人とは何ぞや   作:オオタ キム

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25.離別

 氷河達が探索に向かった後、深夜まで会社に残るわけにはいかないというので、城戸邸に移動した。

 そこで各所からの報告を待つ。

 しばらくして冥蝶達からの報告が上がってきた。

 公園に埋まっていた死体の数は13。

 やはり記憶で知った人のものばかりである。

 そして死体の程度がまるで死後数分しかたってなさそうなものから、かなり腐敗が進んだものまで程度がまちまちだったのだ。

 しかしまだ発見されていない人はまだまだいる。

 作戦は継続実行するという事で合意した。

 その時、瞬から緊急連絡が入る。

 神の小宇宙を感じたあと、スマホを通知を確認した人間が目の前で亡くなった事。

 また、死体の状態が急激に悪くなったという事を。

 

 峯岡梨佳の死亡時、居合わせた三人は警察から事情聴取を受ける事となった。

 暫く瞬は動けなくなったので、パンドラ達が手分けして動く。

 

 不凋花(アスポデロス)の野に唯一入場を許されている人間、パンドラがハーデスに代わり向かう。

 冥王同様、冥姉としての漆黒のローブを纏っている。

 「パンドラよ、ハーデス様から話は聞いている。

 手早く済ませるように」

 「はっ」

 冥精は人間より地位が高い。

 冥闘士の統括者といえども逆らえないのだ。

 

 「お前が峯岡梨佳だな?」

 冥精が連れてきた魂に語りかける。

 「何よオバサン、いきなりよくわかんない花畑にいたんですけど。

 それに裸ってなによ、羞恥プレイでもさせんの?」

 パンドラが睨むと、ひっと梨佳が震え上がった。

 「今のお前は死んで魂の状態だと心得よ。

 それにお前と私では2歳しか離れてないぞ」

 

 東屋に梨佳の魂に導き、落ち着くようにと促した。

 「え、何?

 私って死んだの?

 そんで瞬くんに人工呼吸と心臓マッサージしてもらってたんだ。

 私とキス出来て瞬くんラッキーじゃん。

 それに私の胸触って興奮してたりして。

 もっとも私の方は意識なかったけどさ」

 「キスだの胸だの言うとか、本当に頭がめでたい奴だ」

 パンドラは呆れた。

 

 「それで、死ぬ直前の事を思い出して欲しい。

 連続殺人事件にお前も巻き込まれたのだ。

 これ以上被害者を増やさない為にもな」

 真摯な眼差しで梨佳を見つめる。

 梨佳は観念したように語り始めた。

 「あー、分かりましたよ。

 当時酔ってたのだけは先言っときますよ?

 瞬くんと若本さんのやり取りがかわいいなあって思って見てた時にね、急に悪寒がしたのよ。

 風邪でも引いたかなとか思ったかな。

 その時、スマホに通知音が鳴って画面に『初期化しますか』とか出たのよね。

 当然するわけないでしょ?

 『いいえ』を押した所で記憶がなくなったかなあ」

 

 「よく思い出してくれた、感謝する」

 「いえいえ、被害者増えるとか言われたらモヤモヤして寝れないというか。

 というか死んでるんだっけ私」 

 梨佳の表情が少し暗くなる

「最初、あの顔が見えない気持ち悪い奴に、用が終われば記憶を消して転生の準備に入るって言われたんだけど、今までの事を忘れちゃうの?

 もっと人生楽しみたかったのに」

 「次の転生先を楽しみにしとくのもありではないか?

 以前の私からしたら羨ましい限りだ」

 最後のは独り言である。

 聖戦関連の参加者はコキュートスに落とされ、記憶を失う事なく未来永劫封じられる。

 もっとも今回生き返る事が出来たのもそのおかげであるが。

 「最後に聞かせて。

 パンドラさん、顔は似てないけど瞬くんが時折見せる雰囲気と物凄く似てる気がするんだけど。

 もしかして関係者だったり?」

 感のいい奴だと思う。

 「その通りだ。私は瞬の姉だ」

 自信を持って言える。

 敬う対象であるのと同時に、姉として弟が愛おしい気持ちもまた本物なのだ。

 梨佳はその回答に満足したのか

 「了解、パンドラさん。

 じゃあ弟くんにまた来世会いましょうって伝えておいてね」

 冥精に行くよう促される。

 梨佳は少し涙を浮かべながらも、笑顔でその場から立ち去った。

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