忙しそうです
「それでは友人が気分悪くて迎えに行った先で見かけたんだね」
何度も同じことを繰り返して聞かれるが、それに答えるのも仕事だ。
医学部三年生は解剖実習を経験済みという前提でキャスターは話を続ける。
「はい、友人達にとってはショッキングだったでしょうし…」
そういいながらリモート画面先に映っている男は神妙な面持ちになった。
瞬は
本人が学業優先という事で他の同年代に比べるとメディア露出は少ないが、まわりを明るくする雰囲気と目を引く非常に整った容姿なので、CMや雑誌等で見ない日はない。
ネットで偽情報を書き込まれ少し炎上もするが、
「それでは天宮くん、ありがとう」
「ありがとうございます」
ノートPCの電源を落とし、学校から借りていた小教室から出る。
午後からの授業に備えなければいけない。
何せ出席しないと単位は取れないし、卒業しないと目指す医師の為の免許の受験も出来ない。
星矢達が本当にショックを受けているかというと、瞬は実の所そうは思っていない。
死体を戦場で見かける事など日常茶飯事だからである。
瞬も戦場で見かけた時は悲しい思いをしながらも、死者を弔う事を何十回としてきた。
魂の片割れは「それも世の常だ」と語りかけるが、慣れてはいけないと言い聞かせる。
ただ、その魂のおかげで勉強をせずとも知識が流れ込んでくるのは有難いと思う。
「よぉ天宮、お勤めご苦労さん」
同じ学部の
学籍番号が近く、同じ現役生という事で入学後友人となった。
瞬自身、普段は芸能人らしい雰囲気を作ってないのも大きいが、一友人として接してくれる存在だ。
「昨日は災難だったな」とだけ言う。
それ以上何も聞かないのも彼の気遣いだろう。
「伊藤、今日は授業中に寝るなよ。確実に広山先生に目をつけられてるし」
瞬は話を切り替える。
「午前のウィルスん時、後ろのほうで途中から寝てたし今は大丈夫」
「それはそれでどうなんだよ。テスト前にまたノート見せろとか言いそうだな」
などと軽口をたたきながら次の大教室まで移動する。
知識として知っているとはいえ、実際に経験している人の話は面白いので、瞬は授業を楽しみにしているのだ。
「…それでは授業を終わる。明日は小テストをするからな」
広山先生がそう言って教室から出ていくと、隣で教科書を枕にしている友人をゆする。
「授業終わったよ。僕はその後行くところあるから。じゃあまた明日」
目をこすりながら手を振る友人を尻目に、急いで誰もいない場所を探す。
昨日の事件は明らかに
瞬は意を決した表情で