一輝は運転しながら同乗者に指示をとばす。
「パンドラは現地に到着したら、また結界を張ってくれ」
「ペガサス、結界後は電化製品が使えなくなるから、今の内に電源を落とすように」
そうこうしている内に到着した先は豪奢な大豪邸である。
駐車場へ停車した後、使用人に導かれ邸宅に入る。
「皆さん、ようこそお越しくださいました」
この場で一番若く、それでいて凛とした佇まいをした城戸グループのトップ、
その正体は、
「よお一輝、スーツ姿も様になってるな」
その場におおよそ似つかない学生風の格好をした青年が二人、後から続いて出てくる。
沙織を女神としてのみならず、人間・城戸沙織としても敬愛する
「オレ達も参加させてもらうぜ」
応接室にあるアンティーク調のテーブルセットへと沙織は促し、全員席に付く。
それを見越してメイドがアフタヌーンティの準備をすると、すぐに部屋から退いた。
「お前ら、今日講義は?」と一輝。
「ああ、それ先生がぎっくり腰とやらで休講の連絡が来てな」と星矢が笑う。
「オレはそもそもこの時間帯に授業を入れてない」と邪武。
「そんで授業で分からない所を、沙織さんの所で秘書見習いしてる邪武に聞こうと思って来たら、お前らが来って言うんで予定変えたんだぜ。
そもそも来るの知ってたら授業あっても休んでたけどさ」
「お前は大教室だとほぼ寝てるから理解出来ないんだろうが」
年相応のやり取りが続く。
「もうその辺で良いか?」
ラダマンティスが苛つきながら話を遮った。
研究室からやっと抜け出せたという氷河が室内に入るのを確認した後、パンドラが結界を張る。
瞬は出席必須の講義に参加するので城戸邸に行くのは無理だが、意識をこちらへ飛ばし、会合には参加すると事前に伝えてきている。
なお、紫龍の力では流石にパンドラの結界を越えての念話は不可能なので、事後報告する事とした。
「こちらも星矢達から概要は聞いています。
中国の紫龍からは生きているけど死んでいるような人に出会ったとの連絡があったわ。
それも複数の人との事」沙織が切り出す。
「紫龍、今は春麗さんが大変な時期だから日本に行けない代わりに、現地で王虎と一緒に調査するって言ってたぜ」
星矢が追加する。
ゼラこと、ペガサスが続けて「ダークウェブに俺は潜ったんだが…」
次々と情報をすり合わせていく。
「ラダマンティス、ハーデス様がお前たち三人に出された指令を今一度答えよ」
パンドラがラダマンティスに命じる。
「は、それでは…」
曰く、ラダマンティス配下、地上部隊のカイーナ軍は不審な新興宗教団体の発見・監視を。
ミーノス配下、地獄監理部隊のトロメア軍は不安定な魂の発見や、生者が紛れこんでないかの探索を。
アイアコス配下、財宝武器管理部隊のアンテノーラ軍は、各地に散らばる神々の武器、特に地上において人間が美術骨董品として所持している物の行方の再確認を。
「おいおい、めっちゃ忙しくしてるじゃないか」
星矢が驚く。
「全て普段の業務のついでに出来る範囲だがな。
瞬間瞬間で動くお前等聖闘士と一緒に考えるな」
ラダマンティスが返す。
「瞬が冥王として最初から地上で最大級の
しかしそうすると他の神々を刺激し、最悪聖戦を引き起こしかねないから、冥闘士を使わざるをえないのかと。
ケリをつける最後の瞬間は私も含め、全力で神として挑ませてもらいますけどね」
沙織の神としての決意だ
「沙織さんの仰る通りです。
僕自身、出来る範囲が限られて、冥闘士に負担かけてしまうのは心苦しいんですが」
瞬の念話が流れ込んでくる。
「それが私達の使命なのだから、申し訳ないと思うな。
お前はもっと自分の立場を弁えるべきだ」
パンドラが姉として窘める。
「そうそう、もっとオレ達を頼れって。
オレ達は地上の平和を守る聖闘士なんだぞ」
星矢が言うと邪武も続けて
「オレはここにいる中で一番弱いが、それでも出来る事はいくらでもあるしな」
ありがとう、と瞬は伝えた。
「で、具体的にどうするんです?」
と氷河。
「まずは冥闘士への協力が手っ取り早いだろうな」
一輝が提案する。
「もっとも冥界は機密事項が多すぎるから来られたら困るがな」
ラダマンティスは続いて答える。
「…ちょっと待って」
瞬の緊張が皆に流れ込んでくる。
「