕込んだ生地で作る打ち立てうどんはひと味ちがう。

 シンプルな釜玉うどんだからこそ分かる旨さを堪能してもらおうとキッチンに向かったら、部屋の隅に体育座りしている人がいた。

 

「もうあのまま寝ちゃったの?」

 

 先日の合コンで知り合った梅雨ちゃんの親友である万偶数羽生子さんにフラれ、その時のやり口から女性陣に説教を受けた上鳴君。

 落ち込んで体育座りになっていたけどまさか自室にすら戻っていないとは。

 

「ホラ、目を覚まして顔を洗ってきなよ」

 

 あとはシャワーも必要だよねと思っていたら、何やら様子がおかしい。

 具体的には上鳴君の頭から蔦のようなものが伸びていて人間サイズの立派なキノコが生えていた。

 この独特な形は確か、ドクツルタケだっけ?

 B組のあの子を連想してしまうが、昨日の夜に訪れたのだろうか?

 さらによく見ればその茸には顔がついており、懐から煙管を取り出して吸おうとしていた。

 

「ここ禁煙ですよ」

 

 警報装置が鳴りかねないので止めると、背中に冬虫夏草とマジックで書かれた彼は僕に振り返り、

 

「そいつはすまんにゃー」

 

 と火を付けずに仕舞ってくれた。

 

「お客様ですか?」

 

 侵入者では無いと思うが、来客予定なんてあっただろうか?今日は平日なんだけど。

 

「仕事で近くまで来たから姪っ子に会いに来たんだにゃー。どうやらこっちじゃないみたいだけど」

 

 よいしょ、と上鳴君から体を抜くとそのまま立ち上がった。

 

「なんかジメジメしてたからつい寄生してしまったにゃー。居心地は良かったと彼に伝えておいて欲しいにゃー」

 

 と、そう言ってコモロさんは去っていった。

 ドクツルタケも冬虫夏草になるんだなと新たな事実を知って、僕は朝食を作りに向かった。

 

「シャワーは浴びときなよ上鳴君。まだ朝食の準備かかるから」

 

「茸に取り憑かれたクラスメイトにかける言葉がそれなのかッ?!」

 

 生卵ダメな人いたかな?

 釜揚げうどんはは明太バターも良いよね。  

 叫ぶ上鳴君を放置して僕はうどんに取りかかった。家庭用ではない大型コンロにシンクはうどんを茹でるのにも向いているのだ。

 

 

 

「見て見てー!」

 

 特に勝己に声をかけてからダンスを始める芦戸さん。

 A組女子身体能力トップは伊達ではなくキレッキレだね彼女。

 皆それぞれ趣味があるけど、個性に関連するものから親が由来だったりと様々だね。

 僕はどうだろ、タンクトップが大元にあるけど修行や鍛錬かな?料理とかは修行で学んだものだし。

 芦戸さんに手を引かれ、見てすぐに同じ動きをする才能マンな幼馴染を見ながら、僕って無趣味なのかねと思った。

 というか芦戸さん以外にも砂藤君に耳郎さんとか趣味関連の仕事も目指せる才能(ウー)マンなんだよね。ヒーローに重視される戦闘能力もあるのに。

 僕や勝己(コイツはなんでもできるけど)みたいに全員が物心ついた時からヒーロー目指してる人ばかりじゃないだろうし。

 とはいえヒーローは様々な業種に関わるから、どんな趣味とも関連つけれるんだよね実は。タンクトップ事務所でも警備先の知識ないと勉強必須で、美術館やら音楽スタジオとかの時に専門知識あると助かるっていってたな。ある程度〇〇ヒーローで分類されてるけど、お客からしたらヒーローってなんでも出来て、なんでも知っているのが前提な扱い受けることがよくあるって言ってたなあ。

 

 

 

「文化祭があります」

  

「「「ガッポオオォイ!!」」」

 

 学校みたいな行事に飢えてるよね皆。

 一応通常授業は受けてるけどインパクトある事件ばかりな学校生活だからね。

 

「いやタンクトップとか緑谷関連のインパクトも多いからな?」

 

「トップヒーローや無個性ヒーローと顔見知りになったの緑谷のツテがあったからだよな」

 

「オイラなんか彼女できたし(絶望)」

 

「俺なんかフラれて冬虫夏草になったし」

 

「「「ソレは関係ないだろ(冬虫夏草?)」」」

 

 僕がやったことがここ半年ばかりの出来事と同系列に言われる程のことではないだろう。

 

「いやいやそれくらい生きてたら普通にあるよ」

 

 無個性ヒーローに知り合うのもトップヒーローとメル友になるのも彼女できるのも冬虫夏草になるのも長い人生よくあることだよ。

 

「「「「ねえよ」」」」

 

 因みに、僕や勝己を除いてもこのクラスで三人はそんな境遇なんだよね。

 

「ってことは出し物を決めるのか、まだ土日インターンだから厳しいな」

 

「よくスルーできるよな爆豪」

  

 常闇君は帰ってきたけど通える組はまだヒーロー事務所の希望でインターン中なんだよね、学校行事だからシフトを考慮してくれそうだけど。

 

「いいんですか!?このご時世にお気楽じゃ!?」

 

 切島君も大きなトラブルこそないけど犯人の取り押さえとか現場デビューしたからこその疑問だね。

 切島君の問いかけにもっともだと相澤先生は言うが、他科が主役であるが故に安易に中止できる行事ではないという。襲撃事件などの対策や対応でヒーロー科ばかりという不満やストレスも先生方が認識できるレベルであるらしい。

 

「そうなのか緑谷?」

 

「苦情として言う生徒が先輩方や普通科に何人か、って規模らしいよ。一年普通科はタンクトップ同好会が(腕力で)黙らせているし、経営科はとんでもないカリスマ持ち生徒が二人いて特に無し、サポート科に至ってはシールド博士が雄英高校に就職したのはヒーロー科のおかげだからって感謝されてるよ」

 

「普通科は別の意味で反感かってね?」

 

「そういえば世界的権威だったなあの博士」

 

 そして何故僕に聞くのさ、他科の状況は付き合いあるから知ってたけど。

 しかしオールフォーワンという指示を出す存在いなくてどんな行動するのかねヴィラン連合。死柄木弔は自由にやるのが目的とか言ってたけど今何してんだろ。タンクトップ事務所でもラヴァーが調べているけどネット界隈に情報はないみたい。

 とりあえず出し物を決めるため飯田君を中心人物に話し合いが始まった。

 皆やる気あるね、色んな意見があるけど僕はむしろ文化祭は見て回りたい方だから交代可能な売店タイプとがいいかな?

 

「珍しいな、緑谷は意見ねえの?」

 

 僕はなんでもじゃなくやりたいことだけ熱くなる性格だから。雄英高校限定タンクトップの販売はタンクトップ事務所がやるし。

 

「そう言う峰田君は、ストーカー対策に護身術指南教室なんてずいぶん真面目な案だね」

 

 授業で習ったことを自分達なりにまとめて実演しながら発表すればかなり良いと思うよ。

 

「いつ何時必要になるか分からねえからな(無駄だったけど)」

 

 彼女できてから変わったよね峰田君。今回の案も彼女さんのためなんだろうね。なんか表情が煤けているけれど。

 勝己も文化祭に興味ないからか意見を出してない。それに普段は周囲に合わせているけど基本的に個人主義で成果重視だから、皆で仲良く一丸になってやることが目的なイベントや活動だとつい対立しがちなところがあると自覚しているしね。

 しかし色々意見あるけどまとまらないね。

 それに文化祭は出し物しだいで内容に場所やら他クラスとの兼ね合いに調整がいるし、金銭管理に食品関連で書類に手続きもいるんだよね。事務まで飯田君達にやってもらうのも何だし。出し物が被った時の調整についても考えると、他科を優先となるとヒーロー科だけで決めて良いのかな?ヒーロー事務所に専属事務員が必須なのはこんなとこもあるからかな。

 

 

『お困りのようだね』

 

 なんとかまとめようと飯田君達が四苦八苦していると廊下から扉ごしに声が聞こえてきた。

 スッと(授業中なのに)彼らは当たり前のように入ってくるとカツンカツンと足音をたてて皆の前に立った。それがあまりに堂々としていたものだから真面目な飯田君ですら注意できなかった。

 

「彼は確か」

 

「知っているのか緑谷?!」

 

「うんさっき言った経営科のカリスマの一人で」

 

 

『諸君 私はお金が好きだ。

 諸君 私はお金が大好きだ。

 円が好きだ。ドルが好きだ。元が好きだ。

 ペソが好きだ。レアルが好きだ。

 支払い好きだ。購入が好きだ。取引が好きだ。

 貯蓄が好きだ。投資が好きだ。借金が好きだ。

 自宅で、役所で、店で、銀行で、学校で、街角で

 屋台で、ネットで、コミケで、メイドカフェで、

 この地上で行われるありとあらゆる貨幣取引が大好きだ』

 

 ニヤけたような表情が張り付いた眼鏡をかけた小太りの同級生。

 入学して僅かな期間で経営科の一クラスを一糸乱れぬ集団としてまとめあげた問題児。

 

『汗水たらしてバイトをするのが好きだ。

 給料が振り込まれていた日は胸がおどる』

 

『蚤の市で掘り出し物を探すのが好きだ。

 購入した何倍もの額で売れた時は感動すら覚える』

 

『友人達と軽い賭けをするのが好きだ。

 たとえジュース一本であろうと勝った時は最高だ』

 

『貯金箱に小銭を貯めるのが好きだ。

 数年かけて貯まった一円玉が手数料で消えた時はとてもとても悲しいものだ』

 

 扇動者  色間 勝三

 

『諸君 私はお金を 地獄のような金儲けを望んでいる。

 諸君 私に付き従うクラスメイト諸君。

 君達は一体 何を望んでいる?

 更なる金儲けを望むか?

 情け容赦のない糞のような金儲けを望むか?』

 

「マネー!!」 「マネー!!」 「マネー!!」 

 

 いやどこから出てきたの経営科の皆さん。防音されてて良かった。

 

『よろしいならば金儲けだ

 我々は渾身の力を込めて 今まさに振り下ろさんとする握り拳だ。

 だがこの雄英高校の教室で半年もの間堪え続けて来た我々に ただの金儲けではもはや足りない!!』

 

『大儲けを!! 一心不乱の大儲けを!!』 

 

『我らは僅か一クラス二十名の学生に過ぎない。

 だが諸君は一騎当千の金の亡者であると私は信仰している。

 ならば我らは諸君と私で総労働力1万9000と1人の商業集団となる』

 

 自分だけ一人分しか働かないと言ってない?

 

『我々を金勘定しかできないと言った連中に思い知らせてやる。連中に経営の成果を教えてやろう。

 さあ諸君』

 

『プロデュースを始めるぞ』

 

 つまりどういうことなんだろ?

 なんかクラス全体が彼の演説に呑まれているけど、何しに来たのかな。

 とりあえず言葉の圧が凄いし、彼が経営科のカリスマ扱いされてることに納得した所。事態はさらなる展開を迎えた。

 

 

「撃て」

 

「承知、デスシャワー!!」

 

 再び空いたドアから声と共に弾丸がシャワーの水滴のように走った(なお相澤先生は飯田君達連れて後ろに移動している)

 

「ぐべらッ、ぶぱッ、デフッ、ジュバッ」

 

 謎の悲鳴を上げながら弾丸に滅多打ちにされる。

 非殺傷の鎮圧用みたいだけど、これだけ撃たれたらヤバイって。

 飛び出そうとしたらなぜか撃たれてる張本人に手で制されるし。

 

「抜け駆けは粛清。そう取り決めただろう。

 B組が断った以上、ヒーロー科はA組しかいない。

 ならば共同、そう決めたのに」

 

 自身の横にガトリングガンの腕をした生徒を引き連れながら彼は呟いた。

 

「騒がせたなA組の皆さん。

 私の名前は盤板 算。経営科の委員長」

 

 オールバックヘアーの厳つい顔をした彼は冷徹な眼差しをもう一人の委員長に向けてから言う。

 

「貴方たちと共同での文化祭を提案しにきた。

 いや正確には、貴方たちの企画による事務手続きや雑務を請け負う提案のためにきた。

 なあヒーロー科A組の皆さん、我らを雇ってくれないだろうか?」

 

 クリップボードを脇に抱えながら、そんな僕らの思いも寄らない提案を彼は持ちかけたのだった。

 

 なおこの一連の騒動、両者共に事前に先生方の許可を得ていたらしい。そうじゃないと叩き出されてただろうしね。




人物紹介
 
小森 コモロ
巨大ドクツルタケに人の顔がついたような人物。
いくつもの山の大地主で雄英高校の出資者の一人。 
B組に姪がいるらしい。

色間 勝三
見た目が某作品の戦争狂いの少佐。
扇動に長けた無個性で何気に人望がある。
経営科のカリスマの一人で問題児。
メイドカフェ通いが趣味。

盤板 算
経営科のもう一人の中心人物。
色間とは普通に友人。
案を出してくれたミスターサーさんに感謝を。

腕がガトリングガンな生徒。
ワンパンマンのA級ヒーローみたいな経営科生徒。
個性は腕のガトリングガン化だが、ガトリングガンだけで弾は購入する必要あり。
ヒーロー科に受からなかった理由もそのせいで、経営科に決めた理由も資金があればヒーローに成れると判断しているため。

 
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