「メタナイト!正気に戻れ、俺はダークマターだ!」
「カービィ…カービィィィ……」
完全に正気を失い、全力で剣を振り回すメタナイト。
そこに騎士道や剣士としての矜持は既になく、宿敵への敵対心があるのみだ。
…今は鎮めるしかないが、狂っていても相手はプププランド随一の剣士…。
「ハァァッ!!」
「ハッッ!!」
黒紫に染まったギャラクシアと、輝きが欠けた虹の剣がぶつかり合う。
…やはり、虹の剣のキレが悪くなっている。なんだか…重い。
メタナイトはこのセイントスクエアーズを飛び回り、剣からの波動を飛ばしてくる。
……反射を狙うべきか。
そう、あれは俺がカービィに負けた理由の一つ…。
虹の剣には反射能力がある。
まずはなんとか近距離戦をいなし…。
メタナイトは空に飛び上がり、風を起こして大量の岩を浮かせ、降らせてきた。
…そこだ!
降ってくる岩に合わせ、反射斬りが決まった。
「アァッ!」
渾身の大技を全て反射されたメタナイトは流石に効いたようで、ついに体から例の黒いハートが飛び出した。
「…メタナイト、わかるか」
「ダークマター…?……これは…」
「そこの黒いハートの影響だろう。それからは俺たちダークマターと同じものを感じる」
「…私は…。……フッ、なるほど…見苦しいところを見せたか?」
「記憶があるのか」
「いや、無い。だが……うむ、やめておこう」
「どういうことだ?」
そんなやりとりの中、またも虹の剣は黒いハートを吸収し、より剣は黒ずんだ。
「そんなことより、君がここにきた理由を聞こう」
「あぁ。メタナイト、キミは…ハルカンドラについて何か知っていることはあるか?」
「ハルカンドラ…。かつて少しだけ訪れたことがある」
「詳しく聞きたいのだが」
「それは構わないが…あの場所にはもう行けない。行けないし、もはや何も残されていないような気もする。あの地は、一言で言うなら廃墟だ」
「『声』の手がかりにはならなさそうか…」
二人で頭を抱える。
しばらく沈黙が続いた後、二人の横に何かが凄い勢いで落ちてきた。
ドォン…!
「何事だ!」
「これは…?」
何やら丸い…岩のようなものが降ってきた。それも、幾つも。
やれやれ、また岩の雨か…。
「何だこれは…メタナイト、知っているか」
「これは…いや、わからない。どこかで見たことがあるような…」
その時、上から声がした。
「ちょっと待ってほしいのね〜!!!あーれー!!!」
岩に次いで、今度は蜘蛛のような青年が降ってきた…。
⭐︎
「失礼したのね。ワタシはタランザというのね、浮遊大陸、フロラルドで調べ物をしているのだけど……」
「フロラルド…とは、何だ」
「えぇ?フロラルドをご存じないのね?」
「浮遊大陸フロラルド…だろう。私も訪ねたことはないが、話には聞いたことがある」
「その通りなのね。ワタシはそのフロラルドの偉〜い人なのね」
「…それで、お前は何故空から降ってきた」
「…あぁ、それは失礼。そこのガラーガをうっかりフロラルドから落としちゃってねぇ」
「ガラーガ?」
「トグ・ロ・ガラーガという名の蛇ね。ワイルドワールドで調べ物中に……」
「蛇なんてどこにもいないだろう」
「いやいや、この岩を…全部繋げると、蛇になるのね」
そう言って岩を六つの手でなんとか抱えるも、持ちきれずにこちらを見つめてきた。
「そ、その……ちょっと手伝ったりしてくれないかなぁ…?」
思わず顔を見合わせる我々。
「…タダ働きか?」
「私たちも暇ではない」
「うーん…そうねぇ……あ!だったら、フロラルドにご招待して、秘蔵のオタカラも見せてあげるのね!」
「オタカラ…」
「待て、マター。あまりに胡散臭いというか」
「メタナイト。情けは人の為ならず、だ」
「…仮にも元侵略者とは思えない物言いだな…まあ仕方ない、付き合ってやろう」
我々は石を抱えて、タランザに連れられ浮遊大陸へと向かった。
⭐︎
フロラルド。
「はーい、剣士二名様ご招待なのねー!」
「それで、オタカラ、というのは…」
「まあまあ、そう焦らないのね。まずはこちら、オールドオデッセイからの絶景なのね!」
「…なんなんだ、この茶番は…」
しばらくフロラルド観光に付き合った。
しばらくワールドツリーを登り、いよいよ頂上らしき城に辿り着いた。
「そして最後に、ここ、ロイヤルロードなのね!」
「オタカラは…」
「もちろんここにあるのね」
「何だか嫌な予感がするのだが…」
ブツブツと呟くメタナイトは放っておき、タランザについていった先には…宝物庫のような場所に出た。
「さあ、これがオタカラなのね。ディメンション・ミラー!」
そう言って灯りをつけたタランザ。
そこには金色の大きな鏡があった…が。
「これは…酷く割れていないか」
「う…そ、それは…」
「こっ…この鏡は…!」
「…どうした、メタナイト」
「何故お前たちがこの鏡を…」
「な、なんでもいいのね!はい!とにかくこの鏡がオタカラ!キレイだねぇ」
なんとなく気になって鏡を覗き込む。
「待て、マター!そいつは…」
「なんだ?割れてはいるが、美しい鏡だ」
「そ、そうなのね!これ、復元するの頑張ったのね…」
「いいから離れるんだ!その鏡は危険だ!」
メタナイトが何やら叫んでいたのでもう一度よく鏡を見てみると、何やら自分の姿が歪み始めた。
「…これは…」
「その鏡は写したものの心の闇を増幅させる!私は昔、その鏡に苦渋を飲まされた…何か、来るぞ!」
そして鏡から現れたのは紅く紅く大きい、目玉の球体……。
「これは…ダーク……マインド…」
「DX版なのねぇ!?」
ダークマインドDXだった…!!
著者はタランザが好きなのね。