国王「よく戻った。」
国王の問いかけに一行は反応しなかった。
国王「、、、先の話は聞いている。もっと多くの戦力を当てるべきだった。」
天紫「俺が油断したんだ、、、!お前が謝る必要ねぇ。」
国王「落ち着きなさい。こうなってしまったのも私にも責任はある。」
天紫は力強く拳を握りしめていたが力を抜き、ふぅっと息を抜いた。
エン「わざわざ日をまたいで俺達を呼んだんだ。何か用があるんだろ?」
あの日から3日は経った。レイン、アルス、エンは2日療養し、レインはリハビリがてらとある研究をプレイヤー総本部にて進めていた。アルスは少しばかりプレイヤー登録などに手間取っていてプレイヤー総本部にて寝泊りしていた。能力値が非常に高く自宅の配置やプレイヤーとしての地位の扱いなどが難しいらしい。エンはまだ身体の具合が良くないがプレイヤーとしての活動を再開していた。ほかのメンバーが活動をしているのに自分が何もしていないのがよっぽど気に食わないらしい。
鶴橋と桃診はというと、医療班が到着した後に回収班が到着、2人をそのままギルマギアのケルベロスに送ったが、空を飛んでいた鏋襟という男は戦いが終わった時には既に逃げていたようだ。
国王「相変わらずはなしがはやいね。レイン。例の研究結果は?」
レイン「クロス様から預かったこの力は問題なく使えてるぜ。耐久値とダメージはやっぱりクロス様よりは劣るけどな。」
国王「いいや、それでいい。今回の【死後、プレイヤーの才能を扱うことができるか】の実験としてはかなりの成果だろう。その過程での強度などはさしたる問題ではないよ。」
レイン(この才能はクロス様が俺に残してくれたもの。ここまで俺の事を信用してこの力を残してくれたんだ。俺はその信用に答えてみせる。でも、その戦いの先、、、一体何を意味してるんだ、、、?)
国王「それと、天紫、クロスから聞いてたと思うけど、クロスが単独で進めていた調査、その詳しいデータがジョーカー探偵事務所に保管されていたそうだ。」
天紫「なんでそんな所に?」
国王「何しろ信用出来る情報源がそこくらいしか無かったそうだ。お互いに情報共有してデータを作ったそうだよ。今度暇な時にでも顔を出して欲しいって、オーナーが言ってたよ。」
天紫「苦手なんだよねぇあの人。あそこのオーナーは嘘をつくのが上手いからね。」
国王「それと、フードを被ってくれるかい?」
一行はなんのつもりなのか理解出来ず首を傾げるが、恐る恐るフードを被る。
国王『聞こえてるかい?』
天紫『部隊回線か。』
エン『盗聴されてるかもって事か?』
シェルス『盗聴?!そんなの誰が?!』
レイン『ちょっと待て!ここはプレイヤー総本部だぞ?!』
国王『国の上層部に内通者がいるかもしれない。念には念を、だよ。』
天紫『でも、わざわざフードを被らせたって事は、その危険性が十分にあるって事だろう?』
国王『今回の容疑者が容疑者だからね。』
レイン『容疑者?』
国王『今回のフィンブルヴェトル回収作戦を知っていたのは任務の作戦案を計画した私とウィズ、増援含め任務に参加したレイン、エン、シェルス、天紫、クロス、回収目標のアルス、あとはたまたま居合わせたフェンリルとグラトニー。私とウィズは厳重会議室にてこの作戦を立てた。他国にこっそりだからね。誰かに聞かれると戦争になっちゃう。だから恐らくこの作戦を聞かれたならみんなに発表した時と予想しているよ。』
天紫(たまたま居合わせた、、、。ほんと大事な情報をうっかり公開するんだよなぁこの人。)
国王『しかし後の事情聴取によると襲撃したネザーと名乗る部隊は予めボルボカロンドにレイン達が来る事を知っていた様だった。』
レイン『確かに、、、俺達は当日に話を聞いてすぐにテレポートコンパスを使った。話を聞いてたとしてもそんな速さでボルボカロンドに行ける訳がない!』
エン『でも事実奴らは来たじゃねぇか。』
シェルス『って事はネザーの人達もテレポートコンパスを持ってるのかも!』
天紫『テレポートコンパスはネザースターの角魔力を動力にしている。そんなの一端のチンピラが持ってるような物じゃない、、、。』
レイン(チンピラ、、、。)
エン『それにケルベロスに輸送された後の荷物検査でもテレポートコンパスは押収されてない。』
天紫『一体どうやって、、、。』
一行が悩む中、シェルスがぽつりとつぶやく。
シェルス『もし、私達が作戦を聞くよりも先に知っていたら、、、。』
エン『それなら先に現地で待ち伏せ出来る。』
天紫『ネザーは作戦を立ててる段階からこれを計画していたのか!』
レイン『国王とウィズさんが厳重会議室で作戦を立てたんだろ?そんな所からどうやって作戦会議を盗み聞きするんだよ、、』
レインは良くないことを思いついたように目を見開いた。
天紫『そういう事か、、、。』
エン『アメリカエリアのネザースター強奪未遂事件も、ヤツの差し金か。』
国王『私の事忘れてない?喋らせてよ、、、。』
天紫は部屋を飛び出した。恐らく彼がいつもいる1階フロントに。
それを追いかけ他のみんなも向かう。
国王『シェルスとエンはプレイヤー総本部の館内の一般人と従業員を避難させてくれ。』
エン『了解だ。』
シェルス『り、了解、、、しました。』
ープレイヤー総本部 1階フロントにてー
天紫「どういうつもりだ。」
そこにいたのはアメリカエリアのセンタータワー受付員のセリス・ルーシュとウィズ・ボムズだ。
天紫「答えろ!お前には答える義務がある!」
セリス「天紫さん、ここではお静かに、、、」
セリスの言うことを気にとめず、鉄の剣をウィズの首に突き立てる。
ウィズ「おやおや、どうなさいましたか?」
天紫「とぼけるな!お前のせいで、仲間が、クロスが犠牲になったんだぞ!!」
セリス「クロス様、、、まさか、?!」
【急膨張大爆発】ビックバン!!
その時爆音とともに天紫は吹っ飛ばされていた。いきなりの事で天紫は理解も反応も出来なかった、飛ばされ、床をゴロゴロと転がった後、すぐに落とした鉄の剣を拾い上げ構えた。セリスはエンが間一髪、抱えながら距離を取っていた。俗に言うお姫様抱っこという奴だ。
エン「プレイヤー以外の避難は完了した。」
天紫「助かったよ。」
セリス「エ"、エ"ン〜〜!!!」
エン「泣き付くのは終わってからにしろ!すぐに避難しろ!」
セリス「ゔん"ッ!」
セリスはそそくさと避難していった。
まもなくウィズを中心に爆発した煙は晴れる。
レイン「先輩。」
天紫「分かってる。行くぞ。」
ゆっくりと煙の見通しが良くなってきたがそこには想像を絶する姿をしたウィズがいた。
ウィズ「私は、一体なんのつもりだったのでしょうか。今1度聞かれると、少し難しくあります。」
私は昔から成り行きに任せがちだった。言われるままに教育され言われるままにプレイヤーとしての訓練を受け言われるままにネザーに所属した。
思えば暑い夜に私の前に現れた少年こそが私を私たらしめる理由を崩したのかもしれない。
その日、私は家を出た。苦しかった。それは言われた事をする事ではなく、言われたままにしかできない自分が嫌になったのだ。自分はなぜ生きているのか。命令されるために生きているのか。人生とは、誰かの助言のみを引き抜いて描く物なのか。その時の私の人生は、まさしく書物からひとページずつ切り離しひとつの本として綴ったような。
ー鏋襟「なぁお前。行くとこないん?じゃ俺らと来やん?」ー
ーウィズ「、、、私に、、、居場所を?」ー
ー鏋襟「居場所とかじゃなくて、なんやろ、、、自分がしたいようにするところやな。」ー
ーウィズ「、、、。」ー
違う。崩されたのでは無い。あの時、私は初めて自分のページを本に挟んだ。誰かの意見ではなく、私の「したい事」を。それが仮に誰かに自分のしたい事をしろと命令されたとしても、私の中では初めての自分たらしめる物だった。
ーウィズ「私を、、、雇いなさい、、、!」
ウィズ
私は!! 私のしたかった事は!!
私が私としての目的を持ち、私のために生きる事だ!!
例えそれが誰かを傷付ける事だとしても、誰かを利用する事だとしても!!
私は!! 私のしたかった事を!!!
私は!ネザーを利用し!レイン!あなたの可能性でこの腐った世界を変える!!
煙から出てきたウィズはもはやウィズでは無かった。体は黒く変色し両肩から大きな骸骨が2つ剥き出しになっていた。頭を覆うように兜のような骸骨を装備しており、足元は爆発により無くなっていたがウィズは浮いていた。
レイン「オレの、、、可能性、、、?!」
天紫「レイン!!」
レイン「お、おう!」
レインがウィズに鉄の剣で切りかかろうとした時目の前に黒い骸骨が飛んできた。レインは体を後ろに反らし骸骨を躱したがその骸骨は壁に直撃すると爆発した。
レイン「見た目通り当たるとやばいじゃねぇか!」
レインが正面に視線を戻した時、絶対に躱せない位置まで骸骨が飛んできていた。
レイン(ま、まず、、、ー)
レインが思わず目をつむった時、正面に天紫が入り込み剣を横向きにし骸骨を防いだ。
天紫「よそ見は禁物だよ?」
レイン「ケン先輩!」
レイン(よかった、、いつも通りの先輩だ!)
レインの頭の上に手を置きワンクッション挟んでエンがウィズに突撃する。
エンとウィズが殴り合いを開始するがウィズはしきりに距離を取らせようとする。エンは離される度にすぐに近づき戦闘を続ける。痺れを切らしたウィズが両手に骸骨を持ち自分を中心に足元を大爆発させた。
エンは仕方なくレイン達の方に避難する。