氷河さんから会議室にいるメンバーについて、改めて教えてもらう。
一輝さんは、
ゼラさんは、聖闘士の中でも裏任務に特化した一輝さん配下の暗黒聖闘士ブラックペガサス。
パンドラさんは冥闘士の統括者にして、ハーデス様の姉らしい。
「姉という事はパンドラさんも神様なんですか?」
「冥王の権限の一部を行使する能力は与えられてはいるが、パンドラ自身の魂は人間だ。
ただ、ハーデスの魂はパンドラの母親の胎内を借りて地上に顕現したから、そういう意味では姉だな。
それに…。
いや、気にしないでくれ」
気にするなと言われると気になる。
「被害は確実に増えていってます。
普段の生活の中でも、見かけたらすぐに情報共有のほど、宜しくお願いします」
そう沙織さんが言うとパンドラさんが結界を解き、解散となった。
沙織さんとパンドラさんが何やら念話でやりとりしているっぽい。
その時、ゼラさんのスマホの通知音が響く。
確認したゼラさんは慌てた様子で
「大変ですみなさん!
ネットの書き込みで大量の死体が公園に埋まっていたのとつぶやきが!」
「それはどこだ?」一輝さんが訊ねる。
「えっとですね。
写真はあるのですが、土地勘があまりなくて」
氷河さんが
「見せてみろ」とゼラさんのスマホを覗く。
「TSSスタジオの近くか」
あのテレビ局のTSS?
パンドラさんが結界を再び張る。
「今、星矢に野次馬に紛れて様子を見に行くよう伝えました。
もうしばらくしたら連絡がくるでしょう」と沙織さん。
「俺が一昨日昼頃TSSへ行った時は無かったはずだ。
死体があれば俺は気付く。
埋められたのだとしたら、それ以降のはずだ」との一輝さんの見解だ。
「沙織さん、オレも行きます。
最初に感じた小宇宙と同じものか確認出来ますし」
氷河さんが伝える。
「洋、お前も来たいのか?」
どうやらウズウズしてたのが顔に出ていたらしい。
バイアンさんが行ってこいと言う風に頷いた。
「一輝、沙織さんを頼むぞ」
「分かった」
敵が分からない以上、存在を隠す為小宇宙を抑えるとの事で氷河さん運転のバイクの後ろに乗る事となった。
何気に初バイクかもしれない。
しかしスーツに大型バイクは目立ちそうだ。
「ネクタイ外して鞄にでも入れておけ。
それだせでもカジュアル感が出る。
あと、きちんとメットは被れよ」
勢いよく発進する。
十五分ほどでその公園に着いた。
その場は規制線に立つ警察と野次馬でごった返していた。
星矢さんを見つけ合流する。
微かに小宇宙がこの場にあった雰囲気がする。
「やっぱ前と同じ小宇宙だよな」
「だな。近付いて実際に死体を見られないのは歯痒いが」
ふと、透き通るような蝶が俺たちの近くを通り、規制線の内側に入っていく。
「近くでの確認作業はミューに任せた方が良いか」氷河さんが言う。
「あの蝶々、ミューって言うんですか?」
「いや、あれの名は
ラダマンティスの部下であるミューが使役する使い魔だ。
それより野次馬の方も見ておけ。
犯人は事件現場に戻るとか、よく言うしな」
先ほど受け取った記憶と野次馬とを照らし合わせる。
スマホを規制線が張ってる方へ向けたり実況動画を撮る人、純粋に仕事帰りに寄ったという人ばかりな気がする。
「右の方にいるピンクのシャツの男。
首を向けずに目だけ動かして見てみろ」
氷河さんが念話で話しかけてきた。
言われた通りにすると、少しふらつきながら歩いている男を確認出来た。
顔は記憶のものと一致。
「洋、バレないように尾行出来るか?
オレはバイクを駐車場に置いてから追いかける」
星矢さんは小宇宙についてもう少し調べると伝えてきた。
責任重大だ。
俺はそっと野次馬から離れ、男の後ろをついて行った。
地下鉄の最寄り駅から四駅先で降り、男はワンルームマンションに入っていく。
さすがにこれ以上は入れないなと思っていたら、氷河さんが来てくれた。
「名前はパンドラ自身が知ってるだろうし、ここの住所だけ覚えて置けばよいか。
その男の家でないのなら、さらに何かわかるやもしれんしな」
あまり長時間マンション前にいると怪しまれるとの事で、ハインシュタイン社に戻る事にした。