何でも許せるカービィファンの方向けの作品です。
なお、星のカービィ本編(初代〜ディスカバリー)のネタバレを相当に含みます。ご注意ください。
………
それでは ご覧ください!!
第一話 銀河の声と黒いハート
俺は…。
俺は…ともだちになりたかった…。
羨ましかった…。
だけど、俺には力しかなかった…。
みんなを傷つける、力しか…。
カービィ…。
キミには……。
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俺は剣士ダークマター。
遠い昔、宇宙のどこかで生まれ、少し昔にこのポップスターに訪れた。
侵略しか能がなかった俺は、カービィのあつめた「きせき」の一つである「虹の剣」によって敗れ、侵略以外の生きる道…ともだちになること、を知った。
その虹の剣は、今は俺が持っている。
このポップスターにまた悪いやつが襲い掛かった時、かつての俺のように侵略以外の生きる道を教えるためだ。
もっとも、大抵俺より先にカービィが全て解決してしまうわけだが。
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そんなある日、あきれかえるほど平和な日々を送っていた俺の耳に、とある声が聞こえた。
『ずっ……と…ぁ……キ………ミを…』
一度だけだが、ハッキリと聞こえた。
何を言いたいのかはよくわからないが、一つだけわかることがあった。
この声は、同族の声によく似ている。
同族…つまり、ダークマター族のことだが、こんな声の者は知らない。だがはっきりとわかる。絶対に聞いたことがある。
なんとなく、このことはカービィに任せてはいけない気がして、俺はその声を探すことにした。
なんだか、ものすごく久しぶりにこいつを触ることになる。
…虹の剣を背中に構えて、俺は家を出た。
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家を出てすぐ、後ろから声がした。
「ダークマター…そんな物騒なものを持って何をするするつもりだ」
…メタナイトだ。
ポップスター随一の剣士で、カービィのライバルの筆頭。
「…どこからか、声が聞こえた。……そらからだ。これは…ダークマター族の問題だ」
「そうか。…実は私も、一つ気になる声を聞いた。だが今はこれを詳しく調べようと思う。何か協力できそうなら、セイントスクエアーズに来てくれ」
「…頭に入れておこう」
そしてメタナイトはどこかに去っていった。
…メタナイトにしては、やけに社交的だった。彼も声を聞いたと言っていたが、まさか…?
そんなことを考えながら歩いていると、いつのまにやら森の中に迷い込んでいた。
…なにやら、黒い気配を感じる。
気配を辿って少し開けた方へ進むと、ウィスピーウッズがいた。
昔からこの森に住まう、いわば森の番人。
…だが、さっきの黒い気配はこのウィスピーから感じる…。
「ウィスピーウッズ、どうやら森の様子がおかしい。キミは大丈夫か」
「…ャマ……」
「…?」
声をかけるも、うわ言のようなつぶやきが聞こえるだけだ。
もう少し近づこうと、距離を縮めた時。
「ジャマ…ジャマジャマァァァ!!」
突然ウィスピーが叫びだし、目の色を変えて襲いかかってきた!
…体中から黒紫色のオーラが見える。
やはり同族が何かしら関係しているのか…?
「すまない、ウィスピー。キミに罪はないだろうが、プププランドの平和は守る」
俺は虹の剣を構え、ウィスピーのリンゴ攻撃や空気弾攻撃を避けて近接攻撃をしかける。
…まあウィスピーはもともと好戦的な性格ではないし、戦う術も限られている。
何より俺の虹の剣は対ダークマター兵器。
ウィスピーを鎮めるには攻撃を数発当てればすぐに終わる。
「一閃…!」
「……あ、あぁ…ダークマター…何の用だい…?」
「いや…ウィスピー、キミ、そこの黒いハートに見覚えは?」
「…ん…?…そこに落ちてるハートのことかい?」
「それはさっき、荒ぶるキミを鎮めたときにキミの体から出てきた。おそらくキミが暴れていた理由がコレだろう」
「……数日前、一瞬だけそれを見た気がするよ。そこからの記憶がないんだ」
…やはりか。
「…わかった。俺はこの黒いハートの謎を突き止めなきゃいけない」
「どうしてだい?カービィに任せておけば」
「おそらくこれは、俺たち、ダークマター族の問題だ」
「なるほど、そうなのかい」
と、黒いハートが突然動き出し…虹の剣に吸い込まれていった。
「虹の剣…?」
「おおー、その剣、黒いのを吸い取ってくれるみたいだね」
…気のせいだろうか、少し虹の剣の輝きが薄れてきたような…?
「……まあいい。…しかし手がかりに欠けるな、このままポップスター中を回るのは非効率だ」
「役に立つかはわからないけど、今プププランドに珍しいお客さんが来てるらしいよ。エフィ……エフィリス…?だったかな」
…珍しい客…カービィの知り合いだろうか。
「わかった、ありがとう……ではな」
「今度は何でもない時に遊びに来てね〜」
まったく…あれがかつての侵略者に対する対応か…。
もっとも、そんな空気だから俺も居着いてしまったのだが…。
⭐︎
プププランド。
カービィの家まで来たが、どうやらカービィは留守にしているようだ。
「あれ…キミは…」
後ろから声がした。
振り返ると、緑色の…なんだこれ、ハート型のような、片耳が欠けた生きモノがいた。
「誰だ…見ない顔だな…」
「ごごご、ごめんなさい!」
…やってしまった。つい威圧的な態度を…。
「すまない、怯えさせる意図はなかった。お前はカービィの知り合いか?」
「…カービィを知っているのかい!?…あ、ボクはエフィリン!よろしくね!」
「俺は剣士ダークマター…お前は…」
「ダークマター…くんって言うんだね。ワドルディのまちも快適だけど、この町も素敵なところだね!…それで、カービィに用があったの?」
「いや…エフィリス、キミに用がある」
「え、ボクに?…あー、あと、ボクの名前はエフィリン……うーん、まあどっちでもいっか!」
「……キミは、ダークマターと呼ばれる種族について詳しく知らないか」
「ダークマター?うーん……」
「なんでもいい、俺は自分の種族についてもっと調べなくてはならない」
「……あっ、ちょっと待って……何か思い出せそう…」
「本当か」
必死に考え込むエフィリン。
少しして、エフィリンは呟いた。
「ハルカン…ドラ」
「なに?」
「ハルカンドラ…エッガー…」
そこまで呟いて、エフィリンは大きく深呼吸した。
「…ボクに思い出せるのはここまでかも。ごめんね…役に立てたかな?」
「ハルカンドラ…ハルカンドラ……何故だろう、その響きに何かを感じる」
「正確にはボクの記憶じゃないから、ボクがお手伝いできるのはここまでかな…ゴメンね」
「いや、十分だ。ありがとう」
「よかった!それじゃあボク、カービィに…あれ?家にはいないのかい?」
「あぁ、俺がここに来た時から留守だったが…」
「ふーん…珍しいな、どこいっちゃったんだろう…まあ、そのうち帰ってくるよね。カービィだもん」
「そう、かもな」
「…そういえばダークマター…くんは、カービィのともだち?」
少し考えて、答える。
「あぁ、ともだち、だ」
⭐︎
ハルカンドラ。
ハルカンドラ、ハルカンドラ…。
何故だ、この名前が頭から離れない。
そういえば、かつてメタナイトは冒険の途中、ハルカンドラという土地に寄ったことがあると言っていた。
ということでメタナイトの住むセイントスクエアーズにやってきたのだが…。
「黒い気配」を感じる。ウィスピーの森の時と同じだ。
「メタナイト、いるか」
声を出してみたが、反応はない。
奥に進むと…。
「来たな!カービィ!今日こそ決着をつけてやる、来い!」
文字通り「目の色を変えた」メタナイトが襲いかかってきたのだった……!