18. 来訪者
「洋、なんかスマホに通知来てるぞ?」
「ちょい確認するし、田中。
げ、会社からじゃねーか」
なんで休みの時に会社の連絡用アプリから通知来るかな。
休日は城上大学の学食で昼飯を食いながら女子見るのが至福なんだよ。
職場は交代勤務だけど、休みもきっちりくれるし高給だしやりがいもあるし良いこと尽くしなんだが、一つ残念な所がある。
そう、女子が圧倒的に少ない!
だから休みの時ぐらい野郎成分を排除したいんだ。
アプリにはギリシャ現地時間の17時に全員緊急召集との文面。
「悪い田中。
今晩、急に仕事が入った。
カラオケは次の休みで」
「仕方ねーな洋、なら来週な」
深夜の召集だし、多分徹夜になるだろう。
今からマンションに帰って一眠りするか。
目覚ましは21時にセットで良いよな。
海底に着くと七将軍も含め、ほぼ全員が揃ってる。
何気に俺の入社式以来の全員集合?
重要な会合とかある時は、メインブレドウィナ前の広場と決まっているし、ここで良いよな?
と、入社して三ヶ月、仲良くしてくれている事務担当の先輩が見当たらない。
「オリエッタさん、確か今日から出勤でしたよね?
まだ来てないんすか?」
「確かそのはずだが、そういや今日も休んでるな」
朝から出勤のシフトだったバイアンさんが教えてくれた。
「それは、いや…」
カノンさんが言いよどんでるけど、家族の不幸とか、深い事情を知ってるのかな。
「もうそろそろだろうな」
カノンさんが時計を見る。
すると小宇宙を二つ感じた。
片っぽは、滅茶苦茶デカくて荒々しくてやばい感じ。
もう一つは一般人かと思うほど小さいけど、どこかほっとする感じ。
「ラダマンティス、此処を攻め落とす勢いの小宇宙を発しながら来るな」
カノンさんは大きい方の小宇宙の持ち主を睨みつけた。
どうも知り合いらしい。
「ふん、お前ならいきなり攻撃してくるかもしれないしな」
ラダマンティスと呼ばれた男も睨み返しなが言ってる。
「あの二人、いつも会うとああいう感じだ。
喧嘩するほど仲が良い、とか日本では言うだろ」
アイザックさんが友人の日本人に教えてもらったとかいう例えを混ぜながら俺に解説してくれた。
「「誰がだ!!」」二人同時に言うとか、やっぱ仲良しさんかよ。
と、隣で明るく笑ってる一般人、一般人?!
俺に気付くと、
「東海洋くん、遅くなったけど海闘士の就任、おめでとう」
にこにこしながら日本語で話しかけてきた。
俺も思わず日本語で返す。
「あざっす。
失礼っすけど、天宮さんてもしかして聖闘士でも弱い方っすか?」
バラエティー番組でみた感じ、運動神経は大した事なかったし、第一こんな小宇宙で戦えるとは思えない。
天宮が少し驚いた顔で見つめ返してくる。
俺が女なら絶対惚れてるぞ、くそ。
「戦闘模擬訓練とかはあまりやってなさそうかな?
冷静に相手を観察して、表面的な小宇宙に惑わされない事も重要だよ」
何気に先輩風吹かしてくるけど、まあ実際俺より先に聖闘士にはなってるしな、弱いけど。
「忠告しておくが、奴が本気を出せばここいにいる全員を一度に倒せるぐらいの力を秘めてるからな」
やりとりで察したのか、カノンさんがギリシャ語で俺に忠告してくれた。
でもそれ絶対嘘だ。
「カノン、新人が怖がる事言わないでよ」
カノンさんは聖闘士も掛け持ちだから知り合いなのは分かるが、何故敬語を使わないんだ天宮。
「さて」
天宮が厳しい表情をしながらあたりを見回してる。
「少し視させてもらうよ」
一瞬大きな小宇宙を感じると、何か気持ち悪い、そう心がぞわっとする感覚が走る。
その後、天宮がカノンさんとカーサさんへ目配せしてる。
念話してる様子からして、超能力は使えるみたいだ。
すると、カーサさんが1ヶ月前に入った売店職員の前に歩いて行き、店員をじっと見る。
「瞬が言うとおり、こいつスパイぽいぞ」
カーサさんが答えると、カノンさんは店員に向かって指を指す。
自白の技だ。
店員は苦しそうな表情でどんな情報を盗んだ等、どんどん喋る。
怖い技だ。
「どちらにせよ、お前は今すぐ退社だ」
そういうと、カノンさんが店員をテレポートでどこかに送った。
天宮は超能力特化でサポート要員だ多分。