人とは何ぞや   作:オオタ キム

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8. の続き
文字通り発見します


9. 発見

 いつの間にか、氷河の隣にはいつの間にか快活そうな青年が立っていた。

 もう一人は撮影がまだかかるから、行けても遅れるとの返答。

 真剣な表情で地面が少し濡れている氷柱があった場所を黒茶色の髪の青年が眺める。

 「オレ一応来たけど、こういうのは瞬の方が得意だろ。それにここらの土地勘ねぇしさ」と新たに来た青年、星矢(せいや)

 「オレが気づかなかった何かを星矢なら見つけられるかもしれんしな」

 氷河は場を有利に作り変えてから戦闘開始するが、一旦始めるとその場に集中してしまい周りが見えなくなりがちなのを自覚している。

 逆に星矢は純粋な力こそ黄金の中では下位だが、戦闘に対する天才的直観力、相手の隙を見逃さない客観性を持ち合わせている。

 星矢は静かに小宇宙の痕跡を辿ろうとしながら濡れた地面に近づく。

 「なんだこれ?」

 星矢が地面で見つけたものは、複数の蟻の死骸。

 おもむろに星矢が公園にあった石で丁寧に土を掘り始める。

 氷河も倣って掘り始めると、普通でありえないものがそこに埋まっていた。

 「なんで、こんな所に人間の死体が。いや埋まり方も普通じゃないし」

 より深く、死体の周りを掘り進める

 それは両手を上に掲げた状態の全裸の男の死体。

 腐敗状態からして死後数日は過ぎてそうだが、しかし今まで動いてたといえなくもない奇妙な感じもする。

 

 「あー氷河せんせー やっぱ体調悪くて公園でへばってんじゃん」

 さっきまで教えていた娘がそういいながら公園へ近づいてくる。

 心配して追いかけた先で、疲れて跪いていると勘違いしたようだ。

 「心愛(ここあ)さん、公園に入るな!」

 「えっ?」

 いつにもなく真剣で威圧的な声だったので心愛は思わずたじろく。

 そして星矢は心愛から死体が見えない位置を確保しつつ安心させようと

 「この子が氷河の教え子か、かわいいじゃん」と話しかけた。

 「こんばんはっす。平田心愛でーす。氷河せんせーのトモダチですかぁ?」

 すぐに誰とでも仲良くなれる星矢の性格はこういう時役に立つ。

 「オレは射馬(いば)星矢。

 責任もって氷河を連れて帰るから心配するなって。

 あと、夜も遅いし氷河に変わってオレが家まで送るぞ?」

 「うーん、氷河せんせーほどイケメンじゃないけど、喋ったら楽しそうなおにーさんだし、たのもーかなー」

 星矢と一緒に心愛が公園から離れていく。

 心愛が公園から見えなくなると、氷河は公園全体を氷の結界で覆った。

 光りの乱反射の応用で一般人からは公園内が何もないように見えるのだ。

 

 その後、暫くしてもう一人の念話先の男が現れた。

 「ごめん氷河遅れて、ってこれは?!」

 全体的に色素が薄く、それでもって非常に容姿の整った青年、瞬だ。

 ありえない場所に埋まっている死体をみて驚く。

 「オレが連絡を入れた後、星矢がこれを見つけた」

 「で、星矢は?」

 「オレの教え子が近づこうとしてたから、オレの代わりい家まで送ってる」

 瞬がふぅんと返事すると、それを「視」ようと近づいて跪いた。

 瞳の色が本来の薄茶色から、深い碧に変わる。

 彼から発する小宇宙は周りに悟られないよう抑えられつつも、全てを包み込むような神々しさを孕んでいた。

 少しすると星矢が戻って来た。

 「瞬、やっと来たか」

 「ごめん、少し調べてる静かに…」

 瞬は目を瞑り、静かになる。

 数分後

 「…名前は〇〇。この人の魂が冥界へ堕ちてきたのは46日前だね。」

 瞬が立ち上がりつつ言うと、瞳の色や小宇宙も本来のそれに戻った。

 「1か月以上経った死体には見えないんだがな」と氷河。

 「魂がなくても、エンバーミングとか色々方法があるし、この場では何とも」

 「じゃあ小宇宙や声はどう説明する?」

 「声は細胞単位で動かせばなんとでもなるけど、小宇宙は何らかの魂が乗り移った、か。

 直接僕が見ない事には断定出来ないけど」

 「とりあえず今回は死体遺棄事件として警察に引き継いでもらうか。

 瞬もこれ以上今のところ分からないんだろ?」と星矢。

 瞬も頷く。

 「僕も似たような事件がなかったか、兄さんやパンドラさんにも調べてもらうよ」

 

 氷河が警察を呼ぶ。

 最初は三人が第一発見者として怪しまれ、またタレントも交じっていたので驚かれたが、警視庁幹部は当然彼らの正体を知っていたので、容疑者から外れた。

 魂云々の件は当然警察には話せないので、死後三日程度、身元不明の死体遺棄事件として処理された。

 ただ、閑静な住宅街の公園で見つかった死体、さらに発見したのが有名人ということで暫くワイドショーやスポーツ新聞をにぎわせる結果になったが。

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