深淵に臨み薄氷を履む   作:深淵を覗きたい

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拙い作品ですが、よければ読んでください。


第1話 入学

「初めまして、フラルド・マウトリーです。よろしくお願いします。」

 

「…フラルド君、何かほかに趣味とか、好きなものとか紹介してもらっていいんだよ?」

 

「趣味は特にありません。好きなものは家族です。よろしくお願いします。」

 

「…ほかに何か言うことない?」

 

「他に…?……特にないですよろしくお願いします。」

 

「…はい、フラルド君の自己紹介でした! 次は──」

 

 

 

俺はフラルドという名前を名乗っているが、自分の本当の名前ではない。

というのも、なぜか森の中に記憶喪失で佇んでいたところを、商人一行に拾われて、そしてその家に養子のような形?というのか、そんな感じで息子となったのである。

そのときにフラルドという名前を付けてもらったというわけだ。

だから、このフラルドという名前は偽物でありながら、本物でもある、俺の大事な名前なのだ。

 

だが、記憶喪失というのもあるのか、俺の性格というか本質なのか、家族以外の人間と距離を取ってしまいがちだ。

もともとマウトリー家に引き取られてすぐは両親と妹にもどこか余所余所しかったと自分でも思うが、年月過ぎればなんとやら、今はもう本当の家族のように親しい間柄となっているわけなのだ。

 

そんなわけで俺はいわゆるコミュニケーション障害、略してコミュ障と呼ばれる、いわば人見知りのようなものに分類される人間であるらしい。

俺としては別に自分の人生に関係のない人間と親しくなっても意味ないと思うのだが、ほかの人間は違うのだろうか?

人は人、自分は自分ということでこの件はこれまでにしておいて、他の生徒の自己紹介を聞く。

 

そもそもこのセントラル学園は、フラクトス皇国の首都セントラルにある、皇国最大の学園だ。

なぜそのような誉ある学園に俺のようなどこの馬の骨とも分からないやつがいるかというと、まず能力について説明する必要があるだろう。

 

人々は生まれたその瞬間からある「能力」を持って生まれる。

例えば、「剣術」という、剣の扱いがうまくなるといった能力だ。

そして、その「能力」、俗にスキルと呼ばれているが、その「能力」には、他に見ない珍しい、あるいはその人だけの能力、「固有能力」ことユニークスキルがある。

例えば「剣聖」というスキルで、これは「剣術」よりも剣の扱いが上手いというか、ヤバいとしかいえないほど剣が上手い。

そんな感じで、固有能力ことUS(ユニークスキル)を持って生まれた人間は、それだけで希少な人材となるため、貴族が通うために警備が厳重なセントラル学園で大事に育てている、ということだ。

 

だが、そんなUS持ちの希少な人材の中に、いわゆる「使えない」人間がいないかというとそうではないし、そもそも貴族の中にUS持ちだからと言って庶民を放り込むといろいろとまずいことになるので、貴族と、よっぽど優れたUS持ちのためのA~Cクラス以外のクラスが存在し、それが俺が所属するこのDクラスだ。

 

このDクラスには、US持ちの庶民から、「使えない」スキルを持って生まれてきてしまい、いわば、親に恵まれなかった貴族たちがいる。

中には、親に恵まれているが、A~Cの典型的な貴族を嫌う、庶民派の貴族もいるとかいないとか。

そういう関係で、このクラスには、貴族として高いプライドを持っていながら親に見放されてしまった貴族やら、実家を離れたくなかったものの、USを持っているがために学園に来ざるを得なかった庶民やらがいるし、その間でUS持ちを妬む貴族vs貴族というか権力を嫌う庶民という構図ができてしまっていたりする。

まぁこれは俺の憶測にすぎないのだが、このクラスの空気を感じてみると、あながち間違っていないのではないだろうか。

 

っと、考え事をしてしまい、他の生徒の自己紹介をあまり聞いてなかった。

貴族と庶民の確執や、学園事態に興味がないとはいえ、いくらなんでも名前を知らないというのは失礼だろうし、一応聞いておこう。

できれば、誰も話しかけないことを祈るばかりだ…。

 

「みなさん初めまして。フラクトス皇国第3皇子、エヴァン・フラクトスです。これから4年間よろしくお願いします。」

 

…皇子か。

率直に言えばとてつもなくめんどくさい。

このクラスに配属ということは、スキルか何かになにかしらの不利があるだろうし、第1、第2陣営の陰謀というか作戦のにおいがプンプンする。

皇子ということはプライドもそれなり以上にあるだろうし、近づかないでおいておk

 

「フラルドくんだったね、隣同士、よろしくね」

 

うぉい。やめろエヴァン皇子。

 

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